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ベトナムビジネスの現状
松嶋 威央 記事更新日.07.01.04
OVTA 国際アドバイザー
■PROFILE
1941年 大阪生まれ
1967年 神戸大学大学院工学研究科(機械)卒業、トヨタ自動車工業(現トヨ タ自動車)株式会社入社、主にボデー・内装設計に従事。
1993年シロキ工業株式会社に転籍し生産技術、工場などを経て1996年ベトナム現地合弁子会社(金型製造)の社長就任。
以後操業開始から2006年の清算まで9年半の間現地に駐在し、本年2月帰国。現在シロキ工業顧問。
2006年10月 OVTA海外アドバイザー登録。
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ベトナムは2006年11月にAPECの議長国として建国以来最大のイベントを無難にこなし、 またほぼ同時にWTOへの加盟も決まるなど国際的な存在感・評価が高まっています。                   

一方AFTA(東南アジア自由貿易協定)も段階的に進んでおり、地理的な優位性や中国一極 集中のリスク回避などもあって、現在ベトナムでは第二の投資ブームとも呼ぶべき外資企業の 進出ラッシュが起こっています。

今回は、私の駐在経験も踏まえベトナム国とそのビジネスの現状について概要を紹介させてい ただきます。

■ベトナム社会主義共和国

現在のベトナム社会主義共和国は1975年に南北が、統一され発足しました。米国との戦争で荒廃した国を発展させるため市場経済化政策(ドイモイ)を推し進め、この10数年間は毎年8%前後の高い経済成長を続けています。

近年の経済成長により都市部の発展・変貌には目を 見張るものがありますが、人口の8割を占める農村部との格差、貧富の差は拡大しており大きな問題に なりつつあります。

一般にベトナム人は頭がよく手先が器用で識字率も90%以上と高く、豊富な人口とあわせ魅力的な労働力市場となっています。

またベトナム人はしたたかな反面、人当たりがよく考え方も日本人と共通するところが多いので、日本人にとっては住みやすい国であるといえます。

■ベトナムの歴史

ベトナムの歴史はある面では外敵との戦い・攻防の歴史であるといえるでしょう。古くは唐代以前の中国から最近のアメリカあるいはカンボジアとの戦争に至るまで、侵略と反撃が繰り返されてきました。町のあちこちにはこれを物語る国防の英雄たちの彫像が立っています。

1945年にホーチミン氏が独立を宣言し(ベトナム民主共和国)対仏独立インドシナ戦争が始まりました。1954年要衝ディエンビエンフーを陥れてフランスの植民地を脱し独立しましたが、1960年には南にベトナム共和国が成立しベトナムは政治体制の異なる南北に分断されました。 

その後長いベトナム(対米)戦争があり、その最終段階で1975年サイゴン(現ホーチミン市)が陥落して南北統一が果たされ現在のベトナム社会主義共和国が成立しました。これらの戦争の痕跡と後遺症は今もいろいろなところに残っています。

ドイモイ政策が採択されたのは1986年で、その後中国、米国との関係改善、ASEAN加盟など経済発展のための諸政策を推進し、冒頭に述べましたように国の発展と国際的な評価の向上に成果をあげてきました。

日本との関係では、1973年に国交が樹立されましたが上記のようなこの地域の国際関係に起因するさまざまな理由により、両国の関係が急速に発展したのは1990年以降のここ十数年に過ぎません。近年はODAなどの経済協力、貿易、投資各分野でベトナムの社会経済の発展やインフラ整備に大きな貢献を果たした日本は政府、国民から高く評価されています。

1990年代半ばに第一次ベトナムブームが起こり多くの海外投資家がベトナムに進出しました。 ベトナム政府の外資優遇政策もあって日本からも自動車、家電、オートバイなど、内需指向型製品の現地生産のため多くの企業が操業を始め、前後して建設業、銀行、商社、保険、物流など金融・サービス業の進出も相次ぎました。

1997年のアジア通貨危機の影響で海外投資は急減しましたがこの2,3年は再び増加し、前述のように第二次のベトナムブームといわれるように活況を呈しています。最近の傾向はベトナム政府のポリシーもあって裾野部品製造および輸出指向型製品での投資が多いようです。

■投資環境

未だにベトナムというと先ずベトナム戦争を思い浮かべる日本人も多いと思いますが、冒頭に述べましたように1990年以降の市場経済化政策によるベトナムの発展には目覚しいものがあります。今後とも市場経済化が推進され、後戻りはないという感覚が国全体に定着してきておりその点では安心して投資できる国と考えられます。

