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高まる環境意識、加熱する環境技術投資
記事更新日.07.06.08
小柳津彰啓
愛知県サンフランシスコ産業情報センター 駐在員
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米国では環境関連ビジネスへの投資が過熱しています。

実は昨年のこの時期(2006年5月)も、ガソリン価格の高騰から環境意識が高まり、代替エネルギー開発、関連分野の投資が盛んになってきている状況を報告していますが、その勢いたるや今もなお衰えることを知らず、米国では環境関連の話題がニュースにならないことが無く、ビジネスとしても大いに注目を集めています。今回は昨年のフォローアップも兼ね、その後の環境政策、環境関連ビジネス動向を追ってみたいと思います。

■エコカー購入の決め手は環境意識、ガソリン価格、それとも優遇措置
ガソリン価格が再び高騰しています。自宅近くのガソリンスタンドの価格ですが、昨年最も高かった5月が1ガロン(約3.8リットル)3.44ドル。一旦2.55ドルまで下がったものの昨年末からまた上昇に転じ、現在では3.66ドルにまで高騰し最高値を更新しています。

他州をレンタカーで走ると給油の際、驚かされるのがガソリン価格の違いです。カリフォルニア州は他州に比べ1ガロンあたり50セントから1ドル近くも高いのです。カリフォルニア州は、高いガソリン税や厳しいガソリン成分基準により、米国で最もガソリンの高い地域の一つとなっています。そのため住民の環境や燃費に対する意識も高く、このことが燃費のいい日本車やハイブリッド車を選択させる一因となっていると言われています。

ガソリン価格高騰に加え、政府の優遇措置もハイブリッド車普及を後押ししてきました。しかし、こうした優遇措置も所期の普及目的は達成されたためか転換期を迎えているようです。カリフォルニア州ではフリーウェイのカープールレーン(相乗車両優先車線)をハイブリッド車は一人乗りでも走行可とし、2005年8月よりそのためのステッカー(8ドル)を発給してきましが、今年2月、上限の8万5千件に達したとして既に発給を終了しています。また、連邦政府も2005年の包括エネルギー法に基づきハイブリッド車購入に際し最大3600ドルの税控除を提供してきましたが、人気の「プリウス」を擁し販売好調のトヨタ・ハイブリッド車は、全額控除の適用枠である6万台に昨年達したため、昨年10月以降徐々に控除額が減額され今年10月には完全撤廃される見通しです。当地では本当によく見かけ人気の高い「プリウス」などのハイブリッド車ですが、こうした優遇策の終了による普及の鈍化も懸念されています。

  
■連邦政府、州政府にみる環境政策
2006年9月、カリフォルニア州は産業界に地球温暖化につながる温室効果ガスの削減を義務付ける州法を制定しました。そこでは2020年までに温室効果ガス排出量を現状から25%削減し、1990年の水準に押さえることを目標としています。その目標達成に向けた具体策の一つとして、今年1月、同州のシュワルツネッガー知事は、2020年までに乗用車におけるガソリンなど化石燃料の占める比率を10%以上削減することを義務付ける規制の策定に署名しました。

ブッシュ大統領も今年1月の一般教書演説で初めて代替エネルギーの推進や燃費規制などの地球温暖化対策について触れましたが、排ガス規制や排出量取引制度の制定は、西部の州や北東部の州が連邦政府に先行して熱心に取り組んでおり、連邦政府への圧力となっているようです。中でもカリフォルニア州は最も先進的な取組を実施しており、カリフォルニア独自の規制が他州へも広がるなど影響力を発揮しています。

業界側は、こうした規制の権限は州政府にはなく連邦政府にあると主張し争っていますが、裁判結果や規制を適用する州の増加次第で、連邦政府による温室効果ガスの削減義務化という流れになっていくかも知れず、注目されるところです。

■代替エネルギー分野への投資が急増
環境への関心の高まりは政策面ばかりでなくビジネス面におけるベンチャーキャピタルの投資動向にも顕著に表れています。プライスウォーターハウスクーパーズ/全米ベンチャーキャピタル協会発表のレポートによると、2006年分野別投資額で代替エネルギーを含むエネルギー分野への投資は、額自体はITやバイオには遠くおよばないものの、前年比107.5%増と最大の伸び率を示しています。2005年の伸び率が14.5%だったことと比較すると、昨年における環境関連への投資の過熱ぶりが窺えます。同レポートによると、2006年のクリーンテクノロジーへの投資額は15億ドル、2007年第1四半期の投資額は前期比で41%増となっており、まだまだ熱はさめそうにありません。

代替エネルギーの中でも、特に、太陽電池とエタノール関連のベンチャー企業への投資が活発だと言われています。シリコンバレーには半導体関連で培った技術を応用し太陽電池関連ビジネスを起こした企業がいくつかあり、そのうちの何社かは多額の投資を得ています。

愛知県サンフランシスコ産業情報センターでも、2005年から環境技術分野の企業に注目して、地元愛知の企業とのビジネスや愛知への進出に関心のある企業を発掘し、何十社かにコンタクトしてきました。何度か企業訪問した従業員20名足らずのある企業が、その後巨額の投資を受け従業員数も125名に拡大し広い生産施設に移転、中国にも工場を展開し始めたり、注目していた太陽電池分野の企業が投資や買収によりめまぐるしく成長したりした様を目の当たりにし、投資の過熱ぶりを実感しています。

■高まる気運、高まる期待
こうした状況を反映し代替エネルギー・環境関連の展示会も盛んになっています。2006年10月にはシリコンバレーのお膝元サンノゼで、太陽電池のコンベンション/展示会「Solar Power 2006」が行われました。参加者が前年(ワシントンDCで開催)の1200名から9000名に激増したことや、盛況な出展企業ブースの様子からも関心が高まっていることが窺えました。

また、シリコンバレーにおいても大企業が太陽光発電装置を社屋に設置したことが話題となるなど、米国における太陽電池関連ビジネスが商業化の段階を迎え期待されていることがわかります。

2007年5月以降米国において開催される予定の環境・代替エネルギー関連イベント
イベント 時期 開催地
Cleantech 2007 5/23-24 サンタクララ CA州
WINDPOWER 2007 6/3-6 ロサンゼルス CA州
Fuel Cell 2007 6/14-15 ローチェスター NY州
SOLAR 2007 7/7-12 クリーブランド OH州
Solar Power 2007 9/24-27 ロングビーチ CA州
EVS 23 (Electric Vehicle Symposium) 12/2-5 アナハイム CA州
  
ただし、まだこの分野は政府の開発プロジェクトや補助金による支援が必要と見られていることから、シリコンバレーの投資家の政府に対するロビー活動も活発になっています。

カリフォルニア州を始めとする州政府においても代替エネルギーは重要課題として挙げられていますし、ブッシュ政権においても代替エネルギーの重要性を強調し、ガソリン消費量の削減を打ち出すまでになっています。産業界においても投資が集中し気運が高まっている今、米国はこの分野に総力を挙げて取り組んでいくのではないかと思います。これは環境分野に優れた技術を持つ日本企業にとってもビジネスチャンスではないでしょうか。この分野における米国企業と愛知の企業間のパートナーシップが生まれることを期待したいと思います。

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