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『下請中小企業の“生き続き”の方向性』
苅谷 政生 記事更新日.09.12.01
経営KAIZEN考房 代表
■PROFILE
中小企業診断士  2級FP技能士
名古屋市立大学経済学部卒業後、アイシン精機(株)などを経て2005年『経営KAIZEN考房』開業。アイシン精機(株)/調達部門時代の経験・ネットワークを活かし、自動車部品製造業を支援先の中心にすえて経営コンサルティングを展開中。コンサルティングの主題は顧客企業の中にトヨタ的カイゼン文化を育み根づかせながら経営改善、経営改革を支援すること。
・(財)あいち産業振興機構 登録専門家
・(財)名古屋都市産業振興公社 登録専門家
・(社)日本経営協会 セミナー講師(『見える化』による業務改善)

連絡先:経営KAIZEN考房
〒448-0011 愛知県刈谷市築地町5-26-13-201
TEL 0566-23-8097  FAX 0566-23-8227
E-mail  kaizen@katch.ne.jp
http://kariyamasao.com
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■はじめに
本稿では、下請中小企業が“生き続いて”いくための方向性について、その選択肢を整理し提示します。 提示する選択肢は、3つのみです。「何だ、そんな当たり前のことか!」というものかもしれません。 それでもこれらを提示する狙いは、そんな明白で限られた選択肢と正面から向き合ってもらうことです。 そしてどの方向性で“生き続き”を賭けるのか、検討と決断の機会にしてもらうことです。 “生き残り”でなく“生き続き”などと耳慣れない言葉を遣っています。この意図も本文でふれます。

■下請企業の競争は激化の一途

上掲グラフのとおり、80年代から90年代、下請中小製造業は、一貫して減少しています。 中小企業白書<2003年版>では、大手生産拠点の海外移転および大手自身の経営不振がその背景にあると指摘し、今後も減少傾向は、進むと予測していました。 このことに考察を加えて言えば、今後も下請仕事総量が減少する要因は、以下の二点にまとめられます。
@ 産業成熟化、海外移転、サービス経済化など構造変化による下請仕事そのものの収縮。
A 技術革新、消費者ニーズ・価値観の変化などによる発注企業の製品の衰退、消滅。

バブル後遺症の90年代以降、こうした下請仕事総量の減少とコストダウン要請が重なって、受注競争が激化し、下請中小企業の販売単価相場は、低下していったと考えられます。成長時代に比べ、下請業態のメリットは薄れ、デメリットが強まっていると、前出白書も指摘していました。

■戦後最長の景気拡大の実態
2002年2月から2007年10月までの69ヶ月間は、戦後最長の景気拡大局面となりました。 輸出依存型の大手企業では、海外生産を進展させた一方で、国内の増産もバブル時代を凌ぐ勢いでした。中小輸送機械工業の生産指数は2005年に140まで上昇し(2000年=100)、下請企業も繁忙を極め たものです。 しかし、取引単価は2002年までに引き下がった水準が、基本的に維持されたと思われます。 結果的に、大企業が空前の利益を積み上げていく中、中小企業景況感は、冷え込んだままでした。給与所得者の賃金水準も1998年以降明らかな減少過程にあり、2004年には1990年水準を割ってしまったのです。これが戦後最長の景気拡大の実態であったと言えます。

■“生き続き”に込めた意味
こうした厳しい認識に立てば立つほど、つい「“生き残る”には?」と口を突いてしまうのも確かです。 しかし、「“生き残り”という言い方は、自動的に我々を“萎んでいく系列の中でどう生きていくか”という発想に縛りつけてしまわないか?」とふと思いました。“残る”が、そこに留まるという意味合いを持つためかと思います。 今般の経営環境の激変は、これまで当然と考えてきた立脚点をも見つめ直してみるよう、個々の企業に要請していると考えるべきではないでしょうか。 そこに残るのか残らないのか、そこから考えるべきだと思うのです。企業の究極の使命は“存続”です。“生き続き”を思いつきました。

■“生き続いて”いくための方向性の選択肢
前段のとおり、方向性の選択肢を検討する上では“下請”という生き方からゼロベースで考えてみる必要があります。 従って、最初の選択肢は「下請であり続けるのか、非下請への道へ踏み出すのか」になります。 前者ならさらに、「他系列を開拓するのか、現系列を深耕するのか」という選択肢になります。それぞれの選択肢につき要件と課題を考えまとめたものが下表です。

方向性 要件 当面の課題
「非下請化」 ・ベンチャー精神
・超強力な“種”
・強いリーダーシップ
・新事業へ投下できる経営資源の質量確保
・超強力な“種”とニーズの接触機会づくり
・現業と遊離した動きへの全社的理解と支援



