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中国ビジネスの心得(前編)
小田 護 記事更新日.06.10.05
株式会社CJコンサルタント 
上海悉捷管理諮詢有限公司  代表取締役
■PROFILE
1958年4月 石川県生まれ
1981年3月 同志社大学経済学部卒 京セラ株式会社を経て1987年秋から中国ビジネスに関与し、数多くの企業経営に関与してきた。現在中国に進出された日系企業様に企業内管理を中心とした経営コンサルティング業務を日中2ヶ国語にて提供している。中国に進出された日系企業様との伴走型のコンサルティング業務には定評がある。上海を拠点に活動。

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 連絡先:
上海市長寧路1818弄2号1102
TEL:021-5272‐2114  FAX:021-5272‐8846
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国土面積が日本の26倍。人口は14億弱。(2005年年末の総人口は13億756万人。)近年では上海などの大都市を中心に富裕層が出現しつつある。しかも年率10%近い率で経済成長しており、2008年には北京でオリンピックが開催され、その2年後の2010年には上海万博が開催される。また同業他社様の一部も中国に進出しており何とか操業されているなどの情報を聞けば、誰しもこの中国という国に対してビジネス上の関心を持つことであろうと思います。

日本で報道されているこのような状況に対して、筆者は実際に中国に進出された企業様の実際状況をつぶさに目のあたりにしており、現地中国発の視点視座にて中国ビジネスの心得を記してゆきたいと思っています。少しでも各企業様のお役に立てれば幸いです。
■中国(中華人民共和国)のビジネス面での基礎認識
まずは基本的な中国という国家に対する認識を再確認することから中国事業そのものがスタートします。日本では【中国4000年の歴史】とかあるいは【中国5000年の歴史】という言い方がされる場合もあるようですが、確かにこのような表現は間違ってはいないのですが、こと中国でビジネスを展開していく上ではこのような認識では十分ではありません。

現在の中華人民共和国は1949年10月1日に建国された新しい国家であるとの認識が必要になってきます。その後、大躍進文化大革命 という出来事を経て、現在の中国での経済体制がスタートしたのが、1980年に入ってからであり、わずか26年間の時間しか経過していないとの認識がビジネス上は必要です。このことはいざ中国に進出して企業活動を始めると日常的に体験することになります。

このような認識のベースの上に現在の中華人民共和国の【キー・ワード】を考えてみますと

●格差
●多様性
この2個のキー・ワードが浮上してまいります。

まず、【格差】という概念ではさらに個別に分割することが可能であり、それは
同じ中国人であっても存在する世代間格差
同じ中国であっても存在する経済格差
同じ中国であっても存在する地域格差

このような個別格差が存在します。従って中国に進出するといっても北の方の北京・天津大連等に代表される華北地区と香港や広州に代表される華南地区とではまったくことなり、またこの両者の中間に位置する上海を中心とした華東地区も異なった社会的色彩です。

ビジネス上日常的に良く聞かれる話題に、平均給与はいくらですか?というフレーズがあります。日本の社会では戦後の歴史的経緯から平均値を求めやすい社会と平均値を求める日本人のメンタリティーを形成したといえると思いますが、こちら中国ではこの【格差】という概念のビジネス上持っている意味とは平均値を求めにくい、あるいは平均値は何ら意味を持たないということです。

第2の【多様性】という概念ですが、格差があるから多様なのか?多様であるから格差があるのかその原因と結果との関係はなかなか簡単に論じることが難しいものです。

まず多民族国家としての中国という側面があります。総人口の内92%程度は漢族といわれる民族ですが、全部で56の民族がいる多民族国家です。このことは日本とは大きく異なり地域によっては企業内管理の中での人事労務管理に少なからず影響を及ぼします。

また中国語といっても地域によって大きく異なります。北京を中心とした現在の普通語(一般的に我々外国人が勉強する中国語です)と上海を中心とした上海語、そして香港・広州を中心した広東語など同じ中国語であっても大きくは3分類あり、さらに地域ごとに方言が多く極端な場合には同じ中国人同士であってもコミュニケーションができない場合すらあります。もちろん中国人同士ですからどこの地区の言葉か聞いて判別することができるわけですが、コミュニケートできないというケースも実際には多いものです。このことも進出後の企業活動には重大な影響を及ぼすものです。

例えば会社が上海周辺にあり、その原料の供給先が中国の中西部(四川省などを中心とした内陸地区)にあった場合には、通常の商談の際には標準語でコミュニケーションができるわけですが、仕入先様にとり、相手(当方)に聞かれるとまずい内容などは地元の言葉で打合せをする局面も多く、当方の中国人通訳の方すらまったく聞いて理解できないということがあります。

