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迫られる食品安全対策  
〜ISO22000への取り組み〜
久田 博司 記事更新日.09.01.13
経営コンサルタント オフィス b-MAP 代表
■PROFILE
中小企業診断士
ISO22000審査員補
食品小売業、大学職員を経て、2005年4月経営コンサルタントとして独立する。
農業から食品メーカー、小売業まで、食品関連企業を中心に、多くの中小企業の経営支援を行っている。関与実績は100社以上。(2008年12月現在)
食品安全への取り組み支援についても積極的に手掛けることで、中小企業の新たな強み作りに貢献している。  
 
連絡先  
経営コンサルタント オフィス b-MAP
〒479-0838 常滑市鯉江本町6-19
TEL 0569−35−8456
H P  http://b-map.net/
E-mail hisweb@b-map.net
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■食品企業に求められる安全性
中国餃子、汚染米、有害物質入り食品などの問題発覚が後を絶たず、食の安全に対する消費者の意識が大きく変化していることは、皆さんもご承知の通りと思います。
 
 
(株)三井物産戦略研究所が平成20年12月に発表した、「食に対する主婦の意識調査」の結果によると、「多少高額でも安心して食べられる食品を購入したい」と考える主婦は28.0%、「どちらかといえばそう思う」という主婦は60.0%であり、両者を合わせると実にほぼ9割が、多少値段が高くても安全な食品を望んでいるとされ、いかに食の安全に対する要請が高いかを見てとることが出来ます。

このような状況に対し、今日本の食品業界においては、食品安全マネジメントシステムの国際規格であるISO22000に対する関心が高まりを見せています。

■ISO22000の概要
1.ISO 22000規格制定の背景
(1) HACCPシステム
ISO22000が制定されるまで世界で普及していた食品安全確保のための技術的な手法として、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害分析及び重要管理点方式)があります。

HACCPは1960年代の米国アポロ宇宙計画の際に開発され、それまでの最終製品の抜き取り検査による安全性の保証という概念ではなく、食品の製造工程において「どのような危害があるのか」「特に重大な危害が発生する可能性のあるポイントはどこか」について明らかにした上で、「その部分を重点的に管理・制御する」ことによって、最終製品の安全性を確保するという画期的な手法でした。

しかしその一方で、HACCPシステムには以下のような欠点もありました。
@ 経営陣の関与・責任が不明確である。
A 特定の製造工程に絞った仕組みであり、フードチェーン全体の管理システムとしては不十分である。
B 企業部門間、企業外部との協調・協力関係が不十分である。

その結果、HACCPシステムを導入しているいくつかの企業において、食品事故が発生し、次第にHACCPシステムの限界が叫ばれるようになりました。
特に1990年代から2000年初頭にかけては、大規模食中毒やBSE、鳥インフルエンザなどの問題が国内外で頻発し、食品の安全性確保への本格的な対応が迫られることとなったのです。

(2) ISO 22000の制定
そうした問題に対応すべく2005年9月に登場したのが、“ISO 22000:2005 食品安全マネジメントシステム”でした。
 ISO22000は品質マネジメントシステム規格であるISO9001を基礎に、HACCPの概念を組み込む形で構成されています。

2.ISO22000の動向
我が国における食品安全についての代表的な認証制度としては、厚生労働省が進めてきた総合衛生管理製造過程(別名:日本版 HACCP)があります。しかし承認品目が「乳・乳製品」「食肉製品」「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」「魚肉練り製品」「清涼飲料水」に限定されており、それ以外の食品を取り扱っている組織は承認を得ることが出来ませんでした。

ISO22000では第三者審査を想定した規格となっており、すべての食品関連組織が取り組み可能となっています。実際、これまでISO22000の認証取得をした企業の業種は、製粉、惣菜、製麺、水産加工、製菓、食品小売、健康食品、給食サービス、医療法人など様々です。ちなみにISO22000の審査登録件数は2008年11月現在、業界推計で国内180件以上となっており、今後も増加傾向にあることが予想されます。

3.ISO 22000の特徴
(1)ISO 22000の規格構造
上述の通りISO 22000の基礎となっているのは、品質マネジメントシステム規格であるISO 9001であるため、その規格の構成は大変よく似ています。

但しISO22000では、食品の製造に関する設計・開発や購買(原料の提供、外注先からの納入)についての要求事項が抜けています。安全な食品を製造、提供するためには不可欠な項目と思われますので、特にISO9001を構築していない組織においては、この点について十分な注意が必要となります。