「他系列の開拓」 ・強力な技術
・QCDへの高信頼性
・提案営業力
・提案力、プレゼン力の開発
・地道で諦めない開拓営業活動の実行
・顧客開拓への全社体制の構築
「現系列の深耕」 ・QCDでNo.1
・魅力ある新機軸
・CS最高評価
・深耕余地の評価
・より緊密な顧客関係性の構築
・情報統合力と提案力の強化

掲げた3つの選択肢どれにおいても、既存受注製品での受注確保は不可欠です。守りつつ攻める、ということです。いずれの選択肢であれ、ここに示す方向性はあくまで成長を目指したものです。 ただし、成長イコール拡大ではありません。 ここで言う成長とは、競争力強化、収益性向上、自己資本増強、将来への適切な投資、全社員の福祉向上、これら一つ一つでもあり、また一体に捉えたものでもあります。 以下、成長を目指す3つの選択肢について補足しておきます。

「非下請化」のイメージは、すっかり有名になられた岡野工業梶i東京都墨田区)のような生き方を範としたものです。 “技術的に困難でどこも断ったものが集まってくる”金属加工の駆け込み寺です。数名規模ながら一人当たり売上高1億円という偉大なる町工場です。 要件には、超強力な“何か”としました。容易に真似されない市場価値のある“何か”ということです。

「他系列の開拓」で留意すべきは、小さな売上を多方面に拡げないことです。 一点でも切り込めた新規顧客への深掘りを優先すべきです。いつまで経っても小さな売上では、物流経費などを賄えず、かえって収益性を悪化させます。どこに切り込むかの検討が重要になります。

「現系列の深耕」こそ、守りつつ攻める、ということです。 既存顧客に対し既存の受注製品を死守しつつ、自社の強みを鍛え上げ訴求ポイントを増し、顧客にとっての自社シェアをより高めていくことです。スピード等の顧客にとって魅力ある新基軸が必要です。

■縮小均衡シナリオは“ジリ貧から突然死への罠”
見てきたように、3つの選択肢はいずれも険しい道です。となれば、既存顧客・既存製品の範囲で従来受注品を死守していく、という4つ目の選択肢を志向してしまうかもしれません。これがまさにジリ貧への道であることは、誰しも分かっているのでしょう。 先の@Aの要因を考えれば尚更です。 あるいは、「急激な売上減少の対応は難しいだろうが、ジリジリした縮小なら対応できるのでは」と思ったりするかもしれません。 しかし、これを4つ目の選択肢として提示することはできません。 なぜならジリジリとした縮小は、ジリ貧には留まらず、突然の収益悪化、すなわち破綻を招きかねないからです。

通常、受注製品の中には、収益上の大きなバラツキがあります。 P・ドラッカーが指摘しているように、『80:20の法則』は、ここにも生きています。“ドル箱製品”は受注製品全体の2割程度で、それらが会社全体の収益を支えています。 先の@Aの要因や他の要因で、なすすべもなく“ドル箱製品”を失うことは、いつでも起こりえます。要因はなんであれ、それがなくなると、突然の収益悪化を招くことになります。 下請中小企業にとって縮小均衡シナリオは、突然死を招きかねないものです。ギリギリ肯定できるとすれば、大手企業が赤字事業を切り離して、再生を目指す大胆な縮小プランにおいてでしょう。

■さいごに
企業とは、成長を目指していなければ、存続すら危うくなる存在です。 現状維持を志向すれば、行き着く先はジリ貧への道であり、突然死と背中合わせの道です。 理由は、既に述べましたが、別の視点で言えば、計画や目標が現状維持では、社員のやる気を引き出せないからです。 兵を鼓舞できずに勝てる戦はありません。 逆に社員のやる気を最大限引き出せ、経営者の目指す方向性とベクトルを合わせられれば、そこに勝機が生まれます。

「俺らが、こうやって凌いでいる間に、きっと社長たちが、将来展開や作戦を考えてくれているはずだから、もう少し頑張ろうぜ!」。社員たちが、声掛け合って励まし合っているかもしれません。 少なくとも一人一人の中で、期待はしているでしょう。この声や期待に応えてあげてください。

まず、正面から方向性の選択肢と向き合うことです。 どれか一つに絞るには、自身が肚に落とせなくては確固たる決断などできません。肚に落とすべく顎が痛くなるまで咀嚼してください。(=ゼロベースで妥協せず議論と検討を重ねてください)。 咀嚼しきったら呑み込んでください。(=議論が出尽くしたら決断してください)。 これで肚に落ちます。 肚をくくれます。

あとは、成長の絵や作戦を描くために、頭をもう一捻りも二捻りもしてください。魂のこもった絵でなければ、せっかくの決断が水の泡です。 “絵に描いた餅”という失敗談の多くは、魂のこもっていない絵だから、絵に終わるのではないでしょうか。 自分たちの会社の“生き続き”を賭け、魂をこめて描いた絵を皆に見せ呼びかけてあげて下さい。 「ここに向かって頑張ろう!皆で力を合わせてほしい!」と。「やっぱり考えてくれていた!」。士気が上がらないはずはありません。
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