さらに、企業の経営活動上に発生するさまざまな問題に対する解決方法などにも地域によりかなりの多様性がみられます。

また忘れてはいけない重要なこととして、政治的立場や主義主張は別次元の問題としても日本と中国との関係で過去の歴史を無視することはできません。中国の各地には抗日記念日という日があります。さしあたりこのような日に我々日本人が現地中国人の方から何かをされること(2005年春の上海市での反日デモは例外としても)はまずありませんが、それぞれの企業様が進出される地域を決定されれば、その地域での抗日記念日を確認するくらいの慎重さが必要です。このような記念日には創立記念式典を開催するなどは企業サイドとすれば、はやり避けるくらいの配慮と判断が必要です。

下記に一般的な抗日記念日を記しておきますので、参考にされて下さい。
また政治体制はあくまでも中国共産党が支配する一党独裁国家であることです。この独裁政権の良し悪しや、継続して将来も存在するかどうかの議論は別として通常の企業活動にとりこの共産党一党独裁という政治体制にはどのような意味を持つかといいますと、許認可行為が必要ということです。こちら中国である経済行為(日本国内では何ら法的規制がない場合であったとしても)を実施しようと思った場合には許認可申請をしなくてはなりません。その上で第2ステップとして許可ないし認可され、そしてある経済行為が実施可能になるという3ステップを踏まなくてはなりません。これが中国に進出された企業活動上の中国社会での社会主義的側面といえるのではないでしょうか?

従いまして企業活動上、可能なことと不可能なことということが存在します。逆に言いますと進出する事前調査段階で十分把握することが可能ということになります。

このような現代中国に対する基本認識が中国でビジネス展開をされる場合には必要不可欠と思います。
■基本的な商習慣・会社運営上の違いについて
日本との違いで大きく異なる点としては3項目あります。

第1には現地法人での企業内管理には、かなり幅の広い業務知識が要求されるということがあります。製造業の会社様であればこちらの現地法人の総経理(現地法人の社長に相当)には日本の製造部部長様や工場長の経験者の方が赴任されるケースが多く、またサービス業の会社様では日本本社の営業部長などが赴任されるケースが多いのですが、こちら中国での経営の実際的実務面では総経理は社長業としての判断をしなくてはいけない局面が多く、それぞれの会社様の事業のご本業のプロフェッショナルの方でもすべてこれらに対応できない場合も多いものです。後述しますが、中国に進出後は少なくても6つの企業管理項目があります。いかに早くこれらのことを理解するか?がポイントになってきます。

第2には通訳の方の問題です。日本本社から派遣される方で日本語と中国語とができるバイリンガルの方は本当に少数派ですので、必ず通訳の方を通してのコミュニケーションになります。最初の段階では誤解の当然と相互理解の偶然の原則が働くと考えてちょうどでしょう。この通訳の方の業務上の重要性の認識が必要です。(通訳の方の問題については詳細に後述します。)

第3には日本以上に中国でのビジネス・シーンでは契約社会の色彩が強いということです。企業経営上は人材(労働契約書)から設備(購入であれば売買契約書)販売であれば販売契約書などあらゆる経済行為に契約書がついてきます。この契約書にいかに慣れるか?つまり権利・義務や債権・債務のように相対立する2概念の思考方法にいかに慣れるか?などもポイントになってまいります。最悪の場合の損害範囲は明確か?違約の際のペネルティーは具体的か?などはあらゆる契約書での共通する確認すべき事項です。
■事前調査のあり方とは?
中国に進出する前段階で事前に確認・判断をしておかなくてはならない事項を中心に論を進めていきたいと考えています。

まずは徹底した自社分析からスタートすることになります。この自社分析作業が中国進出における最初のハードルともいえます。この分析作業というのは既に中国進出の事業そのものであり、限られた経営資源である資金・時間・人材などをどこまで投入するか?あるいはできるか?からスタートすることになります。この段階で中国に進出するメリット・デメリット/リスク・アドバンテージなどをどの程度までクリアーさせるか?が重要なポイントです。このように分析した情報をキチンと整理し、会社としての意思決定をする必要があります。この段階で注意を要する点は日本的意思決定方式ではいけないということです。必ずそこには相反する【慎重さ】と【意思決定するスピード】が要求されます。

よくあるのが日本と中国とは飛行機で2〜3時間の時間的距離であるため、次回中国に来たときにでも決定するというパターンや日本本社と検討したのち決定するというものです。中国での外部環境の変化(法的環境などの規制環境の変化速度など)は驚くくらい速く、本来は外部環境の変化より一歩先をゆく社内での意思決定が必要ですがどうしても遅れがちになります。十分注意する必要があります。

