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「第二の創業」について
田附 英和 (たづけ ひでかず) 記事更新日.09.09.01
日本政策金融公庫 名古屋中支店長
■PROFILE
出身 滋賀県
    54年  4月    国民金融公庫入庫 姫路支店
平成3年  7月    業務第一部 調査役
      6年  3月    千住支店 融資第二課長
      9年  3月    融資部 融資課長
    11年  3月    さいたま支店 北関東信越地区 総括室長
    19年  3月    水戸支店 支店長
    20年10月    日本政策金融公庫 発足
    21年  4月    名古屋中支店 支店長兼国民生活事業統轄

連絡先: 日本政策金融公庫  名古屋中支店   国民生活事業
〒460-0003 名古屋市中区錦1−11−20
TEL: 052-221-7241(代)  FAX: 052-204-3716
ウエブサイト  http://www.jfc.go.jp/  
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1 はじめに
2008年9月の米国リーマン・ブラザーズの破綻に端を発する世界金融危機により引き起こされたこの度の世界同時不況により、輸出に依存するわが国経済は戦後かつてない景気後退となり未曾有の経済危機に直面しています。今年度の経済成長は08年度に続きマイナス3%の厳しい見通しとなっています。これに対して、米国や中国をはじめとする世界各国で同時に景気対策がとられ、わが国においても、130兆円を上回る規模の景気対策が実施されました。企業の在庫調整が進むと同時に経済対策の効果が徐々に現われ、景気は最悪期を脱し改善しつつあります。
しかし、欧米経済は金融危機を脱したとは言い切れないことや雇用の悪化などにより本格的な回復が見込めないことから、わが国の経済はL字型の緩やかな回復にとどまり、回復してもこれまでの7〜8割程度の低い水準になると見られています。また、わが国は、人口減少社会が目前にきています。あと25年ぐらいしますと人口は1年に100万人ずつ減少し、総人口は1億人を割り込むという予測があります。
このような状況から、わが国経済は2002年以降2%程度の成長をとげてきましたが、今後、2%はおろか景気拡大実感の伴わない0%ないしは1%程度のきわめて低い経済成長にとどまるのではないかと思われます。
低成長を迎える先行きの厳しい経済やインターネットの普及あるいはライフサイクルの短縮化などによる変化の激しい経営環境のもとで企業が生き延びていくためには、早めに対策を講じていかなければなりません。私ども公庫取引先の小規模企業においても、経営の革新を図り「第二の創業」を果たし成長を続ける企業はたくさんあります。今回、こうした事例から公庫の総合研究所がまとめた「第二の創業」の進め方のポイントについて紹介します。

2 「第二の創業」とは
企業が成長し続けるためには、消費者等のニーズの変化に合わせて新しい商品やサービスを開発したり、販売ルートを拡大または変更して新しい顧客を獲得していく必要があります。このような取組により、時間の経過とともに変化する市場ニーズとのギャップを小さくすることができます。この取組みが経営革新であり、企業はあたかも生まれ変わったかのごとく飛躍を遂げることができ、このことを「第二の創業」と定義しています。

3 今こそ「第二の創業」を
先ほど述べたように、このたびの世界同時不況を境に企業の経営環境は大きく変化していくことが予想されます。企業が生き延びていくためには、過去の成功体験を捨て、こうした経営環境の変化にあわせて自らも変わっていくことが何より重要です。
2000年に入り企業の倒産状況を見ていくと業歴30年を超える長寿企業の割合が新興企業の割合を上回っています。これはバブル崩壊後の長引く景気低迷だけでなく、規制緩和、インターネットの普及、経済のグローバル化、消費者の低価格志向など激しい環境変化に対応できなかったことによるものと考えられます。「生き残るのは、強い者でなく、環境に最も適応した者である。」というC・ダーウィンの適者生存の法則にあるよう、環境に適応できない企業は、規模や業歴を問わず市場から退場していく事例が数多く見受けられます。最近のその象徴的な例が、創業100年を超える米国の自動車メーカー“GM”の破綻でしょう。
長寿企業には「組織の老化」や「しがらみ」があって経営を変えるのは容易なことではありませんが、経営革新を遂行することで今日のような変化の激しい時代を乗り越えて企業は成長を続けることができるのです。

