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がんばれ中小企業!
価値あるモノづくりに取組む中小企業を支援する 事業可能性評価委員会の役割と、事業成功のカギ(第2回)
A評価企業のビジネスプランの紹介
長谷川道春 記事更新日.08.06.10
事業可能性評価委員会 委員長
株式会社ブレーンプランニング代表取締役
■PROFILE
経営コンサルタント
マーケティング総合企画、経営改革、販売戦略、特産品開発・発掘(地域ブランドづくり)、起業家育成・創業支援、人材育成、商店街活性化、販売促進計画等、マーケティング関連の諸事業に幅広く対応。

公的機関 委員等 (現職)
・ 愛知県事業可能性評価委員会 委員長
・ あいち知的財産人材サポーター事業 コーディネーター 
・ 愛知県特許総合相談窓口 スーパーアドバイザー
・ 愛知県知的財産戦略支援事業委員会 委員
・ 東海市・東海商工会議所 [特産品発掘事業] 専門家委員
・ 大府市・大府商工会議所 [個性創出事業] 専門家委員
・ 豊田/岡崎商工会議所 専門相談員
・ 日本計画行政学会 会員 等
講演・執筆
・ 自治体・団体・企業などでマーケティング論を主に講演
・ ネットあいち産業情報・経済新聞紙上等で地域・企業活性化をテーマに執筆連載

連絡先
〒461-0001 名古屋市東区泉一丁目8−2 澤田ビル
電話 052−951−3321 FAX 052−971−3336  
E-mail info@brain-p.co.jp
 http://www.brain-p.co.jp/  

印刷用ページ
経済産業省は、”「挑戦者社会」の実現に向けて”のなかで、わが国の経済の活性化、国際競争力の維持、向上のために

・ 新たなベンチャー企業や新規事業を生み出す。
・ 新たな付加価値のある商品やサービスを生み出す。
・ 新たな市場と需要を生み出す。

ことが不可欠と言及し、この政策目的を達成・実現していくために「挑戦し報われる社会」を創るとしています。

事業可能性評価委員会は、日本のモノづくり産業を支える中小企業で、事業の成長可能性が高く、将来的に雇用拡大等、地域経済に大きな波及効果をもたらす有望企業を発掘・支援することを目的に、平成13年から運営しております。
中小企業の技術と技能の維持・発展と、新しいモノづくり・市場創造にチャレンジする企業のビジネスプランを、10名の委員が複合的、総合的に評価し本委員会の使命を果たしています。

今回は、A評価を受けた企業の中で、経営者の事業意欲が優れており、ビジネスプランに独自性と新規性が顕著な3社の事例を紹介します。

■ 事例:1
事業名 開放的な「グラシード」と,遮蔽して通風の「ブリーズパス」の製造・販売
企業概要
・ 企業名    グローベン株式会社
・ 代表者    代表取締役 服部 崇
・ 住   所    〒455-0832 愛知県名古屋市港区宝神町三丁目1016
・ 電   話    052-381-8000  FAX 052-381-8097
・ URL      http://globen.co.jp
・ E-mail    info@globen.co.jp
・事業内容
  造園資材、ガーデニング用品の設計・開発、製造・販売、庭園用自動散水システムの販売
・経営理念
  「安全」と「環境」に寄与する独自の商品開発、信頼できる品質、質の高いサービスへの
  邁進
事業(商品)の評価事項と商品の紹介

■ 美しい景観の創成と、環境対応技術が評価された「グラシード」(強化ガラスを使った
    フェンス)

・ 安全で、美しい!生活者の視点を重視した商品企画
   住宅や商業施設の外壁をガラス製フェンスで囲むことで、周辺の景観を取りこみ、かつ、外部からもキレイな家や建物、ガーデニングや諸施設が見える。
・ ガラス面のメンテナンスはフリー
   局面加工された強化ガラスには光触媒加工が施され、汚れを半永久的除去することができ、ローコストな維持管理で、いつもまでもキレイなフェンス面を保つことができる。
・ セキュリテイも逆転の発想で!!解決
   セキュリテイは見えて安心なコトと、見えなくてセキュリテイになるコトと両面がある。
   子供や高齢者、生活弱者の行動を、また、不審者をどこからも見ることができて、しかも安全にガードするフェンスは既成概念を打破った、画期的な発想。

