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  トップ > 企業ルポ 経営革新に挑戦する中小企業 > 株式会社屋根技術研究所
屋根ステージの創造を通じて暮らしを豊かにする
代表取締役 都築 城二
専務取締役 都築 節子
(※平成28年1月時点)
 
株式会社屋根技術研究所
■主要事業
各種屋根材、太陽光発電システム架台の研究開発・製造販売
屋根、電気、建設、内装仕上げなどのリフォーム請負工事
■問い合せ先
株式会社屋根技術研究所
〒444-1324 愛知県高浜市碧海町二丁目一番地13
Tel.0566-52-6132
http://www.yanegiken.co.jp/
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今では多くの住宅の屋根に見られるようになった太陽光発電モジュール。発電効率の上昇に加え、補助金や電力会社による買取制度の後押しで太陽光発電は一般の住宅に普及しつつあるが、普及の背景にはモジュールを屋根の上に取り付けるための架台の進化と、取付工法の進歩がある。その住宅用太陽光発電システム取付架台の国内シェア25%を担うのが、株式会社屋根技術研究所だ。

屋根技術研究所は、昭和43年、屋根工事業者として創業した。台風や地震など、災害の多い日本。災害の度に瓦が屋根から剥げ落ちる惨状を目のあたりにし、昔からの工法と職人の腕だけで屋根を守ることに限界を感じた先代の社長は、独自部材や工法等の屋根技術の研究を始め、昭和50年に株式会社屋根技術研究所を設立した。

創業から40年、今では各種屋根材の開発から、太陽光発電モジュール、太陽熱温水器、屋上緑化システム等を屋根に乗せる際の架台の開発、太陽光発電システムやオール電化商材の設計施工、屋根関係のリフォームまで行う、「屋根ステージの困りごとを解決する会社」へと成長した。

地震や台風などの自然災害から屋根を守る『金釵(きんさい)釘』、住まいを長持ちさせる『棟換気』など、屋根工事の現場での発見をもとに開発した製品は、取引先の住宅メーカーからの信頼も厚い。


屋根技術研究所の強みは、工事と開発の両方を行っていることにある。屋根工事の現場で見つけた問題点をフィードバックし、製品や工法の開発に活かすことができるのだ。

それに加え、最近新たな強みが生まれた。地震、台風、海辺に建つ家には常に吹き付ける潮風など、日本の厳しい住宅事情を想定した、高いレベルの製品テストを自社内で行えるようになったことだ。鍵を握るのは平成25年1月に竣工した半田物流センターと、同時に導入した各種新型試験機。経営革新計画の承認を受け「新企業育成貸付」を活用して整備した。

 

過去の反省を生かして

これまで太陽光発電が普及してきた経緯を振り返ると、国の制度や補助金の後押しを受け、何度か「波」があったという。平成17年頃、促進導入事業等の影響で普及の波が起きた。屋根技術研究所では以前から太陽光関連の部材も手掛けていたため、大きなチャンスだった。だが、その当時はチャンスを掴みきれなかった。「以前は中小企業として、電気メーカーさんから供給体制に不安を持たれていた」(城二社長)

当時は、本社近くに複数の倉庫を借りて製品を保管しており、配送に係る時間的なロスが多かった。また商品の梱包を外部業者に委託しており、梱包・発送段階の品質管理に振り回された。押し寄せる受注を受け止めるだけの体制が整っていなかったのだ。

それでも補助金の効果で業界の景気は上向いていたころは良かった。平成20年に補助金がなくなるとその反動は業界全体に及び、屋根技術研究所の売上も前年の8割まで落ち込んだ。

そんな苦難の中にあっても新たな波の到来を見据え、大規模投資を決断した。目的は、大型物流センターを建設し配送機能を集約化することで、脆弱な供給体制を改善すること。そして、新たな試験機を導入し、付加価値の高い新製品を開発すること。経営革新計画の承認で日本政策金融公庫の特別利率の適用を受けられることを知ってから、申請を決めるまでに時間はかからなかった。

体制強化でチャンスを掴む

波はすぐに来た。平成25年1月に物流センターが竣工した折、太陽光発電に対する需要が高まり、その結果大手メーカーの太陽光モジュールが国内で不足し、多くの海外メーカーが進出してきたのだ。架台の供給業者には、複数メーカーのモジュールに応じた架台の大量供給が求められた。同業他社が求められる供給量に対応できず受注を逃す中、新たな物流センターを整備していた屋根技術研究所は、「豊富な材料ストック、スピーディな梱包・出荷体制等を整備できていたので、お客様の要求に応えることができた」(節子専務)

また、城二社長は「新たな試験機(送風散水試験機、塩水噴霧試験機等)の導入で、他社に先駆けた試験を実施し、更なる信頼を得て受注拡大に結び付けることができた」と語る。自社内で積み重ねられた試験データが製品開発の礎となり、製品の付加価値向上に結び付いたのだった。

大きな波に乗り、高い売上を実現できたことで社員のモチベーションは上がり、取引先や金融機関からの対外的な信用向上にもつながった。節子専務は「チャレンジすることで、金融機関に自社を支援対象として見てもらえるようになった」と語る。経営革新計画を立てたことで「社員一丸となって事業計画達成に向けて取組み、目標を達成するために組織で仕事をするようになった、良い流れが社内にできた」と、城二社長は振り返る。経営革新計画を経て、屋根技術研究所には社員一丸となって計画達成を目指す空気が漂う。落ち込んだ売上が回復に向かった時期は多忙を極めたが、計画に沿った体制強化、人材確保を行い、「生産管理システムの再構築により、肥大ではなく、適切な体制強化を実現した」と城二社長は胸を張る。


次のステージへの挑戦

城二社長が描く将来像は、国内市場のシェア拡大に留まらない。日本より大きな屋根を持ち、資源エネルギーへの関心の高まりから、日本同様住宅の屋根への太陽光発電モジュールの設置が普及しつつあるアメリカを魅力的な市場と考え、平成24年に子会社を設立した。アメリカでの販売は走り出したばかりで売上割合もまだ小さいが、経営革新計画が終了した後、独自に作った計画の中で「平成32年までにアメリカでの売上割合を20%にまで引き上げ、新たな売り上げの柱を立てる」(城二社長)ことを目標に掲げている。また、節子専務は「太陽光関連の分野でのシナジー効果を目指し、関連の企業と業務提携した。屋根業界の新しい分野にも挑戦していこうと思っている」とも語る。チャレンジ精神に溢れ、さらに勢いを増す屋根技術研究所の歩みは力強い。


経営革新のポイント



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