また中小企業様であれば日本の経営トップ自らこちら中国の現地に入ることも重要です。経営トップ自ら中国に入ることになりますので、日本本社での管理体制の構築が社内で問題になります。ここが重要なところで中国現地法人設立後の日本本社での管理体制作りとニ アー・イコールの作業になります。

ここで少し視点を変え、日本以外の国の企業様が中国に進出する場合の手法を考えてみましょう。欧米系企業の事前調査スタイルというのは実にスマートに見えます。なぜスマートに見えるかといいますと事前に費用と時間をかけ、十分な調査を実施し、そのあとの判断が非常に早いからです。一方、我々日本人の典型的パターンは、なかなか事前調査に費用と時間をかけていないのではないか?と思われます。そのため十分な調査ができず、当然適切な意思決定も下すことができず、その結果として大切な判断を下すタイミングまでをも逃がしてしまっているのではないか?と思われます。このような発想・あるいはアプローチの違いが、その後の大きな成果の違いとなって現れていると思われます。

笑い話ですが、欧米人は企業活動上で問題が発生した場合には、弁護士を探すと言い、われわれ日本人は保険会社を探すそうです。一方中国人は問題が発生した場合には友人を探すそうです。

それぞれのお国柄によって問題が発生した場合の対応の違いを見ることができるジョークですが、こちら中国での事前調査活動にはお取引のある銀行様や弁護士事務所や私どものようなコンサルタントなど幅広いルートから多角的方向で情報を入手する姿勢と実際の状況をご自身で確認するという姿勢を片時も忘れてはいけないと思います。

このように事前調査には時間と費用がかかりますので、事前調査実施計画書などを策定することが必要です。添付資料のようなガントチャート を応用した図などが有効です。
まずは中国事業の目的の明確化があります。経営資源の乏しい中小企業様にあってはこの目的の明確化がまずは第1です。
1. 製造業の会社様であれば製造拠点を中国に設け、対日輸出型のビジネス・モデルとするのか?
2. あるいは製造拠点は中国にあるが、中国国内販売を中心に展開していくのか?
3. あるいはそのどちらも狙うのか?
などのような基本戦略を明確にしておく必要性があります。

具的的には下記ようなチェック・シートにキチンと回答できるかどうかです。一度チェックをしてみてください。
中国進出初期Q&A集

番号 本文 回答
1 中国に進出ないし市場参入するメリットはありますか?  
2 もしあるとすればどのようなメリットですか?  
3 そのメリットは財務上の数字でどのように表示できますか?  
4 実際に現地中国に派遣できる人材は社内にいますか?  
5 派遣人員の方への中国派遣事前トレーニング計画書はありますか?  
6 もしいない場合には、どのような人員計画がありますか?  
7 中国に進出後の日本本社の体制はどのようになりますか?  
8 現地中国での実際の仕事・受注はありますか?  
9 具体的な短期収支計画書はどのようになりますか?  
10 いったいいくらまで中国に投資できますか?  
11 何の技術(設備も含めて)を持って行きますか?  
12 もしブランドなどがあるのあれば現地で使用するブランドはどうするのですか?  
13 単年度黒字化するのは、操業開始後、第何期目でしょうか?  
またこの事前調査の段階で非常に大事な考え方にトリガー・ポイント(Trigger-Point)というものがあります。

トリガーとは銃などの引き金のことです。トリガー・ポイントとは引き金をひくタイミングです。いつ引き金を引くのか?つまり実際に中国に進出した会社がどういう状況になれば、どのような判断を下すか?ということを設定する必要があります。

具体的に言いますと貸借対照表上の自己資本がどこまで減少すればどのような判断を下すのか?また、損益計算書の当期利益が何期連続で赤字の場合にはどのような判断をするのか?などです。

また、中国社会での法規制の変化も見逃せません。新しい法規制が出た場合にはどのような判断をするのか?

これらのような最悪の場合のシナリオも進出計画段階でキチンと押さえておく必要があります。

日本では「石の上にも3年」という諺があります。3年間は辛抱することができるのであればで良いのですが、第4年目以降はどのような状況を想定するのか?なのです。

今が辛抱のしどころということもあるでしょう。ただ企業活動ですので会社がどのような状況になればどうするのか?というルール作りあるいは枠組作りも一方では必要です。

これは先ほど会社運営上の違いでお話した相対立する2概念の思考方法の一つともいえます。
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