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「人を活かす経営」― 中小・中堅企業成長の要諦
竹内 弘之 記事更新日.07.08.01
社団法人中部産業連盟  副会長待遇専務理事 総合事業本部長
■PROFILE
1934年大阪府吹田市生まれ。 57年南山大学社会科学部卒業後、中産連にて経営コンサルタントとして長年にわたり中小企業の育成、企業の合理化に従事するかたわら、多くの経営者、管理者の育成に携わってきた。 88年6月より現職。愛知工業大学経営情報科学部特任教授(兼職) 。 環境パートナーシップ・CLUB(EPOC)総合事務局長

連絡先
社団法人中部産業連盟
〒461-8580 名古屋市東区白壁3丁目12−3
TEL 052-931-3181  FAX 052-931-5198
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プロローグ

中小・中堅企業は、ある意味でプロ野球チームである。中日の落合監督や楽天の野村監督に代表されるようにプロ野球球団の監督は個性が強く、勝負に立ち向かう信念、選手時代の専門分野を拠り所にワンマン経営に徹している。そして監督の考えていること、やろうとしていることをいち早く察知し、どんな分野でも処していく少数の有能なコーチがいる。多くを教えないが、幹部選手は投手、捕手、一・二・三塁手、ショート、ライト、センター、レフトの各ポジションを守り、“勝つ”という目標に対してベクトルを合わせ、プレーに専念している。控え選手は、レギュラー選手の一挙手一投足を見て学び成長していく。翻って光っている中小・中堅企業を見ると、経営者の周りには、何でも対応できる有能な番頭的幹部社員が社長を支え、取引先との良好な関係を維持し、従業員を動かしているのである。

このような有能な人材が、教育訓練の機会の少ない中小・中堅企業でどうして育つのか、そこに「人を活かす経営」がある。その前提として「魅力的な企業の条件と人づくり」を考えることが大切である。

魅力的な企業の条件と人づくり

企業は「強く」なければならない。(「強く」とは、収益第1主義で収益拡大と効率財務を目指し、ヒトの効率的配置と大量生産(多品種)、生産性向上のための設備投資を強力に推進する経営である)しかし「良い会社」にならなければ存在する価値がない。これからの企業経営は、企業行動の前提として、地球環境、社会環境、個人生活、そして国際的なルールにマッチすることがより重要になってきた。そしてポスト業績第1主義の評価に、元NEC関本忠弘会長は、「良い会社」を提唱され、その条件として@経済的貢献=業績の向上・競争力の維持、A社会貢献=企業市民として社会・環境問題への対応、B文化的貢献=メセナ・フィランソロピー活動、C科学技術への貢献、D社会・株主・従業員への還元を上げている。これは、大企業、中小・中堅企業を問わず重要な条件である。

また、アメリカを中心とした企業評価には、第1に伝統的な財務分析ツール、第2にCS(顧客満足度)、第3にリターンを目的にしない社会貢献を重視、第4に研究開発投資、第5にキャッシュ・フローによる評価がある。これらの総合的な評価がモノサシとなる。

魅力ある会社の条件は、会社の理念、企業行動が社会的に十分信頼され、社員がそこに働くことに喜びを感じ、仕事を通して自己実現を果たし、達成感を味わえることである。そしてその結果について上司が評価し、賞賛が行われている。ここでは社員は職場に満足し、辞めることはない。魅力ある会社はたえず新しい魅力を創りつづけながら変化している。  

会社の魅力度の条件をまとめてみると、第1に企業自身に魅力があることである。それは、経営者が社会的なリーダーであり、開発力、新技術によって商品づくりを行っているかどうか、第2に労働条件において時代をリードしているかどうか、第3には魅力的な事業分野にあり、仕事が挑戦的でしかも自己啓発ができ、仕事に発展性があるかどうか、第4に企業の経営理念・行動指針に共感できるかどうか。第5に、職場の風土において、管理者が信頼でき働く仲間意識に共感性があり、職場風土が明るく活性化していて人間関係がよいかどうか。第6に労働条件に先駆性があり、仕事と生活、余暇の共生が配慮されているかどうか、があげられる。

