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変革の時、中小企業の目指すべき姿
犬飼 正志 記事更新日.09.06.01
財団法人 あいち産業振興機構 統括マネージャー   経営保全研究所 所長
■PROFILE
1943年8月 名古屋市生まれ
新製品の研究開発から国内・海外での生産立上げ、生産技術・管理、品質保証ラインの構築、
営業活動、全社における改善・生産保全活動の実践指導など経験豊富。
元 緩リタケカンパニーリミテド 理事
中小企業診断士 (工業) 品質マネジメントシステム審査員補 環境マネジメントシステム審査員補
連絡先:〒460-0002 名古屋市中区丸の内三丁目1番6号 愛知県産業貿易館本館 4階
電話 052-231-6165 FAX 052-211-1470  e-mail: masashi_inukai@aibsc,jp
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■はじめに
昨年の末、サブプライムローンから端を発した世界同時不況により、今や経済成長はマイナスに転じ、多くの中小企業はその影響を大きく受けている。今まで成長を続けてきたのは実は見せかけであった。世界各国の懸命な景気回復施策によりやがて回復してくることを期待しているが、以前のレベルまでの回復は望めないであろう。今までの成長が異常であったならば、当然(自然)にこれからの世界は停滞、変革期に入ると思われる。自然環境の保全、社会環境の保全の重要性から、日本の技術と知恵をどのように活かしていくかが今後益々重要となってくる。
さて、このような時代・環境の大きな流れに中小企業はいかに適応し、どのような「目指す姿」を描き進んだらよいか考えてみたい。
   
■経営のしくみ(システム)づくりと保全

1、経営保全の重要性 
経営保全とは、経営のしくみを全き状態にしそして保つこと。それは常に発生する異常状態を正常 な状態に復元し、ロスを減少させる。そして、付加価値の高い理想状態へと導くために、知恵を組織 的に生かす仕掛けを作り上げ、マネジメントスキルが高く、価値の明確化が進んでいる状態を創造 することといえる。

自然の法則の一つ熱力学第二法則によれば、自然界はエントロピーが増大する方向(無秩序、でたらめ、混沌とした状態)に向かうという。経営もこの法則に従い、放置していると非生産性の方向へ進んでしまう。、そうならないようにするには、コントロールという外力が必要になる。しかし自然界にも秩序ある理想状態が存在する。例えば、ボールに水を入れ茶葉を入れて静かに熱していくと、ある条件下で対流により秩序ある綺麗な縞模様が出現する。つまり最適な経営の条件下では最も効率のよい理想的な経営ができるのではなかろうか。そしてそれぞれの企業に最適な経営のしくみを見つけ出し、構築することが「目指す姿」に近づけるために重要となろう。

時代環境が今後どのように変化していくかを予見して、その変化に適応したしくみをつくり、会社の 進むべき方向を示す経営戦略を立てることがまず重要で、魅力あるビジョンとの整合性を確認して、 「あるべき姿」をつくり上げていく。つまり、経営者の夢を実現するために想い→希望→確信→信念 →明確な目標→行動計画→着実な実行へのプロセスを進める。ここで言う目標は、数値的目標より 「あるべき姿」であり、構築すべきしくみのレベルそのものである。
 
組織力が発揮でき、戦略に合う組織を編成し直し、方針と整合する組織運営のルールをつくり、組 織の文化を確認する。たとえ小規模企業でも、それに合った仕組みをつくる必要がある。 実際のシステム運営では、プロセス重視の経営に心がける。結果を重視するよりも、どうしてそうなったかが大事、しかし何のためにしたかがもっと大事で、良いしくみとは、より単純なしくみで、判り易いしくみである。

老子の思想に、「企者立たず跨者行かず」とある。つまり「爪先立ちをしている者は何時までも立ち続けることができない、大股で歩くものは何時までも歩き続けることができない」という。自然は常にバランズを取ろうとする。企業も自然の法則に順応することが求められる。

