(1)拡大する中国小売市場と加熱する企業参入
2008年12月31日の大晦日、上海市内にあるデパート、上海第一八百伴(ヤオハン)では、朝8時の開店から翌朝元旦2時までの営業で、1日の売り上げが2.58億元(約35億円)を記録し、中国全土の最高記録を更新しました。2008年12月31日から2009年1月3日までの4日間で、上海市内の小売業の売上高は、26.95億元(前年同期比26.1%増)に達するなど、中国国内の消費の拡大が続いています。(「東方早報」)
こうした中国の消費市場拡大を受けて欧米企業の参入拡大も加速しています。英スーパーマーケットチェーンのテスコや、大店舗型スーパーマーケットを展開する仏カルフール、米小売りチェーン大手のウォルマート・ストアーズなどは、いずれも中国の消費市場を有望視して、中国各地域での店舗拡大を加速させています。テスコは東部山東省、東南部福建省を含む新規オープンの店舗展開を急いでいます。カルフールは今年の中国全土における店舗開店数を28店とし、昨年の22店から拡大させています。またウォルマートは2008年に30店舗を中国でオープンさせています。(「ダウ・ジョーンズ」)
(2)日本側の事情
日本の市場も変化しています。少子高齢化などを背景とした市場の伸び悩み、農林水産業を中心とする構造的な行き詰まり感が、日本のメーカーを圧迫しています。海外への輸出を希望する多くのメーカーも、国内市場の縮小を理由としてあげています。そんな中、日本の農林水産省は「攻めの農政」を合言葉に輸出支援措置の拡充を開始しました。同省によると、平成19年における日本の農林水産物輸出の総額は4,338億円に上り、前年比で16%増を記録しました。同省は平成25年(2013)年までに農林水産物・食品の輸出額を1兆円に伸ばす目標を立てています。とりわけ輸出先については、これまでのアメリカに代わって香港がトップ、中国が4位となっています。今後、中国・香港やアジア各国を中心に、日本食品の海外進出の動きは拡大するものと思われます。
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