人を活かす

少子高齢化がすすみ、若年労働者の減少と、製造現場離れがひとつのきっかけとなり、工場環境の見直しが大企業から中小・中堅企業まで拡がりを見せながら始まっている。環境問題の対応も大きい。生産現場の魅力アップのためには、“人にやさしい”環境重視の対策、とくに3K職場のイメージを払拭するために、きつい作業をロボットに置き換える自動化を推進するなど手が打たれている。

また、商品開発とデザインにおいても快適性が要求され、さらに使いやすさ、シンプルさ、疲れにくさなどのデザイン思想が取り入れられてきた。人に優しい作業環境は、第1に働く人は死に物狂いから生き生きへ、第2に計画はフレキシビリティ、フィジビリティ、第3に生産は達成感、満足感、生きがい、自慢作、 第4に環境は地球に、人に優しく満足させることである。職場の活性化は、職場の環境整備から着手し、モノづくりの方法を変え、人の心を変えていくことで、人を活かすことになるのである。

職場活性化の条件―職場が効率よく機能するためには

(1) そこで働いている人々が、
心から仕事に打ち込んで仕事の中に生きがいを感じる職場環境、つまり働きがい、生きがいといった個人の欲求がその職場で、仕事を通じて十分に実現されることが大切である。
(2) 職場が効率的であるとは、
職場の一人ひとりが、ひとつの共通した目標に向かって力を結集して忙しいということでなくてはならない。そして、共通目標が明確に意識されているか、その目標が職場の全員の合意を得ているものであるかも大事なことである。従って、その共通目標は上から押し着せるものではなく、全員の手作りの目標でなければならない。

全社的活性化活動の展開

(1) トップは強い志を
全社的活性化活動の展開には、企業を活性化し、社員にやる気を起こさせる組織戦略をたてること が何よりも大切である。そのためには、第1に、企業リーダーは志を持つことである。そして強いリ ーダシップを発揮することである。リーダーは、企業に変化を企画し、これを成就するよう渾身の力 を振るい、実現に導く人である。そして、組織の中で革新性の強い人から接触を開始し、これを動か し、次第に多数の人を巻き込む運動に長じた人でなければならない。こうしたリーダーに導かれた企 業においては、変化は常態となる。そして、その変化は絶え間なく起こされ、所期の成果を収め続け る。やがて企業は、変化そのものが組織の体質となり、ますます大きな変化をものともせずに挑戦す るようになる。こうなった企業は、風雪に耐え得るバネのきいた体質を持っているので、環境変化を ものともせず、強く生き抜くことになる。

第2に、いま所属する人材を組み合わせて能力の向上をはかり、意欲の高まりを感じる目標を与えて刺激することである。その結果、業績向上と従業員のやりがいを感じるみずみずしい組織をつくることができる。企業組織の活性化においては、プロ野球チームにおいて、監督、コーチや選手を入れ替え優勝することとおのずから異なる。ベテラン選手を生かし、新人選手の能力アップと出番を与え育てあげ、“勝つ”ことにチームの一人ひとりに意識をもたせ、チームワークと個性を生かし、優勝というゴールを獲得したとき、企業は活性化するのである。三無主義の新人類と呼ばれる若者、家庭を持つ勤労女性、男性職場に進出するキャリアウーマン、高齢化に伴う中高年者さらに派遣社員、外国人労働者などこれまで以上に増大する企業組織の運営が、重要な課題である。

私は、企業の体質改善、会社の総力結集、協力体制の確立、そして創造的経営推進のための課題である組織活性化をはかる推進力として、T-MAP(総合マネジメント・アクション・プラン)を開発し、推進してきた。

