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  トップ > 企業ルポ 経営革新に挑戦する中小企業 > 有限会社 余語技研
現場の経験と技術が育んだオリジナル工具の開発
代表取締役 余語 秋男  
有限会社 余語技研
■主要事業
プレス金型の設計・製造、治具製作など
■問い合せ先
有限会社 余語技研
〒470-0111愛知県日進市米野木町宮前28
Tel 0561-72-0795
印刷用ページ

日進市の閑静な住宅街の中にある余語技研は1990(平成2)年に設立された。余語社長は余語技研設立以前に飛行機部品やプレス金型製造の会社に勤めていた。その経験と技術を生かし、プレス金型の設計から製造まで一貫生産を行っている。 「学生時代からモノづくりが好きだったんだよ」(余語社長) 元々モノづくりが好きで手先が器用なことも高じて、欲しいものは自分で作っていたという。笑顔で語る余語社長の前にはCADが一般的な今も、実寸大の図面が広げられている。その表情には日本の製造業を支えてきた職人の自信が現れている。 2008(平成20)年以降、製造業全体が厳しく仕事の依頼が激減した時期もあったが、余語技研は人でしか作り出すことのできない職人の技を武器に生き抜いてきた。今後もその経験と技術を生かして、プレス金型や治療器具の製作などのモノづくりを続けていく。 余語技研のつよみは手先の技術を要する繊細な細工にある。金型は製造業の重要な資産であり、製作には精密性が求められる。その中でもより難易度の高い、例えば金型の中に刃を作り出すような精密技術は人の手が必要とされる。そうした場で培われた技術は、長年の経験を生かすことでさらに高い品質の成果物を生み出すことができる。


出展した展示会で多くの来場者にPR


「モノづくり」のためのモノづくり

余語社長のモノづくりへの愛情、探究心、技術力は、日々の作業における改善や新たな事業展開のきっかけとなる。「経営革新計画」で取り組んだ「超高速回転ハンドグラインダ」の開発も普段のモノづくりの問題点を自ら改善しようとしたのが始まりだ。だからこそ経営革新への挑戦は愛情深く粘り強く続けられることになる。


従業員から

「つかえるモノ」であることは、使っているからわかる。
余語 工鋭 さん
「この『超高速ハンドグラインダ』の効率性や利便性は、実際に普段の仕事で利用する中で証明できますよ」余語工鋭さんは淡々と語る。 開発された「超高速ハンドグラインダ」を使用することで、通常業務内での作業効率を飛躍的に向上することができた。


自分が欲しかったからつくっただけ

一般的に金型製作などで曲面を加工する際は、モーターを動力源としたハンドグラインダ(研削工具)が用いられる。同様の工具を余語技研でも利用していたが、2つの課題があった。1つ目は通常のグラインダは動力源がモーターであるため振動が伝わりやすく長時間の利用は難しいこと。2つ目は回転数の問題だ。金型を造る際には、グラインダの先に砥石を取り付けて削る。回転数が低いとその分削る部分に負荷をかける必要があり、腕の筋力を酷使しなければならない。 その課題を解決するためのアイデアがあった。歯科医で使用されているハンドグラインダがヒントだった。回転数・回転の力という点では金属加工には向いていなかったが「空気を利用して回転させる動力」は魅力的だった。仕事の合間を縫って試作・改良を続けていた。


試作品の完成と申請までの奔走

2011(平成23)年1月、転機が訪れる。試行錯誤の結果、振動も少なく高速回転が可能な試作品が完成した。 製品化には回転の実数を計測し、安全性を確認する必要があった。同時に開発・販売するための資金が必要だった。回転数の計測など技術的な面は愛知県の産業技術センターや県内の大学など相談できるところすべてに相談した。 その後、資金面の相談で日進市商工会を訪れ、「経営革新計画」の存在を知る。商工会の櫻井さんは、職人肌の余語社長を申請書の書き方から支援し、二人三脚で申請を行ったという。


精度と生産性の向上


「経営革新計画」の承認後、日本政策金融公庫からの融資を受け「超高速回転ハンドグラインダ」は完成した。早速自社で使用すると作業効率が大幅に向上した。今までのモーターを動力とするハンドグラインダでの作業と比較して、時間にして半分以下となったのだ。 「体への負荷も半分になった感じです」(余語社長) 余語技研のつよみである金型への微細加工での効率化が図られることになった。


販路開拓が大きな課題に


一方、販路開拓には課題が多く残った。製品自体の評価は「いいモノ」と高かったが、どのように誰に販売するかという課題が残ったままだったのだ。また同時に品質保証・安全保証という面では、20万回転という高速回転に対応する砥石など付属部品の開発が必要であった。この2つの課題を解決するために研究者や関係会社へと奔走する中で、共同で課題解決を行えるパートナーとの出会いが生まれた。


今後の展望へ


現在、岐阜県にある(有)タイセイと共同で「超高速回転ハンドグラインダ」の研究・開発に取り組んでいる。販路開拓面では、共同で販売会社となる「(株)そらん」を設立し、大型の展示会へ出展するなど積極的な活動を行っている。また品質保証・安全保証に関わる面では、試験評価やPL法の対策などに共同で取り組み、解決のめどが付いたという。 余語社長の思いが人と人とのつながりを生み、心強いパートナーとの協業へと育てた。今後も余語社長の経営革新は、モノづくりへの愛情をもって粘り強く続いていく。

株式会社そらん(有限会社タイセイ内)
岐阜県土岐市土岐津町土岐口1392-14
TEL:0572-54-3319 FAX:0572-26-7121


経営革新のポイント



商工会の声


日進市商工会 櫻井 政信 さん
ものづくり中小企業製品開発等支援補助金(試作開発等支援事業)への申請の相談を受けたことがきっかけだった。内容をお聞きし将来のニーズが見込まれると考え、申請についての書類作成や財務資料に基づく計画の作成を支援した。専門的なことに関しては愛知県商工会連合会の専門家派遣事業を活用しアドバイス・支援を仰いだ。

今後は販路開拓が課題だと考える。引き続きサポートを続けていきたい。

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