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アイデア・技術を育て、
セラミックの可能性に挑戦し続ける!

記事更新日18.09

代表取締役社長 玉木 洋一郎

【問い合わせ先】
株式会社三光セラミック

瀬戸市白岩町8
TEL 0561-42-0211
HP http://sancera.rdy.jp/hp/
印刷用ページ

今回はタイルに芸術的要素を盛り込んだ「あいちの製品」です。
株式会社三光セラミック(以下:三光セラミック)は、瀬戸市白岩町にあり、セラミック生産技術を活用した意匠性の高いタイル製造を模索し、2017年より生産を始めました。東海環状自動車道「せと品野IC」から5分の場所のため、公共交通機関より自動車のアクセスをお勧めする場所にあります。近くには名古屋学院大学瀬戸キャンパスがあります。

瀬戸は日本有数の歴史を持つ窯業地です。なぜなら陶土・釉薬の原料・薪などの豊富な天然資源に恵まれた土地だからです。特に陶土に関しては500万年前にあった東海湖の存在が大きいです。琵琶湖の6倍といわれる巨大な湖底は、膨大な量の粘土層を形成してできた良質の陶土を産み出しました。そのため、現在の愛知・岐阜・三重の三県に分布している瀬戸、多治見、土岐、常滑、碧南、四日市に共通する産業が陶器、瓦の産地になる訳です。

瀬戸は焼き物から進化したファインセラミック産地でもあります。明治6年(1873年)の電信用碍子の製造に始まりました。材料が持つ優れた性質を極限まで高めたものがファインセラミックといえます。ファインセラミックが発展した理由には産地独特の陶土から焼成までの分業制がありました。ファインセラミックの原料はジルコニア、アルミナ、チタン酸アルミニウム、コージェライトですが、分業により「陶土」に特化した業者が精製原料を使いやすいように添加物を混合・合成をして、ファインセラミック製造原料のノウハウをもって販売する仕組みがありました。

三光セラミックは工業用セラミックやファインセラミックを扱う会社です。一般的にセラミック製造会社は分業制で事業を行っている場合が多いのですが、原料配合〜成形〜焼成〜検査までを一貫して行える事と自社設計の金型と成形機で複雑な製品製造を可能にする技術で芸術的なタイル製品(セラミック壁面装飾)を国内・海外へ提供しています。


   

■ セラミック壁面装飾

2018年イタリアの展示会に出展した写真です。
写真では立体造形が伝わりづらいですが、現地では
bravo(素晴らしい)、bravissmo(素晴らしい の最上級)を
頂きました。



   

■ 会社沿革

三光セラミックは1968年(昭和43年)4月に個人事業として瀬戸市内で操業開始しました。その後1970年(昭和45年)2月に瀬戸市窯町に資本金100万円として三光セラム製作所とし、1992年(平成4年)4月に瀬戸市白岩町に本社工場移転を移転し、資本金1,000万円に増資し株式会社三光セラミックに社名変更しました。その後2012年(平成24年)12月本社工場増設、2015年(平成27年)株式会社瀬戸ブリックを三光セラミック傘下とし、原料の生産を内製化しました。

 

■ セラッミクタイルを選択した理由

営業担当の各務さんが隣接する多治見市出身でタイルに携わる業者をたくさん知っていたこと、そして瀬戸の窯業業者がタイル製造することに近隣タイル業界のしがらみが低かったことです。

キッチンやお風呂など水回りにタイルの多くは3〜4cmの正方形量産品タイルです。三光セラミックは量産品でなく玄関やロビーなどに施工する演出・装飾要素が高いタイルを選択することで価格競争に巻き込まれないニッチ市場を狙いました。

 

■ 複雑立体形状タイル(セラミック壁面装飾)

