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世の中にないメッシュシートを

記事更新日17.01

取締役社長 中河原 毅

【問い合わせ先】
株式会社くればぁ
愛知県豊橋市大村町藤田4-1
TEL 0532-51-4151
HP http://www.nippon-clever.co.jp/
印刷用ページ

冬から春までは必ずお世話になる「マスク」で知名度をアップさせた「株式会社くればぁ」(以下:くればぁと称します)です。メディアでも取り上げられる機会も多く、フィギュアスケートの羽生結弦選手が2015年3月中国の上海で開催された「世界フィギュアスケート選手権」で着用したマスクで注目を集めました。

くればぁはマスクだけではありません。布団カバー、婦人服、作業服などの縫製会社として現会長が創業しました。(現在はそれらは生産しておりません。)その後、平成13年からは金網から医療用まで高精度メッシュシートの製造と卸売りへシフトしました。 そして自社の高精度メッシュシート使って商品ができないかと思案してマスク製造を試みました。しかし、現在でも高機能マスクの売上より高精度メッシュシートの売上がメインの会社です。 本当にバランスの良い会社です。

今から6年前に中国にて高精度メッシュシートを使った試作マスクを100枚ほど配布しました。中国では高度経済成長の真っただ中にあり、GDPで日本を追い抜き、PM2.5が話題になり始めた頃です。 中国社会は携帯電話が普及しているネット社会でもあります。試作品を貰った方が「いいね!」と発信すれば百人には伝わります。単純に100×100=10,000でないのがネットの世界です。情報伝達スピードと量は想像以上です。試作品の評判を受けて本格的に製品開発に取り組みました。


  



  



くればぁは豊橋駅(JRと名鉄が一体した駅)から豊川稲荷がある北東へ向かった場所にあります。豊鉄バスで揺られること15分ほどの距離です。田園風景の中に社屋があります。

豊橋から蒲郡にかけた東三河地方は繊維と関係のある地域です。それは江戸時代でなく明治になり養蚕業が奨励され、製糸業として栄えました。また蒲郡から西尾では製糸に関係して縫製産業が栄えました。戦後は繭生産と製糸設備のアンバランスが深化し、原料の繭不足により1965年ごろには衰退しました。

しかし金網から医療用まで高精度メッシュシートの製造製品は、源流である東三河の繊維地場産業が見え隠れする製品であり、当に「あいちの製品」といえます。また、時代を少し先読みする感覚が「マスク製品」へと発展しました。


  


■ 研究熱心

取締役社長である中河原毅氏は、卒業後三河にあるメーカー(電動工具大手のマキタ)に就職しました。配属された部署は小型モーターを扱っていました。小型モーターの後ろに細かいメッシュシートを当てます。このシートは少量であるが必ずメーカーに発注しています。ここに製品づくりの原点がありました。

その後、父親の会社に入り、営業と製品開発担当になります。金型の構造を始めとするモノづくりの考え方をこのメーカー時代に経験したことがその後の製品開発に大きく関わります。


■ 高精度メッシュシートに特化

布団カバー、婦人服、作業服の縫製加工では、納期に追われるだけで下請け構造からの脱却は望めません。小型モーターの後ろにあてる細かいメッシュシートは数量こそ小さいものの定期的に発注していたことを思い出し、平成13年に大きく経営の舵を切りました。世界で一番細かい網目100ナノメートル(1万分の1ミリ)の超高精度メッシュの開発を目指しました。


■ 世の中にないメッシュを作る

レアメタルを使ったメッシュシート、セラミックを配合させて1200℃の熱にも絶えるメッシュシート、純金メッシュシート、プラチナメッシュシートなど、様々な機能を求めてメッシュシートを開発しています。


■ 細い糸を製造する

絹、木綿、毛糸のように糸を紡ぐ工程と同様な手法から糸を製造していません。化学繊維素材を心太(ところてん)のように押し出して糸を作ります。ここに金型技術の企業秘密があります。高精度メッシュシートを作る技術に、ミシンの縫製加工の技術があれば下請けから脱皮して元請け企業と羽ばたきます。