4 経営革新の方向性
「第二の創業」に向けた経営革新の名のもとに、いたずらに新事業に手を出しても成功を収めることは容易な事ではありません。本業と異なる事業に軸足をシフトして、今まで築き上げた経営基盤を失った企業も多くあります。本業に関連のない分野に進出すると先行投資の負担が大きいばかりか、ノウハウの蓄積や新しい顧客の確保などに時間を要し、投資に見合う回収ができなくなり、失敗のリスクは大きくなります。こうした点を踏まえると、経営革新を進めるにあたっては本業を軸にして取組む必要があります。
経営革新に着手するには、先ず、企業が目指すべき方向を見極めることが重要であり、その方向は大きく分けて二通りあります。「取扱商品・サービスの変化」と「ターゲットの変化」です。どんな商品にも寿命があり同じ商品だけで、長い間、顧客をつなぎ止めることは難しいのですが、これまで取引してきた企業や消費者をいかに満足させるかという視点に立って商品を開発したり改善することで活路を見出すことができます。一方、時代とともに顧客であるターゲットの嗜好が変わっていることに気づいた時、嗜好に合わせて商品を大きく変えるのではなく、ターゲットそのものを変えるというやり方もあります。
「取扱商品・サービスの変化」と「ターゲットの変化」という二つの軸を使うことによって経営革新のパターンは T.商品革新型 U.ターゲット拡張型 V.商品革新・ターゲット拡張の双方型の三つに分けられます。

(T)商品革新型
ターゲットを変えないで既存の顧客をより満足させるために、これまでと異なる商 品やサービスを開発してラインアップを増やしたり、付加価値の高い代替品を提案したりするタイプです。老舗和菓子店の全国ブランドとして名高い“虎屋”のように、高級和菓子という市場で生菓子から日持ちのする羊羹を取扱い、「贈答品として購入したい」という顧客のニーズに応え、今や羊羹が主力商品となっています。この事例が商品革新型のタイプに該当します。

(U)ターゲット拡張型
取扱商品・サービスの内容は大きく変えずに、従来と異なる取引先、消費者を新た なターゲットに定めることで市場を拡大するタイプです。“日清食品”がカップヌードルという商品を「ヌードル」としてではなく「具の多いスープ」として売り込んだことで海外市場を開拓したのは有名な話です。このケースはターゲット拡張型に該当するといえます。商品そのものの革新よりも、新しい販路の構築に重点を置いているところに大きな特徴があります。

(V)商品革新・ターゲット拡張の双方型
前(T)と(U)、双方向の実現を目指すタイプです。これまでと異なる客層を獲得するために、新事業を立ち上げたり、新商品を提供したりする取組みが考えられます。
“任天堂”は、花札やトランプといったゲーム用カードのメーカーとして創業後、「ゲーム」という共通のキーワードを軸にテレビゲーム事業を展開し客層を広げました。このケースは双方型に該当します。新市場の開拓という意味でターゲット拡張型に似ていますが、今までとは異なる商品やサービスを提供している点が決定的な違いとなっています。このタイプは、取扱商品と顧客が共に刷新されるため、他のタイプよりリスクが大きいので、新しい事業の企画段階で、いかにリスクを抑えられるかという点について検討する必要があります。

5 「第二の創業」を果たすための取組
経営革新の方向性が決まれば、それを成功に導いて「第二の創業」を果たすために、 必要な取組を次の三点から紹介します。

(1) しがらみを取り除く
企業が変わろうとすると、内外のしがらみという障害が立ちはだかります。内部の しがらみとしては、経営者と従業員の関係があります。これを取り除くためには、  @経営者が率先垂範する。A外部からアドバイザーを迎える。B従業員が働きやすい環境を作るために体制を変える。などの取組により従業員の意欲を向上させることです。しがらみは社内だけでなく、社外の「取引先」と「既存顧客」との関係にもあります。長年の取引先との関係は根深いものがあります。この関係をいかに改善あるいは整理していくかは経営革新を進めるうえで大きな課題となります。長年の商習慣に縛られないために、新しい取引先を見つけなければならないこともあります。