1.「グラシード」の競争優位性

 同業他社製品と比較(グラシード⇔樹脂ボードを使ったフェンス、ブリーズパス⇔目隠しルーバーフェンス)し、一部機能が重複するが、コンセプトや品質、機能の大半が異なるためオンリーワンの商品と言える。
  グラシード 他社製品   ブリーズパス 他社製品
独自性 × 風通し
耐汚れ性 × 目隠し
耐久性(キズ) × 独自性 ×
品 種 × 重厚感 ×
価 格 × 価 格 ×

2.事業に取り組む背景/事業の需要

近年の世情は、物騒な事件が頻発し、日常生活の上でも、防犯という意識が強くなっている。
ところが防犯のために高い塀で囲った場合、犯人側からすれば、塀の中へ忍び込めば、外からは絶対に見られないという欠点がある。また、塀で囲むと、日本人の古からの智恵である、周辺の風景を取り込み借景として楽しむ、伝統的技法すら妨げてしまう。こうした課題を解決し、美的景観の創成に寄与するのが、「グラシード」である。

3.グラシードの特徴

ガラスを使用した業界初となる規格フェンス。
強化ガラスを使用することで、面強度の安全性と破壊時の安全性の両方を確保している。 また、ガラスでしか出せない透明感やシャープなデザインなど素材感を活かしたデザインとなっている。
ガラス面には光触媒加工が施されており、半永久的に汚れを除去し、いつまでもキレイなフェンスを保つことができる。

■ 視線を遮断し、風は通す「フリーズパス」

・ 住宅や施設の防犯対策は万全で、通風機能を持たせた商品企画
   グラシードとは全く逆の発想で、外部からの視線を完全に遮断し、しかも、柔らかな風や光を通す機能が特長である。
・ コロンブスのタマゴから生まれた?
   従来の製品は、目隠しする機能を持たせれば、風は通らない、風を通そうとすれば、視線は遮れない。こんな不満を柔軟な発想とアイデアで解決したのが「フリーズパス」である。
独自に開発された、曲線を持つ縦格子「フィン形状」が、柔らかい光と風を通すという難題を解決した。
・植物や生物にも優しい配慮
防犯のため家屋を塀で囲えば、風の通りが悪くなり、植物や生物の成長の妨げとなる、反面、日常の生活空間の中には、外部との完全な遮蔽を求めるが、風・音・光は通って欲しいニーズがある。
こうした矛盾点を克服し、新たな機能やデザインを備えたフェンスが「ブリーズパス」である。
露天風呂の間仕切りなどは、その代表格と言える。
また、動物やペットの部屋なども外部と遮蔽し、且つ、通風することで、快適環境をつくることができる。

1.社会的ニーズと市場性

造園、エクステリア市場は、昨年の建築法改定による新築戸建着工の大幅遅れに伴う物件減少や、原油高の影響による価格高騰など、先行きは不透明で依然として厳しい市場環境が予想される。この厳しい状況の中、エクステリア・造園市場においては生活スタイルの多様化につれ、商品の多種・多様性を余儀なくされている。

昨今では、建物・庭との融合を指向した商品が注目を集めている。また、住宅の個性化により、デザイン性やカラー化、安全・安心、環境面や癒し指向などから緑化へのニーズが高まって来ている。これらのニーズに対応した商品が今回の、ブリーズパスである。

2.販売手法/戦略・実績

既存商品(人工竹を中心とした造園・エクステリア資材)の製造販売を27年間行っており、販売代理店は北海道から沖縄まで全国に800件ほどある。販売手法として、これら既存顧客への通常営業活動を中心に各代理店(商社・問屋など)主催の展示会に出品し一体となりPR活動を実施。

関東圏においては、単独で展示会に出展し、一般顧客へも実際に見て触れて頂ける機会を設ける。また、既存商品と連動し、商業施設などへの採用のため、実際に商品を選定・決定される設計事務所、工事業者などへもPR活動を行っている。

販売促進のツールとして総合カタログへの掲載および専用リーフレットの作成。また、WEBによるPR活動や作図用のCADソフトへの商品登録、顧客展示場への常設展示なども同時に行う予定。

3.必要とする社会的ニーズ

生活者や地域の安全性確保だけでなく、街の景観美化、環境保全のための緑化などが期待できる。

4.その他(海外展開・環境対応・汎用性・系列商品等)