■ 大学等との共同開発

営業から上がってくるヒントを元に、世の中にない製品開発をコンセプトに製品を作り上げます。それには大学等と共同研究、共同開発が欠かせません。その一つが「土のうシート」です。

水害時に氾濫して河川から流れ出た水の浸入を防ぐために土のうを住居や施設の入口等に置きます。水が引いた後は土のうの撤去にも負担が残っています。 この手間と負担を軽減するのが土のうシートです。

PM2.5・ウイルス対策マスクに使用している、空気は通すが水は通さないシートに「避難する人たちへ注意喚起できるプリント」をすれば水害にあった場合でも役に立つのではと考え、水ピタ防水シートを開発しました。

シートが建物に水圧で張り付く、またシートと建物に入った水は出られない。グリコのアイスキャンディ「パピコ」を思い出してください。容器の淵や底に残ったものを押し出そうとしも出てきません。パピコの水溶物が容器に密着する原理を「土のうシート」に取り入れています。

消防本部とのコラボ商品 水を防いで注意喚起 5分で設置できる持ち運び簡単な浸水対策シート発売 水圧を利用する「土のうシート」 

「新幹線を搬送する工場のため、工場に向かうほど勾配が低くなっている。今までは土嚢(どのう)を使用していた。現在、工場はすべて水ピタ防水シートに変更し、作業が楽になった。短時間で設置でき、置き場所を確保しなくて済む。浸水被害はいまのところ出ていない」(JR東海浜松工場) ※参考記事



    


■ 社会的出来事が製品と結びつく@

エボラ出血熱に対応する医療従事者には感染防止にマスクが必要です。2015年、アフリカにあるギニア政府がマスクの評判を聞きつけて、直接の注文がありました。更にマスクの噂を聞きつけて近隣国のリベリア、コンゴからも注文されました。しかし、税関手続き等に相当な時間を要するため直ぐに届けられません。そこで寄付であれば、税関手続きも簡略できるため、寄付に切り替えて3国で計10,000枚のマスクを届けた。ギニア大使館から感謝状が送られ、今年の夏はパーティの案内が届きました。


    


■ 社会的出来事が製品と結びつくA

東日本大震災による原発事故の影響は計り知れません。その中で放射性セシウムを吸収する製品を開発しました。

放射性セシウムを99%吸着除去させる「放射性セシウム吸着除去メッシュ」が通気量を損ねず吸着除去効果が3 倍以上増加しました。(重量比) 農水省のHPに弊社の土壌用放射性セシウム吸着除去メッシュの掲載結果が掲載されました。

※参考記事



    


■ 社会的出来事が製品と結びつくB

韓国では、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N6型)への感染拡大が続いており、 感染の原因について研究の結果、99%がネズミや渡り鳥であることがわかっています。(参考記事 鳥取大学 東京都家畜保健衛生所)

これを受け、現在2,600万羽の鳥が殺処分され、さらに軍を動員し感染地域で160万羽の殺処分されると言われています。

そんな韓国から脚光を浴び大量受注をしているのが、「ネズサル」というネズミの嫌がるハーブや唐辛子成分が入ったビニール被覆したネットです。このネットで養鶏場を覆う事でこのネットをネズミや鳥がかじると刺激成分を感じ退避、近寄らなくなり、侵入を99%防止することができます。

特許申請済のこの商品は現在韓国のみならず、日本国内の養鶏場や動物園からの問い合わせが殺到しています。

なお鳥インフルエンザウイルスと同等のエンベローブ膜を持つウイルス(MRSA)に関しても不活性化実験を大阪市立大学にて行い効果が認められています。

    


    


