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愛知ブランド『わしだがや』
記事更新日14.11

代表取締役 伊藤 安則
常務取締役 伊藤 政行

【問い合わせ先】
丸安ニット株式会社
愛知県名古屋市西区秩父通1-58
TEL052-522-2171・FAX 052-521-5695
HP http://www.siffon.net/
印刷用ページ

 

 今回は生地に工夫を込めた「あいちの製品」紹介です。
丸安ニット株式会社は名古屋市西区平六通りで1933年(昭和8年)創業しました。戦前、西区平六通り交差点辺りは肌着メーカーが集中していました。当時は岡崎当たりまで製品を収めていたそうです。

 肌着に必要な糸を仕入、それを編んで生地を製造し、裁断から縫製、卸売まで一貫したラインを持っていました。しかし、肌着には商品ラインナップに限りがあります。そのため数年後の早い段階で多種多様な提案ができる婦人服へ方向転換しました。

 糸から生地へ、メリヤスからニット(毛糸)へ転換してから80年が経過しています。1980年までは製造卸売でした。その後はニットを編むことだけに特化して手間賃を稼ぐ方向へ転換しました。しかし、愛知県の紡績産地(尾張一宮)が衰退傾向に入り、新たな方向転換へと進みました。

 このとき、(財)あいち産業振興機構(旧(財)愛知県中小企業振興公社)の小規模企業者等設備導入資金を利用して高度に生地を編むことができる機械を導入することができました。これがカーシート用生地や、ネット販売されている子供服用生地(maffon)が始まり、和紙から作った糸で織った生地の製品(siffon)へと展開されました。



 400年以上前のイギリスで靴下編み機(ヒゲ針)が発明され、150年前に再びイギリスでベラ針が発明されました。その後、ヒゲ針を使った吊機が開発され、ベラ針を使った高速丸編み機が開発されました。

 編み機は手動から自動化、高速化され、コンピューター制御の編み機によって、ニット製品は多様化しました。コンピューター制御の 両面選針電子柄丸編み機を用いれば、表裏でジャガード柄のあるリバーシブルの生地を編むことができます。


■ 地下に編み機(工場)がある理由

 温度、湿度の変化が少なく、音が外に漏れる心配もないため、連続稼働が可能になります。また、複雑で難しい製品を海外工場で作る場合、機械の故障等のトラブル対処に手間取る恐れがあります。 高品質な製品をタイムリーに出荷できることにより、より多くの生地の生産を実現。結果、多くの受注につなげることができました。


■ コンピューターデザインが生むリバーシブルジャガード柄

 コンピューター制御にはコンピューターデザイン入力が必要になります。デザイナーがパソコンに向かってデザインを考案し、それをフラッシュメモリーに保存して地下にある編み機に読み込ませます。その後、ベテラン職人が糸の据え付けです。機械上部には多数の毛糸を通す針穴があり、その設定だけで1日掛かることもあります。

 デザイン室にある古いパソコンを廃棄せずに使用している理由があります。時々、昔のデザインをお客様が求められるからです。


■ 平成14年(2002年)和紙を使った靴下が登場するが…

 10年程前に各企業がこぞって「紙の糸」に着目し、「紙から糸を作る」独自の生産体制を確立しました。その糸を使った靴下が市場に出ました。吸湿性に優れているため履き心地は良いです。しかし、負荷がかかる「つま先」と「かかと」に穴が開くため消費者の支持が得られませんでした。

 市場が瞬間的に空白状態になったときビジネスチャンスと捉えた伊藤社長は試作品に取りかかりました。美濃和紙の産地に「大福製紙株式会社」があります。マスキングテープやあぶらとり紙など和紙の特徴にハイテク技術を加味したメーカーです。その中で洗濯可能な水に強い紙、伸縮性のある紙の生産も手掛けています。この和紙糸をどの程度使用するのか? 試行錯誤が始まりました。強度を保ちながら「吸湿性」「サラッと感」「通気性」「放湿性」を追求する試行錯誤です。

 日本品質検査研究所への持ち込み検査を行う名古屋市内の大学には、抗菌に関するデータ提供や科学分野の資料集めも協力しています。「吸湿性」「サラッと感」「通気性」「放湿性」等のデータ収集は進行形ですが、実際に購入されたお客様さまからは高い評価を頂いています。

■ 和紙にこだわる理由

 和紙が持っている特性(吸湿性、通気性、放湿性)が素晴らしいこともありますが、大手が容易に参入できないこと、そして海外へも進出できることが大きな魅力です。日本の和紙は世界の絵画修理にも使用されています。また、自然から出来た素材のためエコロジーでもあります。
 アナログだけどテクノロジーでありエコロジーなのが「和紙」です。





今後も和紙を使った新商品に期待です。


 

取材・文 YA(ワイエイ)ビジネスサポート 杉本 安行

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