平成12年、スギ製菓株式会社の社長杉浦三代枝氏は、苦しいカジとりを迫られていた。売上は10億、利益はなかった。主力のえびせんべいは厳しい価格競争を強いられ、販売ルートの頼みの綱である卸問屋からも厳しい取引条件を告げられていた。
そんな時である。古くからの取引先だが不思議な出荷を続けているのに気がついた。
それは「たこ」で有名な三原市で饅頭を売る店。オーダーは「たこせんべい」、月に200万円ほどのオーダーがあった。この店に限っての「包装しないバラバラのままの発送」に興味を持った社長は三原へ飛んだ。その取引先では、たこせんべいを自社のせんべいとして売るべく、2枚ずつ手で詰めて自社ブランドの包装をし、ホッチキス留めをしていた。聞けば「三原のたこせんべい」というイメージから売れ行きがよく、手詰めでは間に合わずバックオーダーを抱えているとのこと。それならばと、社長は包装まで自社で行い三原へ出荷するいわばOEM生産することを提案。その結果、この商品は一気に月1,400万円の売上へと成長した。当社も卸を通さないため利益率を確保することができた。卸ルートに頼らず、顧客とともに商品を育てるビジネスモデルを発見した瞬間である。 |