まずこの7つの社内管理体制と12の対外政府部門という本題に入る前にこちら中国では何を行うにも【最初から人】の問題に直面します。日本では【最終的に人】であるといわれるようですが、こちら中国では【最初から人】の問題です。これは社内管理の中での人事労務管理にもつながりますが、まずは通訳の方について考えてみたいと思います。
中国での会社経営では我われ日本人が日本国内と同じように単独で、なし得る範囲は悲しいくらいその範囲が狭いものです。そこには必ず通訳の方が必要になります。
中国進出される経緯が素晴らしい中国人との方とのめぐり会わせ(ご縁)で進出されるとう会社様もありますが、大多数の企業様は通訳の方を事後的に採用することになります。
さてこの通訳の方の採用基準が重要です。
考慮すべき能力要素とすれば3つあります。
1. 日本語での表現能力
2. 文脈理解力
3. 専門知識
この3つです。
まず第1の日本語での表現能力は1984年より実施されている国際日本語能力試験などの結果により定量的に判定することが可能です。1級〜4級まであり1級が一番難しいものです。
第2番の文脈理解力というのは、話の全体の流れを把握する能力ともいえます。通訳の方は<言い手>と(聞き手)の間に立ち、その内容を外国語にて瞬時に変換する作業を行いますが、<言い手の方>の次なる発想を事前に察知する能力と(聞き手の方)の理解度合いを確認する作業を同時進行で行わなくてはなりません。
第3の専門知識とは、それぞれの会社様で必要な業務知識です。機械製造メーカー様で求められる業務知識とサービス業の会社様に求められる業務知識とは大きく違っているはずです。
私は通訳の方の主要な能力測定基準は第2の文脈理解力にあると考えています。通訳として採用し、それなりの処遇を享受するわけですから日本語での表現能力はいわば通訳として当然のことでもあるわけです。また第3の専門知識なども第2の文脈理解力が高い方は意外と速いペースで取得されるものです。どうしても日本国内では日本語という「単一言語社会」(もちろん地方により方言はありますが)ですので、日常的に通訳の方の能力を測定する機会が少ないかもしれませんが、新たに通訳の方を採用するときにはこのような基準が必要になってくるように思います。
さらに会社設立直後には、日本人管理者の方も中国社会で何をするにしても一人ではできなかったことが時間の経過とともに完璧ではないにしても、日常会話くらいはできるようになり、相手が何を言っているのかは薄っすらと分かるようになります。そうしますと以前は大変頼りにしていた通訳の方の社内での業務内容も大きく変わってきます。通訳専門としてだけで採用するのではなく、総務部ないし営業部といったスタッフ系の部門でキチンとした主要業務を設定することが肝心です。
中国人通訳の方は日本語ができますので、日本人と通訳の方との距離は非常に近いものになりますが、観察すべき距離感はこの通訳の方と社内で働いている中国人社員の方との距離感です。つまり通訳の方自身の同じ中国人社員とのコミュニケーション能力です。
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