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不動産有効活用の手法
佐藤和生 記事更新日.06.12.01
株式会社サトーハウジング 代表取締役
■PROFILE
愛知県生まれ。
明治大学法学部卒業 昭和52年より不動産業を営む。
平成6年、建設大臣認定の不動産コンサルティング技能登録制度ができ、 その資格を得て不動産コンサルティング業務を行っている。

<得意分野>
土地の有効活用、借地・借家の権利調整、相続対策、 企業の出店用地取りまとめ、売買仲介、事業用賃貸等
<保有資格>
不動産コンサルティング技能者 、宅地建物取引主任、ファイナンシャルプランナー(CFP)、 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 管理業務主任者、 住宅ローンアドバイザー

<現 職 >
愛知県不動産コンサルティング協会 事務局長 、 (社)愛知県宅地建物取引業協会 参与 、 (社)愛知県宅地建物取引業協会不動産専門相談員

連絡先
株式会社サトーハウジング
〒491-0802  一宮市千秋町勝栗162
TEL 0586-77-0168  FAX 0586-77-1018
sato@satohousing.co.jp

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■地価動向

土地神話が崩壊し、公示価格は全国平均では地価の下落率が減少傾向にあるも平成4年より15年連続して下落が続いている。

地価公示によると名古屋圏の住宅地は下記の状況である。

・  
3年連続で下落幅が縮小した。
・  
名古屋市は、平成3年以来15年ぶりに平均で1.4%上昇となった。東区・千種区等半数以上の区が平均で上昇となった。
・  
名古屋市のほぼすべての地点が上昇または横ばいとなった。東区の地価水準を過去の地価水準と比較すると、昭和57年頃の水準である。
・  
名古屋市近隣の尾張地域東部の豊明市等や、地域経済が好調な西三河地域の安城市等は、平均でわずかに上昇となった。
・  
これらの地域以外では依然として下落している地点が多く、圏域全体では、なおほぼ6割の地点が下落している。
名古屋圏の商業地は下記の状況である。
・  
平成3年以来15年ぶりに平均で0.9%上昇になった。
・  
名古屋市は、平成3年以来15年ぶりに平均で5.0%上昇になった。特に、中村区・中区は平均で1割を超える上昇となった。
・  
名古屋市の約8割の地点が上昇または横ばいとなった。特に、名古屋駅周辺・栄地区の商業業務施設が集積しつつある地区の地点は3割を超える上昇率となった。中村区の地価水準を過去の地価水準と比較すると、昭和49年以前の水準である。
・  
これらの地域以外では依然として下落している地点が多く、圏域全体では、なお約5割の地点が下落している。
元気な名古屋が地価動向にも現れているが、周辺地域では依然下落が続いている。このような地価動向の中で、どんな有効活用方法があるか。

■有効活用手法

1.自己建設方式

建物を建設し賃貸事業を営むに際し、土地所有者が自ら企画・建設して運営・管理する方式。

仕組み

a.  
土地所有者が立案する。
b.  
立地条件の調査
c.  
法規制
d.  
設計
e.  
建設会社の選択  
f.  
資金調達
g.  
建設請負契約
h.  
完成引渡
i.  
テナントの募集(賃貸借契約)  
j.  
建物の管理・運営

メリット

(1)  
土地所有者の意向がすべて反映される。
(2)  
外部に委託しない分賃料を満額手に入れることができる。
(3)  
借入金は相続財産の債務控除となる。
(4)  
相続財産評価減となる。

デメリット

(1)  
多額な資金を調達しなければならない。
(2)  
すべて自己において行うためハイリスクを負う。
(3)  
大変手間がかかる。

2.事業受託方式

土地所有者はデベロッパーに企画建設・運営管理すべてを委託する。デベロッパーは自らの企画で建設し、土地所有者よりその建物を一括借り上げ転貸し賃貸事業を行う。
土地所有者は建設資金を金融機関より借り入れる。

メリット

(1)  
土地所有者は土地を売ることなく有効活用ができる。
(2)  
デベロッパーのノウハウを享受できる。
(3)  
土地所有者は手間がかからない。
(4)  
一括借り上げ(家賃保証)のため空室リスクがない
(5)  
借入金は相続財産の債務控除となる。
(6)  
相続財産評価減となる。

デメリット

(1)  
多額の資金を必要とする。
(2)  
デベロッパーの利益分が賃料収入減となる。
(3)  
家賃保証を長期間受けるためには、建物の定期的大規模修繕が必要となる。
(4)  
建物が老朽化すると家賃保証が受けられなくなる。
(5)  
採算の取れる土地に限定される。

3.土地信託方式

土地所有者は信託銀行に土地を信託し、信託銀行は信託財産として運用し、その収益を土地所有者に配当する。

仕組み

a.  
土地所有者は土地を信託銀行に信託する。(土地の所有権は信託期間中信託銀行に移転する。)
b.  
信託銀行は、自ら企画し、資金を調達し建物を建築する。
c.  
信託銀行はテナントを募集し賃貸事業を行う。
d.  
信託銀行は、賃貸収入より必要経費・手数料を引いた運用益を土地所有者に配当する。
e.  
信託期間終了後、土地・建物を現状で土地所有者に返還される。  

メリット

(1)  
土地所有者は自己資金が不要。
(2)  
土地の名義は一時的に信託銀行に変るが、信託期間終了後土地所有者に戻される。
(3)  
信託銀行のノウハウを活用でき賃貸事業に参画できる。
(4)  
信託受益権を譲渡し換金できる。
(5)  
信託配当は不動産所得となり特典が受けられる。
(6)  
相続財産評価減となる。

