これまで太陽光発電が普及してきた経緯を振り返ると、国の制度や補助金の後押しを受け、何度か「波」があったという。平成17年頃、促進導入事業等の影響で普及の波が起きた。屋根技術研究所では以前から太陽光関連の部材も手掛けていたため、大きなチャンスだった。だが、その当時はチャンスを掴みきれなかった。「以前は中小企業として、電気メーカーさんから供給体制に不安を持たれていた」(城二社長)
当時は、本社近くに複数の倉庫を借りて製品を保管しており、配送に係る時間的なロスが多かった。また商品の梱包を外部業者に委託しており、梱包・発送段階の品質管理に振り回された。押し寄せる受注を受け止めるだけの体制が整っていなかったのだ。
それでも補助金の効果で業界の景気は上向いていたころは良かった。平成20年に補助金がなくなるとその反動は業界全体に及び、屋根技術研究所の売上も前年の8割まで落ち込んだ。
そんな苦難の中にあっても新たな波の到来を見据え、大規模投資を決断した。目的は、大型物流センターを建設し配送機能を集約化することで、脆弱な供給体制を改善すること。そして、新たな試験機を導入し、付加価値の高い新製品を開発すること。経営革新計画の承認で日本政策金融公庫の特別利率の適用を受けられることを知ってから、申請を決めるまでに時間はかからなかった。 |