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外資優遇措置の撤廃
記事更新日.07.08.01
吉田真樹
愛知県上海産業情報センター 駐在員
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〜戦略の見直しが必要とされる対中国投資環境〜

中国における外資系企業の所得税率が、今後25%に統一される。本年3月に開催された第10期全国人民代表大会において可決された企業所得税法案(2008年1月1日施行)によると、これまで外資及び外国企業による対中投資を強力に後押しする要因となっていた外資に対する優遇措置が廃止され、外国企業においても中国の国内企業と同一の法律に基づいて、一律25%の企業所得税が課される見通しとなった。

■新しい法案とその趣旨
本年3月の第10期全国人民代表大会において公布された企業所得税法の改正骨子は以下のとおり。

 @ 企業所得税に関する法律を(国内外の企業に対して)一元化し税率を一律25%とする
 A 国が奨励する高新技術(ハイテク)企業については、優遇政策を継続し税率を15%とする
 B 環境保護、省エネルギー、安全生産技術企業への優遇を継続する

現在、実施規程などの策定が進められており、年内にも優遇税率の適用基準などの詳細が明らかになる見通しである(4月新華社通信)。

外資及び外国企業に対する優遇制度(以下、外資優遇制度)の今後の取り扱いについては、関連する情報などから様々な憶測を呼んでいる。企業所得税法の条文において優遇措置が継続されることが明記されている高新技術(ハイテク)企業の認定業務については、今後も地方政府に委任されることになり、地域によっては認定が甘くなるのではないかという意見や、広東省黄省長の発言に見られるように地方政府によっては、あるいは産業立地の遅れている中国内陸部地域では今後も優遇制度が継続する、という楽観的な報道も一部においてなされている。
  
■法律発布までの経緯
今回、企業所得税が改正されるまでに外資優遇制度に関連して、中国国家政府が発令した法律改正のながれを順に追って列挙すると以下のようになる。

@ 設備購入税還付の対象設備範囲の縮小(2006年5月)
A 産品を主として輸出する外資企業(いわゆる輸出加工型企業)に対する半減優遇措置の縮小や保税加工品目の大幅な除外(2006年9月)
B 土地管理制度の強化(2006年8月)、および全国工業用地譲渡最低価格基準の見直し(2006年12月)
C 移転価格税制の規定の明確化(2007年3月)

これらを見ると、外資優遇の条件は従前のものから格段に縮小したことがわかる。一連の制度改正に対する中国政府の着実かつ断固とした取り組みが見て取れるようである。またこれら一連の制度改正の結果、製造業をはじめとする業種において、これまで従前の優遇制度に浴していた外資および外国企業は製造コストなどの面で今後、条件的な厳しさが増していくことは明らかである。

今回の企業所得税法の発布後も、なんらかの理由から継続して税法上の優遇措置が受けられる企業は存在すると思われるが、優遇措置の規模や業種、地域は限定的となり、さらには長期的な観点において、これらもまた縮小される方向にあるものと予想される。

■中国への愛知県企業の進出動向
愛知県が例年発行している「愛知県内企業の海外事業活動」調査に基づいて、愛知県企業の中国進出について調べてみた。愛知県からの進出が最も多くなっている上海市および江蘇省について業種別の進出割合を比較したのが以下の図である。
1992年は、中国では15箇所の保税区、49箇所の国家級経済技術開発区と53箇所のハイテク技術産業開発区が設定され、改革開放が一気に進んだ時期であり、日本の好景気と重なり中国への進出が飛躍的に増えた年が1995年である。また2005年前後は、トヨタ自動車の中国への進出が定着し、天津、長春、広州の工場が相次いで生産を開始した時期でもある。

自動車関連の製造業が多い愛知県企業の特徴を反映して、沿岸部の上海市、江蘇省地域においても、世界あるいは日本全体からの対中国投資傾向とは相反して、愛知県からは依然として製造系企業の進出が多い一面がうかがえる。

今回の法律改正は、現在の中国全体の対中国投資傾向を見ると、外国からの投資全体を調整するものとして有効であると判断されるが、上述のように全体の傾向とは異なる愛知県企業の動向を見ると、今後も愛知県から中国へ、製造業系の進出が続いた場合、法律改正によって愛知県企業には中国での活動に影響が出ることが懸念される。
■戦略の見直しが必要とされる対中国投資環境
現在、中国の経済、産業の構造はその成長の過程において大きな転換期を迎えていると考えてよい。今後、中国での経済活動や中国への進出を検討する際には、中国々内の各地域の特徴を分析した上で、地域の状況に即した戦略を練ることが必要となる。これまでどおり安価な製造コストを追及するのであれば、発展した沿岸部地域との比較において西部、内陸部地域への進出も検討せねばならないし、整備された投資環境を求め、江蘇省などの沿岸部地域を選択するのであれば、製造コストの面では不利が生じることも考慮に入れなければならない。

これらの情報から浮かびあがってきたのは、沿岸部の都市地域を中心に発展を拡大させている中国の姿である。改革開放政策の開始以来、着実に成長を続け、外資誘導による産業拡大の成果が発揮され始めている現状も垣間見え、世界の工場・中国に対するこれまでの「製造コストの安い中国」というイメージは、もはや中国全体には通用しなくなっているというのが正しい認識であるといえる。

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