もちろん古い体質、改善されるべき課題、注意すべき点などは多く残っています。以下に現地進出を考える上でのベトナムの優位点と問題点などについて簡単に紹介いたします。

1.ベトナムの優位点

投資先としてのベトナムの優位点を挙げますと、

*優秀な人材と競争力のある労働コスト

  
「ベトナム人は頭が良く、勤勉で忍耐強く、器用である」はすでに常識の感があります。    
この優秀な人材を、ドル換算40ドル前後/月(ワーカーの場合。また諸手当や社会保険などを除く)で採用できるというコストの安さが大きな魅力になっています。

*政治的社会的な安定性

  
ベトナムは中国と同様共産党一党が指導する社会主義国で、現状では高い経済成長のもとで基本的に社会は安定しています。ただ拡大する貧富の差と蔓延する汚職を抑制することが将来にわたる安定のひとつの鍵になると思われます。

*日本との良好な関係

  
主要な貿易相手国であり最大の投資国(実行ベース)かつODA援助国である日本は、 ベトナムにとって最重要関係国のひとつです。計画した投資案件は必ず実行し、長期的 視野で成果を上げていく日本企業の投資やビジネスのスタイルはベトナムでも高く評 価されています。

*地理的な優位性

  
東アジアの地図を見れば一目瞭然ですが、ベトナムはASEAN諸国と中国の中間に位 置しかつ長い海岸線を持っており、国際政治・経済上の要衝にあるといえます。将来は 東アジア経済圏の発展に伴って重要な役割を果たす場面が多くなると思われます。

*8300万人の人口

  
40歳以下が全体の約80%という8300万人の人口は、前述した労働力供給源として、また、すでに拡大しつつある消費市場として大変魅力的です。現在の経済成長が続き、インフラ整備や国民所得の向上が進めば飛躍的な市場拡大も期待できます。

*良好な生活環境

  
最近の投資ラッシュで都市部の外国人向け住宅はかなり逼迫しているようですが、日本 人が生活するうえで衣食住に大きな問題はないと思われます。(個人差はありますが)
また治安は良く、とくにハノイでは夜遅くまで安心して一人で町を歩けるほどです。

2.留意すべき問題点

ベトナムへの進出を検討する際に留意すべき問題点を簡単に列挙しておきます。

*上昇する労働コストと人材難

  
自明のことですが現在の低賃金はいつまでも続きません。また優秀な人材、中間管理職の採用は難しくなってきております。採用後自社内で育成せざるを得ないでしょう。

*未発達な裾野産業

  
原材料、部品さらには熱処理といった裾野の部分は、多くを輸入に頼らなければならないのが現状です。

*頻繁に変わる法律や制度

  
突然変わる、人・部署で解釈が異なる、法律間で整合しないなど投資家の不満が強い問題も、早急な改善は期待できないでしょう。

*関連公機関の能力不足と非効率性

  
とくに日ごろの付き合いが多い通関局や税局の縦割りの体制と責任回避の体質、さらに社会全体に染みついているコミッション(賄賂)の習慣は我われをいらいらさせます。

*インフラの未整備

  
徐々に改善されていますが道路、電力、水、通信などまだまだ十分ではありません。

■ベトナム進出の手順

ベトナムへの投資を具体的に検討される場合、ベトナムの関連法規に従って進出の手順を進めることになります。以下にポイントのみ簡単に説明いたします。

*進出形態

種々の理由から100%出資の単独進出が望ましいのですが、サービス、メディア、エネルギーなどの分野に事業協力契約や合弁企業以外の投資が認められない事業内容がありますので、事前に十分調査しておく必要があります。

*投資先(場所)

事業内容で自動的に場所が決まるケースもありますが、製造業などの場合は工場の建設場所選定が重要な検討項目になります。
一般には南部(ホーチミンおよびその周辺)か北部(ハノイおよびその周辺)、あるいは外資誘致に熱心な省ということになります。また工業団地に入るか自前で用地を確保するかも検討しなければなりません。いずれにしても工場用地は土地使用権の賃借という形で確保することになります。

*会社設立のステップ

上記の検討と並行することになりますが、投資の方向が決まれば会社設立のための作業に入ります。ここでは製造業を念頭においた標準的なステップを簡単に列記いたします。(必ずしも下記の順序で行われるわけではありません)

いずれにせよ、進出に当たっては専門家や経験者あるいは、必要に応じ現地の日系金融機関や工業団地運営会社等に相談されることをお勧めします。                    

社会主義体制の中で市場経済政策を進めるベトナムは、同じ道を先行する中国の10年位後を追っているというのが私の大雑把な印象です。中国のビジネス上の多くの問題はベトナムでも顕在化しておりますが、ベトナム(人)は中国(人)より一言で言うとソフトかつウエットで、日本人としては付き合いやすいと個人的には思っています。
皆様方の中からベトナムに興味をもたれ、投資を検討される方が一人でも多く出られ、成功されることを心から期待しております。

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