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『良いものは認められる』
小型真空熱処理炉のニッチトップ企業
後藤峰男 記事更新日.06.06.01
中日本炉工業株式会社  代表取締役
■問合せ先
中日本炉工業株式会社
〒490−1203 海部郡美和町木折字八畝割8
TEL 052-444‐5141(代表)
FAX 052-444‐1917
http://www.nakanihon-ro.co.jp
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■日本初の加圧冷却方式の小型真空熱処理炉を開発
国産メガネフレームの90%、世界シェアでも20%を生産するといわれるメガネフレーム製造のメッカ、福井県鯖江地区。フレームデザインは製品の命。自社デザインが事前に漏えいするのを防ぐため、中小企業でも自前の熱処理炉を持ち、金型を自前で加工していた。しかし、金型の精度を維持しつつ強度を高めるのに最適な真空熱処理炉は大型で高価なため導入できず、 少量多品種の金型を高温に加熱した薬品などに入れて熱処理していた。小型で安価な真空熱処理炉が求められていた。

2年の開発期間を経て、昭和49年、日本初の加圧冷却方式の小型真空熱処理炉を開発したのは中日本炉工業株式会社社長(当時)の後藤秀明氏。今も国内シェア50%を握るトップランナーである。

■小型炉技術で超大手金属メーカーに着目される
中日本炉工業株式会社の設立は昭和40年。当時、秀明氏は工業炉メーカーに勤務していたが、不況により倒産。同じように職を失った仲間とともに工業炉メーカーを設立した。秀明氏31歳、自宅の敷地を一部改築してのスタートだった。スタート直後は全く商売にならなかったが秀明氏はあることに目をつける。

当時、日本の技術力向上のため、工業高校や職業訓練校などの専門学校が多く設立されつつあり、実習には小型の炉が必要になると考え、売込みを開始。これが当を得ていた。全国の工業専門校から注文があり、経営の基盤を作った。

そんな折、小型炉の評判をききつけ、新日本製鐵よりオファーを受ける。「小型炉を研究所の実験炉に使えないか」。一町工場が新日鐵の希望するレベルの性能を出すことは容易ではなかったが、試行錯誤を重ねつつ、研究者の要求を研究者と ともに具現化していくことに成功。独自のノウハウの積み上げにもつながった。この開発スタイルは、今も同社の技術開発姿勢に受け継がれている。

■真空熱処理とは
『熱処理』とは、金属を加熱・冷却することで、耐久性、耐磨耗性、耐疲労性、耐熱性を持つ金属素材や金属製品を作る加工技術である。日本刀を鍛える技術としてわが国では古くから知られている。焼きならし、焼きなまし、焼入れ、焼戻しなどの過程があり、求められる硬さや精度を実現するには、熱処理炉内の温度コントロールが非常に重要なノウハウとなる。

しかし、空気内で高温で熱すると、金属中の成分が空気の中の酸素と結びついて酸化してしまい、表面に焦げ、錆、スケール(酸化膜)を生じさせ、微妙に寸法に誤差が生じてしまう。したがって、より精度が求められる金型や金属部品については、真空状態で高温に熱することが必要となる。これを実現したのが真空熱処理炉である。

では、大きな熱処理炉ほど多くの金属が処理できるため、効率的かというとそういう訳でもない。形状の異なるものを同時に処理炉に入れると、金属温度の上昇具合・冷え具合が形状ごとに異なるため、温度コントロールが非常に難しくなる。そのため、形状の変化を想定した仕上げシロも多くなり、コストアップにもつながる。逆に、形状の異なるものごとに炉に入れることにすると、温度コントロールは楽になるが、1回あたりの処理数も少量になり、大きな熱量を必要とする大型炉ではコストパフォーマンスが極めて悪い。つまり、炉については『大は小を兼ねず』、生産量に合った適切なサイズの設備が求められるのである。

■熱処理の垂直立ち上げ請け負います
昭和49年に国産初加圧冷却方式の真空熱処理炉を開発して以後、同社は工業炉専業メーカーのトップ集団を走り続けている。同社の強みは1,200万円という中小企業にも手の届く価格と少量加工が必要な現場へのジャストサイズの提案、そして「垂直立ち上げ」を可能とする加工ノウハウの提供にある。

同社では自社製の炉を使い、ダイカストや金属製の工業部品や金型の熱処理加工を受託している。加工の依頼は全国から舞い込み、売上の2割を占めるまでになっている。受託加工の現場で自社炉による熱処理のノウハウを積み重ねることで、単なる「工業炉メーカー」ではなく、「熱処理屋」が作る工業炉として、「垂直立ち上げ」が可能になるのである。こうしたノウハウの提供を含め、安価な小型真空熱処理炉の開発により、「熱処理は難しく、専門業者がやらなければダメ」という固定概念を変え、「誰がやっても同じ加工結果が出る」と熱処理の内製化に大きく寄与している。

小型真空熱処理炉

すでに15カ国以上へ輸出をし、遠くはブラジルからもオファーがある。日系の海外進出工場へも導入し、現地の日本人会で評判となり、日系海外進出工場へ多く導入されるだけでなく、海外進出工場から本社へ中日本の炉の評判が伝わり、国内工場へ導入されるという「情報の逆輸入」現象も起きている。

同社の技術力は業界内でも高く評価されており、海外メーカーとの技術提携や業務提携、新日本製鐵、トヨタ自動車との共同特許取得も実施した。さらに現在では島根県の産官学共同プロジェクトとしてプラズマ熱処理技術の共同開発を行い、将来を見据えている。

■価値あるサービス、ジャストサイズの提案で着実に成長
現社長の後藤峰男氏は語る。「当社の設備で、よりよいものになったり、今までできなかったことができるようになったりなど、お客様のお役に立てることが喜びです。常々、従業員には『ただのサービスをするな』と言っています。これはお客様にとって価値のあるサービスをしなさい、お客様の側に立ったサービスをしなさい、ということです。こちらの都合でビジネスをすると続きません。当社の都合であれば、より大きな設備を売った方が売上も効率もよいのですが、常にお客様のジャストサイズの提案のみを良しとしています。実は、適切な設備投資で業績を拡大されたお客様からリピートしていただけるケースが非常に多いのです。このようにして十台以上、追加追加で納入させていただくケースはとてもうれしいですね」。

会社案内の社名の脇にさりげなく書かれていることばがある。『良いものは認められる』。良い製品という意味だけではなく、良いサービス・ノウハウの提供、良い提案まで含めた『認められる良いもの』の提供により、中日本炉工業は今後も着実な成長を続けようとしている。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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