T-MAPは、企業活性化のための諸方策をシステム的に進めることによって、企業が脱皮していく、その構想と体系についてまとめたもので、数多くの企業で適用され、成功している。

(2) まずビジョンづくりを
T-MAPの狙いとするところは、従業員の一人ひとりが、適性や能力を最大限に発揮できる環境づくり、また、一方目標を追求する集団によってつくられた職場風土、言い換えると業績成果の向上と人間能力の向上が両立する状況を確立するところにある。企業がニーズとするところは、第1に企業構造変革が可能な技術開発力づくり、第2に、ニーズ変化に即応できる柔軟な組織づくり、第3に、全員参加による働きがいのある職場づくり、そして第4には、企業競争力をつけるための効率追求体制づくりにある。従業員の欲求は、第1に、自分の経験、知識を生かし、能力発揮できる仕事がしたい、第2に努力した結果について公正に評価して認めてもらいたい、第3に共感できる仲間と一緒に仕事がしたい、にある。

この企業ニーズと従業員の欲求を一致させる。すなわち、企業の業績評価の向上と、従業員の満足度の向上が図られている状態、これが人と組織の活性化である。「活性化」という言葉は、もともと化学用語からきたものである。活性化するときは、分子の組み合わせはそのままにしておいて、分子の配列順序をかえたり、外から触媒を加えたり、分子に熱を加えたりして、元の分子とは違った性質のものにかえることをいう。優秀な選手をスカウトして補強し、強いチームづくりによって優勝するのは、監督の力とはいえない。監督と選手が“優勝しよう”という目標を確認しあい、ベテランの選手には自己管理をうまくやらせ、若手選手には能力アップを図り、自信と積極性を持たせる。 血のにじむような努力の結果、はじめは弱小であったチームが優勝を目指し、やがて優勝を勝ち取り、監督と選手が肩を抱きあい、ともに喜び合う姿を作り上げる人こそ名監督といえるのである。活性化には、マイナー・リーグと大リーグといった米国プロ野球にあるように、次の三つの段階がある。

   
A段階(ACTIVATING)−導入啓発期
   
この段階は、導入啓発期で、トップの意思決定による指導的展開が必要な時期である。企業の実態を確認し、経営方針、経営課題の設定、導入のための教育訓練の実施、活動の導入・推進が着手される。この段階では、活性化運動の趣旨を理解し、チームプレイの必要性が芽生える。
   
B 段階(BLAZING)−推進展開期
   
次の段階は、導入・啓発が終わり、企業や、集団が、燃える段階に入る。したがって、トップを含めて課題解決のための挑戦的展開が行われる時期で、課題解決がトップから中堅幹部にまで進み、管理の仕組みと、機能の充実が図られる。この段階では、仲間意識ができ、各段階において役割を確認し、問題解決に積極的に取り組む。
   
C 段階(CREATING)−定着期
   
最後の段階は、定着させる段階であり、指導的展開から目標達成のために自主的展開する。この時期は、導入期に目標とした企業体質の変革が進み、中堅幹部の課題推進活動、現場の小集団活動を中心とした改善活動が定着する。それと同時に、次の体質改革目標を確立すべき時期でもある。
T-MAPのための具体的活動は、ビジョン(VISION)プラン、アクション(ACTION)プラン、システ ム(SYSTEM)プランの三つのプログラムから構成され、互いに相乗効果を上げるように展開運営する。アメリカの詩人、カール・サンドバーグは「まず、夢がなければ何も起こらない」と述べているが、企業組織において経営哲学を持つことが今日ほど重要な時期はない。企業が強い力で経済の流れに押し流される時、どこにスタンスを置き、どの方向に何を重点として企業活動をすすめるか。これは、長・中期的視点と、短期的視点両方からビジョンをうち立て、企業の総力を上げて邁進することである。

そして、絶えまない教育と訓練を持続し続けることが、企業の成長のために何よりも大切なことである。

 
 

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