食品安全マネジメントシステムを有効に機能させていくために、ISO22000では(1)相互コミュニケーション、(2)システムマネジメント、(3)前提条件プログラム、(4)HACCPシステム、といった4つのポイントをあげています。
(1) 相互コミュニケーション
食品安全は、食品メーカーのみで確保されるものではありません。事実、流通や販売、そして消費者の段階での取り扱いが適切でなかったために発生した食品事故も多くあります。ISO22000では食品の安全を確保するために、フードチェーンに関わる様々な外部組織とのコミュニケーションを十分に取り、食品安全の基準や方法等についてお互いが共有していることが求められます。
また組織内においても情報伝達を徹底し、全ての部署が連携して、安全な食品の提供を目指していかなければなりません。
(2) システムマネジメント
HACCPシステムでは「現場の食品衛生」に重点を置いている一方、「マネジメント」の概念については不足していました。ISO 22000は、ISO 9001やISO 14001と同様“マネジメントシステム”であり、経営の視点から仕組みを構築・改善するという「マネジメント」の概念を有します。
トップが中心となってリーダーシップを発揮し、Plan(計画)、Do(運用)、Check(監視)、Act(改善)のPDCAサイクルに従って、食品の安全確保のための仕組みを構築・改善していくことが求められます。
(3) 前提条件プログラム
前提条件プログラム(PRP:Prerequisite Program)とは、例えば「身だしなみを清潔に保ちましょう」「手洗いをしっかりしましょう」など、食品安全を確保するための前提条件のことをいいます。ISO22000ではこのような一般的な衛生管理項目をプログラム化することによって、システムとして適切に管理していくことが求められます。
なお前提条件プログラムをどの程度の基準レベルにするかは、組織の規模や業態、取り扱う製品によって大きく異なります。
(4) HACCPシステム
HACCPシステムは、「菌の発生を防ぐには」「異物混入を防ぐには」といった“予防”という考え方を基本としています。ISO 22000では、HACCPの考え方の多くをそのまま要求事項として採用しており、HACCPの考え方についての理解は極めて重要となります。但し、ISO22000ではPDCAサイクルに従い、改善までたどり着くシステムの構築を目指しているため、この点がHACCPシステムとは異なることに注意が必要です。
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