デメリット

(1)  
実績配当となるため、空室リスクを負う。
(2)  
信託手数料がかかる。
(3)  
採算の取れる土地に限定される。

4.等価交換方式(分譲マンション等)

土地所有者が土地の一部または全部をデベロッパーに譲渡し、デベロッパーがその土地上に区分所有建物を建設して、土地譲渡分に相当する区分所有建物を土地所有者に提供する。

メリット

(1)  
土地所有者に発生する土地譲渡益は買換え特例を利用すれば課税の軽減または繰り延べできる。
(2)  
土地所有者は資金調達が不要。
(3)  
デベロッパーのノウハウを享受できる。
(4)  
土地所有者は取得した区分所有建物を賃貸し賃料収入を得ることができる。
(5)  
土地の一部を区分所有建物に変えることにより、相続財産の評価減となる。
(6)  
区分所有建物を取得するため財産分割が容易となる。

デメリット

(1)  
土地所有者が取得する区分所有建物の取得時期は、交換により取得した日となるため、取得後短期に売却すると、短期譲渡所得税が課税される。
(2)  
区分所有建物の取得価額は譲渡した土地の取得価額となるため、取得した区分所有建物の売却時に多額の譲渡益が発生する。
(3)  
取得した区分所有建物を賃貸事業にする場合、減価償却費が少額となるため事業利益が多く発生する。

5.定期借地権方式

従来の借地法では、一旦土地を貸すとその返還を求めようとする場合その土地所有者に「正当事由」があるかどうか判断され、多くの判例ではほとんど正当事由が認められていない。土地所有者は、返還を断念するか、多額な立退き料を支払って明け渡しを求めるかの選択を余儀なくされた。従って土地所有者は貸すことを避けるようになり、土地の有効活用が図られなくなった。平成4年に土地有効活用を図るため、期間満了には必ず土地所有者にその土地が返還されるためにこの制度ができた。

メリット

(1)  
土地所有者は自己資金が不要。
(2)  
建物用途が居住用であれば固定資産税が軽減される。
(3)  
長期安定契約が望める。
(4)  
期間満了により、土地は必ず返還される。

デメリット

(1)  
一定期間土地が拘束され、自由に使えない。
(2)  
普通借地契約と比べ、相続税の評価減が少ない。
(3)  
地代収入のみであるため、必要経費が少ないので税負担が重くなる。
定期借地権の比較
- 一般定期借権 建物譲渡特約付借地権 事業用借地権
期 間 50年以上 30年以上 10以上20年以下
用 途 制限なし 制限なし 事業用のみ
契約方式 公正証書等の書面 制限なし 公正証書
借地の終了 期間満了 建物買取り 期間満了

*最近では、事業用借地権の手法が多く利用されます。

6.建設金協力方式(リースバック方式)

土地所有者は建設資金を借主より借り入れ、建物を建築し賃貸する。賃貸借契約開始後、長期にわたり賃料のうちから借入金を分割返済していく方式。

メリット

(1)  
貸主は多額な資金を必要としない。
(2)  
相続税の評価減となる。
(3)  
長期の賃貸借契約となる。

デメリット

(1)  
店舗の場合、建物プランに対して借主の意向が強く反映されるため、期間満了後次のテナントを探すのに苦労することがある。
(2)  
中途解約があった場合は、土地所有者に負担が生じることがある。

■有効活用の留意点

有効活用の目的は、第1に長期安定収入の確保にある。次に相続対策である。
相続対策を第1に考えて行うと、長期安定収入が確保されない場合がある。
例:  
建築業者から相続対策になるといわれ、銀行から建築資金を借り入れして、賃貸マンションを建てたが、入居率が悪い。毎月の借入金返済で苦労している。
* よく聞く話である。土地の評価は確かに評価減となり相続税対策にはなるが、立地あるいは高賃料のため入居者が少ない。長期安定収入を第1に考えなかった点に判断ミスがあった。

長期安定収入の条件

(1)  
よい企画
(2)  
よい建物
(3)  
よい管理
(4)  
よいテナント
(5)  
よいコンサルタント
(6)  
よい建築会社

家賃保証の落とし穴(サブリース契約)

最近、建築会社は建築の受注を取るため家賃保証を付けることが多くなりました。本当に安心でしょうか。
保証期間  建物完成後10〜15年が多い。しかし、この期間は比較的空室が少ない。空室が多くなるのはこの後からである。これ以降の保証を取れるかどうか。 
保証額  賃料の5〜8割と幅があるが、満額ではない。 
長期保証するための条件  10年以降の保証を付けるためには、定期的(5〜10年毎)な大規模修理を要求される。 
賃料  土地所有者と建築会社との間で契約した賃料は、状況によっては減額されることがある。 判例もサブリース賃料の減額を認めている。  
建築会社の破産  長期間のサブリース契約を締結するため、建築会社の信用リスクが生じる。 
以上の点を考慮して、建築会社と契約する前に契約内容をよく検討しなければならない。場合によっては専門家にコンサルタントを依頼することが必要です。当初のシミュレーションのとおりにいかなく収益性が悪くなり、せっかく有効活用した資産を泣く泣く手放す例が多くあります。「家賃保証」聞こえはよいが、中身が問題です。

最後に

基本的な有効活用手法を紹介しましたが、これ以外にも、不良資産を売却して優良資産に替える買換え活用、土地譲渡税対策の企業買収(M&A)等があり、これらの組み合わせによるいろいろなバリエーションがあります。有効活用の目的、期間、資金調達額を踏まえて、不動産コンサルタント等の専門家に相談の上、有効活用手法を決定することをお勧めします。
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