2、ものづくりの保全
明確なニーズ設定、明確な市場(ターゲット)設定、明確な製品をデザインして、デザインレビュー(DR)の各段階により開発プロセスを検証する仕組みを作り上げる。そして企業の目的である価値創造、顧客満足(CS)、自社独自の技術体系を構築し、外部技術と組合せて新しい価値を生み出し得意分野を増やしていく。

固有技術と管理技術は車の両輪のごとく重要である。管理技術では、ロス/価値、正常/異常が注目すべき視点となる。生産を保全することは、生産活動を正常な姿に維持することで、徹底した5S活動を行い、日々発生する異常状態を見抜き、復元することにほかならない。改善活動は、今ある正常な方法をさらに良い方法に変えていくことで、異常やロスを含んだ方法を変えようとすると改悪になってしまう。改善をすれば、工程、方法、機械等はよりシンプルになるが、改悪するとそれらはより複雑になりさらに異常が発生しやすくなりロスも増大してしまう。
      
品質を保全するには、徹底した異常管理を行う。つまり4M(原材料、加工機械、加工方法、作業要員)の正常な状態を確保をしていく要因管理(源流管理)を徹底的に進める。現場では、Qコンポ(品質に影響をおよぼす部位、加工点)にこだわり、予防(要因系)保全を中心に展開していく。

3、人づくり
職場環境(モラール)保全
中途であきらめる、職場が暗く汚い、活気がない、遅い、鈍い、危ない、「できない」と簡単に言うな ど、このような「悪魔のサイクル」に陥った職場を「天使のサイクル」にチェンジしなければならない。 人間の本来持つ潜在能力を引き出す(顕在化)ための活動を進める。

【実例】 ある工場の小集団5S活動で、まず1台の工具棚をモデルにステップ展開(整理→整頓 →清掃→清潔→躾)を進めたところ、375件の改善提案を叩き出した! この活動を経験したグループメンバーは極小さなロスと異常を発見する能力とそれを復元する能力を身につけた。       

燃える職場づくり
感動・感激・やる気、輝く瞳・希望に燃える人たちの集団を作り込む。そこには、
      @職場が明るい、きれい、活気がある(不要物がない)
      Aプラス思考、積極的で気力・迫力がある(これは信念によって生まれる)

教育・訓練保全
教育・訓練には特につぎのポイントを重視して進める。
      @プロ集団づくり、多能職の育成
      A知識+(繰返し)良い経験=能力、仕事もスポーツと同じところがある、
一流ほど数多くの谷を見て来ている(失敗は成功の基)

■目指すべき姿(理想的経営のしくみ)を実現

あるべき姿、目指す姿を設定し、そこへ到達するプロセス(ストーリー)を描く
      @プロセス重視の経営を行う
      A将来の明確なビジョン(目指す姿)、夢を描く、信念を持って
      B価値創造が企業の目的、顧客満足、従業員満足を目標におく
      (感動、感激がキーワード)
   
良い仕組み(システム)づくり
      @ロスを排除し価値を高める、異常を発見し正常状態へ戻す(復元力)
      A「00活動」、「00運動」を頻繁に行い、組織の活性化を常に図る
      B人間の潜在能力の大きさを知り、潜在能力を顕在化(発揮)させる
   
良い癖をつける(トレーニングにより体得する)
      @基本を繰り返し訓練する(軌道を切換えるには、苦痛が伴う)
      A徹底5Sの実践(正常と異常、価値とロスの区分けができるようになる)
      B当たり前のこと(原理原則)を大切にする、徹底してやりきる
      【例】ロス(削減)改善アクション・カード」(天使からのプレゼント)1万枚


■まとめ

以上、変革時の中小企業の目指すべき姿とその到達方法について考えてきた。そしてそこには、「天使の微笑む会社」が浮かんで来た。天使のサイクルへの入り口は「ごく小さな当り前のことを1つ1つ積み重ねていくこと」から始まる。こつこつと努力していると、ただの石ころでしか見えなかったものも、ダイヤモンドであることがわかってくる。
「目指すべき姿」は到達した姿ではなく、目標に向かって日々努力を重ねている姿そのものではないだろうか。そして、その途上にある会社を視て顧客をはじめ関係する人々の賞賛と惜しみない支援を受けることができるであろう。        
 

 

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