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中小製造業は完成部品化で活路を開く(第3回)
小藤 省吾 記事更新日.11.03.01
小藤経営労務事務所
■PROFILE
1957年愛知県生まれ
中小企業診断士、社会保険労務士として企業の経営戦略、組織活性化、現場改善、労務管理のコンサルティングを行うと共に、企業、経営者団体の研修セミナー講師として活躍中。現在労使が力を合わせて作る「人を育てる人事制度」の普及、コンピテンシーを用いた組織活性化支援に力を注いでいる」

■連絡先
〒470-2531 知多郡武豊町冨貴茶ノ木15−1
電話 /FAX 0569-73-7140
E-mail: s-kotou@khf.biglobe.ne.jp

 
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ネットワークを作るメンバーをどこから探したらいいのでしょう。考えられるのは、都道府県の行政機関や商工会議所のような商工団体等、中小企業の支援を目的に作られた各種団体組織があります。また経営者同士が顔見知りや、工業団地のように工場が近くに立地していて交流がある場合等が考えられます。

■危機意識や問題意識が共有できるメンバーをパートナーに
1988年に異業種の中小企業による共同活動を支援する施策として制定された「中小企業融合化法」のもと行政機関や各種団体が音頭を取り数多くのグループが生まれました。メンバーの募集から編成、情報提供から会合場所の提供まで、立ち上げから活動のスタートまで事務局的な役割を担い支援を行いました。
しかし現在も活発に活動しているところは少ないのが現状です。ここに成果を上げるポイントの一つ「危機意識や問題意識が共有できるメンバーをパートナーとする」必要性が見えてきます。
組織の運営まで支援機関の力を借りようとするグループは「依存型」といえ、支援の手が差し伸べられなくなると活動は停滞します。自らの力で創意工夫をして活動を活性化していくグループは「自立型」といえましょう。支援機関の力に頼る運営と危機意識や問題意識を共有するグループメンバーでの運営では活動に違いが出るのは当然のことです。
「将来が不安である」という危機感は多くの経営者が持っています。「取引先の海外調達はどこまで進むのか」、「協力工場に求められるポイントはどこにあるのか」をしっかりと情報収集し自社の将来にどの様な影響を与えるのかを具体的に捉え危機意識、問題意識を共有することが真剣な活動につながります。

■理想を求めず実現可能な分野からスタート
中小企業は多くの課題を抱えています。「現状の仕事を消化するのに精一杯で余裕がない」、「将来の課題に向けて使える資金がない」。この現状を踏まえて、「最初は理想を求めず実現可能な分野でスタートする」、「企業の努力は求めるが無理な協力を強いらない」ことが大切です。ネットワーク化の目的である完成部品への取り組みはあくまでもゴールです。メンバー間でお互いに不足している能力を協力して補完しビジネスチャンスを広げていきことも十分な成果です。また資材を共同で購入して価格の引き下げを図ることも考えられます。また多くのグループは最初の活動をそれぞれの企業を訪問することから始めています。工場訪問で明らかになった課題については、メンバーからの改善提案や意見を積極的に受け入れることで企業体質の強化も可能です。このような積み重ねが企業の特色、技術、経営者の考え方、姿勢の理解につながり信頼関係を強固にします。小さな積み重ねが経験と自信につながりステップアップの可能性を高めます。

■上げたい成果を明確に
活動を続けて行くと必ずマンネリ化します。成果が上がっていても新しい動きがない限り停滞していきます。
活動を継続し発展させていくには「あげたい成果を明確にする」ことで現在の課題を明らかにし、解決のための手段をメンバーで考える機会を作ることで参加者の意欲を高めていく必要があります。

■特定の企業に負担がかからない仕組みづくり
企業のネットワーク化を進めるには、全体をマネジメントするリーダーが必要となります。このリーダー役に、最初に立ち上げた中心人物がなる場合が多く発足当初は事務局的な役割を務めることとなります。しかし特定の人物、企業に負担が集中すると、具体的な成果が上がりにくい発足当初はモチベーションを維持することが難しくなります。
「特定の企業に負担がかからない仕組みを作る」ためにも発足当初から役割分担を決めメンバー全てが何らかの役割を担うようにすることが大切です。これが参加意識を高めるポイントにもなります。

■コーディネーター的役割を担えるキーパーソンを据える
ネットワーク化を成功させる重要なポイントは「コーディネーター的役割を担えるキーパーソンを据える」ことです。


上記のグラフは、社内におけるキーパーソンに求める能力ですが、グループをひとつの会社と考えた場合、キーパーソンには経営者の能力を兼ね備えることが必要です。
メンバーの企業に技術力の差がある場合は、完成品の品質は一番低いレベルの企業の技術で決定されることになります。これが原因で受注の可能性が低くなる場合は、ビジネスと割り切りメンバー企業であっても外す決断をしなければなりません。この決断をするにはメンバーから信頼を得るだけの知識、経験が必要となります。
メンバー内で求める人材が見つからないのであれば外部に求めることも検討すべきであり、ターゲットとする業界、分野に精通し人脈を持つ企業OBの活用も有効でしょう。 スピードを要する営業活動に、グループ間で話し合いをしている余裕はありません。コーディネーターを窓口にして営業、企業の選定や価格決定、納期管理等、メンバーでは難しい業務を任せることができればその分負担は軽減し物づくりに専念できます。
案件に対する担当窓口、責任者、不良の発生、納期遅れによって生じた損害に対する責任の所在、利益配分、コーディネーターの報酬や運営経費の負担割合等のルールを決め明確にすることが後々のトラブルを防ぐことができます。特に不良の発生、納期遅れなどのトラブルが生じたときの担当者が明確にしておくことは不可欠です。

海外生産、海外調達の動き、協力工場の選別は一層進むことが予想される状況で、発注企業の要望に応えることが仕事を確保する鍵になってきます。多くの課題を乗り越え完成部品化を実現できるよう取り組んでみましょう。

ありがとうございました。
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