【 ISO9001 と ISO22000 の構造の比較 】
ISO 9001:2000 ISO 22000:2005
  序文 序文
1

適用範囲

適用範囲
2 引用規格 引用規格
3 定義 用語及び定義
4 品質マネジメントシステム 食品安全マネジメントシステム
5 経営者の責任 経営者の責任
6 資源の運用管理 資源の運用管理
7 製品実現 安全な製品の計画及び実現
8 測定,分析及び改善 食品安全マネジメントシステムの妥当性確認,検証及び改善

(2) ISO22000の適用範囲
ISO22000の適用範囲は、農産物の生産から製造、加工、流通までの食品に関わるすべての企業や団体等の組織になります。

HACCPでも対象となっていたフードチェーンに直接的に関わる組織(農産物生産者、飼料生産者、食品製造・加工業、卸売業、小売業)のみならず、間接的に関わる組織(製造・包装機械メーカー、包装材料メーカー、流通業者などのサプライチェーンなど)も対象とすることで、フードチェーン全体における食品安全性の確保を目指します。

従ってISO22000では、食品安全に対する各組織の責任範囲やそれぞれが共有すべき情報について明確にした上で、システムを構築していくことが求められます。
 

4.ISO 22000のポイント
食品安全マネジメントシステムを有効に機能させていくために、ISO22000では(1)相互コミュニケーション、(2)システムマネジメント、(3)前提条件プログラム、(4)HACCPシステム、といった4つのポイントをあげています。

(1) 相互コミュニケーション
食品安全は、食品メーカーのみで確保されるものではありません。事実、流通や販売、そして消費者の段階での取り扱いが適切でなかったために発生した食品事故も多くあります。ISO22000では食品の安全を確保するために、フードチェーンに関わる様々な外部組織とのコミュニケーションを十分に取り、食品安全の基準や方法等についてお互いが共有していることが求められます。

また組織内においても情報伝達を徹底し、全ての部署が連携して、安全な食品の提供を目指していかなければなりません。

(2) システムマネジメント
HACCPシステムでは「現場の食品衛生」に重点を置いている一方、「マネジメント」の概念については不足していました。ISO 22000は、ISO 9001やISO 14001と同様“マネジメントシステム”であり、経営の視点から仕組みを構築・改善するという「マネジメント」の概念を有します。

 トップが中心となってリーダーシップを発揮し、Plan(計画)、Do(運用)、Check(監視)、Act(改善)のPDCAサイクルに従って、食品の安全確保のための仕組みを構築・改善していくことが求められます。

(3) 前提条件プログラム
前提条件プログラム(PRP:Prerequisite Program)とは、例えば「身だしなみを清潔に保ちましょう」「手洗いをしっかりしましょう」など、食品安全を確保するための前提条件のことをいいます。ISO22000ではこのような一般的な衛生管理項目をプログラム化することによって、システムとして適切に管理していくことが求められます。

なお前提条件プログラムをどの程度の基準レベルにするかは、組織の規模や業態、取り扱う製品によって大きく異なります。

(4) HACCPシステム
HACCPシステムは、「菌の発生を防ぐには」「異物混入を防ぐには」といった“予防”という考え方を基本としています。ISO 22000では、HACCPの考え方の多くをそのまま要求事項として採用しており、HACCPの考え方についての理解は極めて重要となります。但し、ISO22000ではPDCAサイクルに従い、改善までたどり着くシステムの構築を目指しているため、この点がHACCPシステムとは異なることに注意が必要です。

5.ISO22000システム構築の際の注意点
ISO22000に基づく食品安全マネジメントシステムを効果的に構築・運用していくためには、以下のような点に注意する必要があります。

@ 安全な食品を提供するという本来の目的を見失わず、システムの有効性を追求すること。
    (要求事項への適合性ばかりを求めてはいけない)
A 製品の特性や工程の流れ、管理システムなど、現状の分析を詳細に行うこと。  
B 高尚なシステムではなく、組織全体が活用できるシステムを構築すること。
    (特に現場からの意見の吸い上げは、重要となる)  
C ハード面ばかりに頼らず、まずソフト面を優先してシステムの構築を考えること。  
D 文書や記録の管理をできるだけ限り包括的なものにして、効率化をはかること。

■終りに
ISO22000は認証を取得した組織の作る食品が100%安全であることを保証するものではなく、100%に少しでも近づけるためのシステムを構築することを目指しています。もし万が一、安全でない可能性のある食品を市場に流通させてしまったとしても、すぐに商品を回収し、原因の追跡と究明が的確に行われ、再発防止策が講じられるような組織作りが必要となります。

ISO22000の認証取得を目標としなくても、ISO22000の内容を部分的に取り入れることによって、強い会社組織の構築に役立てることも良いと思われます。

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