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こだわり抜いて作りました
株式会社丹羽シートメタル

記事更新日.12.02.01

■問合せ先
株式会社丹羽シートメタル
小牧市 大字間々原新田上芳池186-1
電話 0568-73-7411 FAX 0568-73-7413
HP http://www.tarepan-koubou.com/
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この製品を見て直ぐにわかりましたか? また、どのような構造になっているかわかりましたか?犬を室内で飼っている犬好きな人は何となく分かるかもしれません。犬を飼ったことがない方は皆目見当がつかないと思います。

正解はステンレス製「犬のトイレ」です。値段を聞いて更に驚きです。ペットショップで販売しているプラスティック製と比べると高額です。そのため高級トイレと呼びたくなります。その構造は「上フタ」「いたずら防止プレート」「中フタ」「トレイ」の4つから出来ています。

◆製品が出来上がるまでの工程
 

畳より一回り以上大きいステンレス板を3分の1にカットします。次に穴の打ち抜きとバリ取りを行います。そして折り曲げて、溶接と補強枠を入れ、角取り・研磨を行います。最後に洗浄とエタノール消毒を行います。工程から考えると簡単に思われますが、製品の中に多くのこだわりが隠れています。

 
●こだわり その一 穴の打ち抜き
 

穴の直径にこだわりました。ペットの足が入らないこと、飼い主が穴に指を入れることが出来ないこと(穴に指を入れて持ち運び、何かの拍子で指を切る可能性を排除したい)、ステンレス板が反らない、波打たないことです。穴を打ち抜く際、せん断応力が生じます。それを繰り返すため反り又は波打ちが生じます。

如何にして反りと波打ちを小さくするか!ここに技術力が潜んでいます。同じ厚さのステンレス板を使って4組の構造物を作ります。厚くすれば反りが大きくなり、製品も重くなる。薄くすれば歪による波打ちが生じやすくなります。

 

●こだわり その二 バリ取り

 

家族同様に大切な犬がケガをしない。世話をする家族にもケガをしない。そのため、ステンレスを切断、打ち抜きの際に生じるバリを手作業で取り除きます。直接手で触れて確認するため、安心・安全が確保できます。

 
●こだわり その三 補強枠と角取り
 

犬が用をたすときステンレスの上に乗ります。その時、重量が掛かりステンレスが凹まないように補強枠を設けます。注文の際、犬の大きさや日頃のトイレ状況を聞き、補強枠の本数を足すこともあります。

また、「上フタ」と「トレイ」には各々4つの角があります。その角を丁寧に削ります。そのため触っても痛くなく、角が取れていることが見て直ぐにわかります。

●こだわり その四 洗浄とアルコール

 

工業用製品の場合では考えられない工程です。最終利用犬は、人間と同じと考えれば、自ずと生まれた工程です。汚れ等を洗剤で洗い、最後に消毒用エタノールを噴霧してふき取ります。これにより衛生上の配慮と仕上げの光沢を出す効果が生まれます。

●こだわり その五 取扱い説明書に漫画(マンガ)を活用

 

製品そのものではありませんが、製品の良し悪しに結びつく重要な働きをする取扱い説明書にこだわりを持っています。漫画(マンガ)を使って取扱い説明書を作っているため、製品の良さを容易に伝えることができます。

◆注文から改良が生まれる
 

ニッチな製品のため大々的に広告していません。犬のトイレで悩んでいる方がネット検索でこの製品に巡り合います。いざ、注文をしようと「注文」「購入」のクリックボタンを探すがありません。そのため、メールによる問い合わせが始まります。
なぜ「注文」「購入」ボタンがないのか? それはお客様に納得して購入頂きたいこと、お客様との会話から多くのニーズと改良ヒントを頂きたいからです。

「上フタ」と「トレイ」の二重構造で作って欲しい、額縁みたいに周りに囲いを設けて欲しい、購入した後、犬が器用に「上フタ」を外すため何とかして欲しい等から製品が生まれました。
 
◆現地・現物の考え
  時間の許す限り、愛知・三重・岐阜県と大阪府は、現物を持参して訪問します。実際に現物を見て納得、実際に犬がこの「ステンレストイレ」で用をたすのか確認して納得、会話から「トイレの悩み相談」の話ができて納得、最後に改良等のヒントを得て丹羽社長が納得します。また、訪問することからブログに掲載する許可も取りやすくなります。合わせて写真撮影もできます。
◆ハード面とソフト面
 

現地・現物によりお客様に納得いただく製品を作り込むことが出来ます。他方、犬のトイレ相談から製品に付加価値を刷り込むことができます。困っていることを的確にアドバイスできる仕掛けは、過去の購入者とのつながりです。必要なら電話をいったん切って、過去の購入者から新たな情報を入手して再度電話します。製品作りのハード面と安心作りのソフト面が上手く融合しています。

これまでの購入顧客のデータベース化をパソコンで行っています。しかし、紙ベースでそれらをファイルしています。問い合わせがあれば直ぐに探すことができます。また、以前にそのサイズを特注で製作したことがあるかどうかをすぐに判断できるなど、紙ベースのファイルも顧客満足を高めています。
◆エピソード
 

丹羽社長の愛犬家の弟(社員)が自分のために「犬のトイレ」を作ったのが始まりです。

そして、「いたずら防止プレート」は犬友達の声から生まれました。最初は周りがギザギザで、ただ穴の開いた1枚のステンレス板でした。しかし、ケガをする危険もあるため改良しました。その後、徐々に認知され、製品として市場に投入しました。驚くことに丹羽社長は犬を飼っていません。飼っていないから先入観を持たず、人の話を聴くことができると納得しました。
●飼っている犬が1頭でも6つのトイレ
  ゲージの中に入れたい、穴の数を変更したい等、飼っている犬が1頭でも6つのトイレを購入されました。お住まい以外の場所(例:娘の家等)でも「ステンレストイレ」を設置したいニーズがあったと思います。このようなユーザーさまが口コミの源となっています。
●また愛情が湧いてきました
 

夫婦共働き、子供が3人、そしてペットのワンちゃん。帰宅してから子供の世話でも大変なのに、毎日ワンちゃんのトイレまで…。可愛いワンちゃんが嫌いになりました。

しかし、このステンレス製「犬のトイレ」を購入してからトイレの負担が減り、また愛情が湧いてきました。このFAX頂いたときは、嬉しくて飛び上がりました。

●取材中も製品改良の議論
  犬がステンレス板の真ん中で用をたさない。如何にして真ん中を認識させるのか? 色を塗れば、剥がれ落ちてなめたら大変、凹凸を付ければコストと手間が増える。真ん中だけ穴の大きさを小さくすれば、認識が可能になり解決すかもしれない。このように取材中も製品改良の議論するほど、製品に愛着を持っています。
 

 


取材・文 YAビジネスサポート 杉本 安行

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