(2) 経営資源を再利用する
経営革新を実行する際、今まで財産として培ってきた「技術・ノウハウ」「経験」 「ブランド」という三つの経営資源をいかに再利用できるかが鍵となります。 長期にわたって事業が継続できるのは、他社より優れた技術やノウハウを有していたからに他なりません。そうした強みを生かすことで、新しい商品やサービスを提供する市場で優位に立てます。また、企業の長い業歴の中で、幾多の困難を一つ一つ乗り越えて来ています。そうした豊富な経験を経営革新に生かせば、成功する可能性は高まるはずです。そして、長年にわたって優れた技術が評価された結果、知名度や信用力が向上してブランドを構築している企業は少なくありません。新事業を立ち上げたり新市場に進出したりする場合は、この経営資源をフルに活用すべきです。

(3) リスクを軽減する
業歴の長い企業は、新しい取組に失敗するとこれまで積み上げてきた信用までも 失墜しかねないという点で新興企業よりもリスクが大きいといえます。期待していたものが逆効果になって倒産に至る企業には危機管理への意識が欠如していたと思われます。リスクを軽減する方法には二つが考えられます。
@ 外部資源を活用する。
専門外または大きなプロジェクトに挑む場合は、自社の技術力や資金力だけで 突き進めば失敗のときのダメージが大きくなります。公的機関の研究成果を活用したり同業者や異業種企業とうまく提携したりするなど、外部資源によって自社に足りない経営資源を補うことでリスクを回避すべきです。
A 限界ラインを設定して段階的に進める。
常に失敗したときのリスクを考慮に入れながらことを運ぶのも一つの手です。 そうしておけば目標がはっきりするうえ、失敗した時のダメージも小さくて済みます。

6 企業の成長持続
経営革新によって「第二の創業」を果たしても、安心して立ち止まってはなりません。 多数の企業が日々しのぎを削る時代では、常に走り続けていなければ他社の追随を簡単に 許してしまいます。企業が競争力を維持していくためには「常に環境変化を察知する。」 「常にチャレンジ精神をもつ。」「常に人材の若返りを図る。」「常に革新を繰り返す。」こと が大事です。
@ 常に環境変化を察知する
絶えず数年先の変化を予測し、早い段階で経営革新に着手することが重要です。余裕 のある時期に先手を打つという習慣を身に付けておけば、常に、市場での優位性を確保できます。
A 常にチャレンジ精神をもつ
ことを起こそうとすればリスクが生じるが、何もしないことによるリスクが大きい場 合が少なくありません。危機管理意識とチャレンジ精神の両者のバランスをうまく取りながら着実に前進するという心構えが必要です。
B 常に人材の若返りを図る
企業が長期的な成長を実現するには、ベテラン従業員が築き上げた技術やノウハウを 基盤として、いかに若い人材の発想力とバイタリティーを盛り込んでいけるかがポイントです。その際、キーパーソンとなるのが「後継者」と「若い従業員」です。
C 常に革新を繰り返す
市場は絶え間なく変化しています。市場開拓へのあくなき探究心をもって革新を繰り 返していかなければ、企業の寿命を延ばすことは難しといえます。

7 最後に
以上、「第二の創業」の進め方のポイントについて述べてきましたが、実際に取組むのは容易なことではありません。各企業の具体的な取組事例などについては、総合研究所編(旧 国民生活金融公庫)の 「『第二の創業』を果たした中小企業」 (中小企業リサーチセンター出版)に収録してありますので参考にしてください。
日本政策金融公庫 国民生活事業(旧 国民生活金融公庫)では、創業や第二の創業をされる方の支援を積極的に行っております。20年度の融資実績は、創業融資が20,141企業、第二創業融資が3,308件となっています。
創業、第二の創業のご相談は、「最寄りの支店」 または「こくきん創業支援センター名古屋」 で承っております。 
また、土曜日の相談をご希望の方のために 「こくきんビジネスサポートプラザ名古屋」 を設置しております。
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