グラシードのバリエーションを今後数種類追加し、デザイン性から低価格要望まで更なる多様化を図る予定。
また、今後は光(照明)など、他の要素を活用し更なる付加価値を備えて行く予定。

5.認定・特許および各種試験結果

【グラシード】
実用新案:ガラスフェンスの取付構造
実用新案:ガラスフェンス用支柱構造
意匠登録 / 商標登録
名古屋市工業研究所:柱水平荷重試験実施(P値:8.7KN)
【ブリーズパス】
特許:柵の構造(出願中)
意匠登録/商標登録
●ワンポイント アドバイス
・  
「グラシード」は、他社製品と比べやや価格が高く、市場(需要)確保と競争力に対し「売れる仕掛けと仕組みづくり」の構築が求められる。
・  
公共施設や商業施設など、パブリックな施設に重点を置いた「価値と販売戦略」をつくることで、新規市場が開拓できる。
・  
「グラシード」の強化合わせガラスの特性を活用し、付加価値(例:LED組込みやイラスト挟み込み等)を加えることで、予想を超えたマーケット展開が見込まれる。
・  
新規市場の開発には、従来のネットワークと違ったルート開拓や、人的ネットワークの活用が求められる。
・  
高機能、高価格という商品コンセプトは、ブランド化とオンリーワン製品として、マーケティング戦略の確立と推進が不可欠である。
■ 事例:2
事業名 携帯型 3次元計測カメラ「カーティシア」の研究・開発・販売
企業概要
・ 企業名    株式会社スペースビジョン
・ 代表者    代表取締役 佐藤 幸男
・ 住   所    〒460-0007 愛知県名古屋市中区新栄2-2-24 あいちベンチャーハウス306
・ 電   話    052-252-8891  FAX 052-252-8891
・ URL      http://wwwspace-vision.jp
・ E-mail    info@spaice-vision.jp
・事業内容
  汎用型3次元カメラ・計測機器の開発、ソフトウエア開発・製造・販売
・経営理念
  大学発ベンチャーならではの創造性とチャレンジ精神で世界市場へ
事業(商品)の評価事項と商品の紹介

■ 実態物を手軽に、高速で3次元データ化を実現した、世界最小の3次元計測カメラ
    システム「カーティシア」

・ 手の平に乗る、軽量(本体約560g)、コンパクト(150×60〜90×50ミリ)、低価格の3次元カメラと、高速撮影(0,5秒)で人体など静止が困難な被写体の撮影が可能となった。
・ スキャナモジュールとCCDカメラの数や位置の組合せを変えることで、多様なサイズの被写体に対応できる柔軟性を持った画期的なシステム。

1.社会的ニーズと市場性

人体3次元形状計測システムは、医療・健康分野に限定しても、人体の3次元データは定量的な検査や評価、手術シミュレーション、術後の経過観察に用いられる他、08年4月から義務化されたメタボリックシンドローム(内蔵脂肪症候群)の検査に威力を発揮し、美容などの分野での実用化も注目を集めている。

2.競争優位性

一般的な人体計測の3次元計測システムは、本体が大型で、計測時間が10秒以上かかる、しかも、価格が1千万円以上と高価である。
本システムは、最速0.5秒で画像を取得でき、平均誤差は1,88ミリ、設置や移動が簡単で、価格も1台350万円前後と競争力は高い。

3.本システムの概要

CCD(電荷結合素子)カメラとレーザスキャナーで構成され、対象物にストライブ状のパターンレーザーを当て反射した光をカメラで撮影する。
0.5秒で約30万点情報を捉えコンピュータ画面上で再構成する。

4.販売戦略

「カーティシア」は通常の2次元画像技術では困難な課題を解決し、医療分野のみでなく、3次元顔認証システムや健康、美容・整形、スポーツ、エンターテンメント、アパレルなどさまざまな分野での採用が期待される。