■ ピタッリッチ

ピタッリッチマスクはプロアスリート向けに開発した超高性能マスクです。9層構造になっていて、編み目の大きさが10000分の1ミリという世界一細かいメッシュシートが、腹式呼吸を促すので普段の呼吸よりも約3倍のカロリーを消費し、ダイエット効果につながります。


■ 素材の裁断から縫製まで

メッシュシートは様々な種類があります。本社工場にはその一部が入荷してストックされています。

    


メッシュシートを紙型に合わせて手作業で裁断します。

    


裁断されたメッシュシートをミシンで縫製します。このとき、指の油がシートに付かないようにビニール手袋をはめて作業します。また、縫製を整えるためにライターを使って糸をあぶり、仕上げの品質を保っています。

    


何層ものメッシュシートを縫製する工程

    


■ シャワートイレに使うシート

汚れがつきづらいトイレ、掃除が楽なトイレが注目を浴びています。その機能を保つために流水に工夫されています。その一端をメッシュシートが担っています。そのメッシュシートの品質確認作業です。

    


■ 試行錯誤の連続

マスクだけを見てみても現在の製品に至るまでは試行錯誤の繰り返しです。テーブルの上に並べてあるマスクは上段の右から左へ、そして下段の右から左への時系列に並べてあります。10回、改良に改良を重ねているが理解できます。

    


■ 100回の洗濯実験実施する

JIS規格103法 【(寸法変化率)家庭用電気洗濯機法】
家庭洗濯と同様の方法で実施し、水分と洗濯機の機械力による寸法変化特性を評価するために行う試験です。実用に近い為、一般的に最も多く用いられている試験方法で、水洗い可能な素材に適用します。103法に基づいて100回洗濯してもマスクの性能に変化はありません。

生地を所定の大きさに裁断し、たて方向及びよこ方向に3対以上の印を等間隔につけ、二層式家庭用電気洗濯機を用いて、以下の条件で試験を実施します。試験前後の測定区間の長さを測定し、寸法変化率を計算します。【必要な試料サイズ】40cm×40cm

40℃の水に弱アルカリ性洗剤を添加し洗濯液とする。5分間処理した後運転を止め、試料及び負荷布を脱水機で脱水し30℃以下の水で2分間すすぎ洗いをし又、脱水し再び2分間すすぎ洗いを行い直射日光の影響を受けない状態で吊干し又は平干しをする。

※参考URL

    


■ イタリアで新マスクを提案

ヨーロッパではマスクが普及しません。白いマスクをつけている人は菌に侵された危険人物と判断する考え方のため、日本のマスクは普及しません。イタリアでは、マスクの代替えとして、マフラーを口元までする習慣があります。そこでマフラーにメッシュシートを織り込んだ製品を開発しています。

    


■ 檜成分を染み込ませた防虫グッズ

足カバー、腕カバー、ストール、網戸を製品化しています。デング熱が流行った2015年に脚光を浴びました。農作業や家庭菜園等で必需品になりつつあります。

    


■ 本社の横にある作業場

ここにもおびただしい数のメッシュシートが管理されています。全国の数万社からの注文に応えるべく様々な種類を準備しています。

    


株式会社くればぁ

あいちブランド 
平成27年度に「株式会社くればぁ」は認定されました。
ものづくり王国と言われる愛知県では、県内製造業の実力を広く国内外にアピールし、愛知のものづくりを世界的ブランドへと展開するため、県内の優れたものづくり企業を「愛知ブランド企業」として認定しております。


    


■ 取材を終えて

取材中に垣間見た笑顔が2016年大河ドラマ「真田丸」主役の堺雅人に似ている2代目でした。非常に研究熱心で複数の大学名、大学教授の名前が出てきました。しっかりと地に足をつけて、無理をしない、急がない、しかし時代のニーズは見落とさない姿勢を感じました。そして世の中にない製品づくりをしています。

参考ホームページ 石川繊維資料館

 

取材・文 YA(ワイエイ)ビジネスサポート 杉本 安行

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