本社玄関を入ると正面に事務所があります。その右側に写真の複雑立体形状タイル見本がイーゼル(三脚)に鎮座しています。単純な立体形状ではない複雑で意匠性の高いタイル(3次元成形、穴あき、変形複雑形状)は、長年のセラミック生産技術(原料とプレスの高度な複合技術)で製造しており、他社では真似ることが難しいデザインです。


   

■ 2017年メッセナゴヤに出展

上記の複雑立体形状タイルを「スーパーアクセントタイルシリーズ」として2017年11月に開催されたメッセナゴヤに出展しました。タイルには穴が開いており、その後ろにLEDライトを付けて展示しました。ブースを訪れる来場者は『看板屋さんの展示』と勘違いされて入り、実はタイルと聞いて二度驚かれる方が多数みえました。


 

 

■ 製造工程

原料は陶土をこねて丸いシート状にしたもの、陶土を乾燥させて粉末状にしたものを使います。土の配合にもノウハウが隠されています。


   


次にプレス工程です。プレス機械を自社で組み立てるノウハウを持っているため、微妙な圧力を土に掛けることができます。ここにも三光セラミックのノウハウが隠されています。


 

金型を使って形成する場合に写真のように、丸みがあって複数の段上に形成することは非常に難しいです。均一に力を掛けるのでなく、力の配分を調整できるプレス機械を自社で作っているからできるタイル形状です。


■ 根底にはセラミック自動車部品のノウハウ

原料生産からプレス、焼成、検査、出荷まで自社で一括管理する生産工程を持っていることが大きな強みです。これによりセラミック製の車載部品やヒーター部品、電子部材など精度と品質を保証した自動車部品を提供しています。 特に小型プレスの複数保有によって小ロット対応、金型投資のローコスト化が可能なこと、高性能粒度計を導入したことにより原料レベルでの均一化を高め、焼成後の収縮率や粒度のムラを最大限なくす努力を重ねています。

 

■ 焼成釜

自動車部品を製造する場合は9台の釜を使い分けています。 2012年に導入した高効率省エネ炉をはじめ800℃から1650℃までの温度帯をカバーする試験炉またはガス炉を9台保有しており、お客様のニーズに合わせフレキシブルに対応しています。 ちなみに複雑立体形状タイル(セラミック壁面装飾)では2台の釜を使っています。



  

■ 釉薬

 釉薬は営業担当の各務さんの専門分野です。しかし、釉薬は釜のクセに大きく左右されます。そのため 試行錯誤の繰り返しです。写真はタイルの裏側に釉薬が付かない処理をしています。その後、釉薬を付けて再度焼成工程に入ります。

  


■ カタログサンプル

 国内・国外の卸業者へのカタログサンプルの一部が工場内にありました。写真ではわかりづらい面もありますが、波打つ厚さに差異があることや表面が湾曲しています。これを組み合わせるとより立体感が増し、ホテルのロビー壁面に並んでいる光景を想像すると高級感や芸術性が浮かび上がります。

  


■ 金型が凄い

 写真はタイルの金型です。この立体感が凄いこと、そして焼成した場合に縮むことも想定して金型を設計していることにも驚きます。

  


■ 社屋の外観

 道路に面した窓に木々が映りこんでいます。自然の中にあるため街中の雑踏を忘れることができる環境です。

  


■ 取材を終えて
 

タイルの立体造形を初めて見ました。金属でなく陶土からこんな形ができるか! 金型を使って陶土をプレスして、球面や曲面を醸し出すことに驚くばかりです。しかし、難しい技術力を駆使するのでなくコロンブスの卵的な発想がありました。ここに「ものづくり愛知」の力を見る機会を得ました。
8月の終わりに「2020年、名古屋市内でホテルの客室が2000室足りなくなる。訪日外国人(インバウンド)やビジネス関連の需要が伸びる」このような新聞記事がありました。これを読んで新規建設するホテルのロビーや部屋のオブジェとして利用されることを期待しました。

自社ホームページ

 

文責 YA(ワイエイ)ビジネスサポート 杉本 安行

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