5.認定・特許等の取得状況

・特許公開平 5-332737   「形状計測装置」平成3年3月15日
・特願 2004-212947 「カメラ校正システム及び三次元計測システム」平成16年7月21日
・特願 2004-302215 「三次元計測センサ」 平成16年10月15日
●ワンポイント アドバイス
・  
導入決定権は顧客にある。
市場参入を目指し、ターゲットとする市場や顧客を対象とする以上、市場や顧客の視点に立った、ニーズや要望などの情報を収集・分析し 生活者・消費者の役に立つ使い方の提案など「顧客価値」の提供を行う。
・  
良いモノが売れるとは限らない。
ビジネスで勝つ基本は「差別化」。自社の独自資源を見直し、マーケティング戦略を確立する。
マーケテインングは「競合」「顧客」「自社」で成り立つ、技術主導型の製品開発みでは市場参入は厳しい。
■ 事例:3
事業名 精密自動計量システム 「誰でもぴったんこ」 の開発・販売
企業概要
・ 企業名    株式会社 エス・アール
・ 代表者    代表取締役 加藤 芳生
・ 住   所    〒486-0821 春日井市神領町581番地 名藤ビル 2F
・ 電   話    0568-85-9939 FAX 0568-84-1755
・ URL      http://sr-inc.co.jp
・ E-mail    kato@sr-inc.co.jp
・事業内容
  精密自動計量システム「誰でもピッタンコ」の開発・販売
  ラインの自動化システム
  バーコードリーダ
  電子機器販売及びメンテナンス
事業(商品)の評価事項と商品の紹介

■ 螺子(ねじ)やファスナー等小物部品の数量を、正確に計量できるシステム
    「誰でもぴったんこ」

・ 環境誤差の排除や、異物混入発見機能を持たせたことで、従来の計量手法を格段に新化させた精密自動計量システム。
・ 各産業界でネックとなっている、小物部品や極小製品の重量誤差、計数誤差を解消し、省資源、コスト低減に寄与する技術に注目。
・ 作業者の経験、能力に関係なく、だれでも正確に数量が計量できる簡易性。

1.社会的ニーズ

軽量・極小部品や製品の数量カウントを正確に計量することは、至難の技術とされており、納品数の誤差は、許容範囲以内であれば良しとされてきた。
しかし、昨今、品質管理、計数管理、コストダウンの要請が厳しくなり、誤差が許されない環境となってきた。類似の製品(サービス)、競合他社との違いは下記に示す。  

・ エス・アール    「誰でもピッタンコ」
・ 競合企業名    T社 カウンティングスケール
・ 手作業計量    作業者が10個数えて20個、40個と入れて、個数を表示させるシステム
■類似の製品(サービス)との違い・優位性
項目 エス・アール T 社 10個 載せて計量
誰でもピッタンコ カウンティングスケール はかり
最大重量         g 30,000g 25,000g 20,000g
最小重量値        g  0.1g 0.5g 1g
数え間違い × ×
価 格          円 498,000から 900,000 150,000から
カスタマイズ × ×
ネットワーク ×
マスター 不明 ×
誤 差 5gのワーク
3,000本の場合
0本 7本以内 70本以内
バーコード ×
品違い発見機能 × ×
風避け装置 オプション × ×
拡張性 ×

2.市場性

ロットによる重量誤差、製品の過不足による不良、クレームを解消することで、多分野の製造・加工工場など産業界はもとより、物流、流通業界などで受入れ可能となる。

3.本システムの特徴

・ 風袋と環境誤差を瞬時に測定し、コンピュータに入力されたデータ(個数)に従い、パッケージに製品を投入すれば、後は自動的に数量をカウントし、適正数値を表示する。
・ パソコンシステム、バーコードリーダ、風除け装置、高性能はかり(30kg)で構成され、機能拡張を容易なシステムである。
・ 経験未熟者でも、誰でも、正確に計量することができ、計量ミス、計数不良が解消される。

4.ぴったんこ計量システム 機器構成図

5.保有技術・特許

・薬品検索システム                                           特許公開 2006-323795
・混入発見機能付き自動計量システムの計量方法    特許公開 2006-113038
・携帯電話電子メール通報装置                            特許公開 2002-24964
・セキュリティシステム                                        特許公開 2002-010369
・被締結部材の締結構造及び締結具                     特許公開 平11-270545
・学習机                                                         実用新案公開 平07-017137
●ワンポイント アドバイス
・  
最小重量値が、0.1gの精度が可能であれば、自動車部品、機械部品などに限らず、研究用キット少量分注作業の確認など、応用範囲は広い。
・  
競合他社も、性能、精度、操作性、価格等で高水準の製品が市場に参入している、同システムの更なる高速自動化の提案など、システムアップを計る必要がある。
・  
同システム導入によるメリットを含め、ターゲットとするユーザーへの具体的なデータを付加した価値提案を行う。
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