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屋根を売れ!進化する瓦メーカー
野口安廣 記事更新日.07.01.04
野安製瓦株式会社 代表取締役社長
■問合せ先
野安製瓦株式会社
〒444-1323 高浜市田戸町二丁目2−44
TEL 0566-52-1148  FAX 0566-52-1500
http://www.noyasu.com/
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■イメージを回復した粘土瓦

1995年1月、淡路島・阪神地区を襲った阪神・淡路大震災。被災地からは、古く強度の劣った家屋が無残に崩れ落ちた姿が次々映像として送られた。その多くが建築基準法改正以前の耐震性の弱いことが原因で、比較的新しい瓦屋根の建造物は残っていたにもかかわらず、「屋根の瓦が重いせいだ」とされた。

これを機に、一時敬遠されたが、実物大モデルによる振動実験など業界の地道な広報が効を奏し、震災による倒壊の本当の原因が浸透するにつれ、逆に粘土瓦の良さが見直され、近年では人気を回復しつつある。屋根は建築物の中で最も環境の厳しい場所の一つ。耐久性、断熱性、耐塩性、遮音性に優れ、何より、錆や再塗装の必要がないなど長期間機能劣化がないというスレート屋根、板金屋根に比べると大きなメリットがある。

近年では「瓦」という言葉からすぐイメージされる「和型」とは異なる、洋風住宅にマッチしたS型、平型などデザイン重視の商品開発が進んでいる。

日本の三大瓦産地の中で、今最も元気の良い三州(半田、高浜、碧南、刈谷地域)にあって、商品開発力等で地域をリードする企業の一つが野安製瓦株式会社である。

■全国トップ産地・三州の中でも有数の企業

粘土瓦は、飛鳥時代に技術者が百済より渡来して以来、主に社寺仏閣、城等に使われてきた。一般庶民に広まり、瓦の製造が産業として興ってきたのは、繰り返される大火に頭を悩ませていた徳川吉宗が1720年に瓦葺きを奨励して以後である。

現在、三大産地として知られるのは、愛知県(三州瓦)、島根県(石州瓦)、兵庫県(淡路瓦)である。中でも三州では年間5億枚を生産、全国生産量8億8千万枚の約60%を占める(平成16年工業統計による)。

全国生産量は、住宅着工件数に大きく左右されるので減少傾向であることは否めない。そのような中、野安製瓦鰍ナは着実に業績を伸ばしている。成長エンジンは商品開発力である。

能楽堂を始めとして、多くの社寺仏閣向けに当社の瓦が使われるなど、三州産地でも有数の製造業者である。しかし、今から十数年前、和瓦だけに頼るのではなく、新たなビジネスモデルを構築しなければ成長は見込めないと判断し、新たな商品・新たな販路の開拓を始めた。

■商品開発力を磨く
   住宅ニーズに合わせた商品を

和風建築が減少するにつれ、和瓦の需要も減少、屋根はスレート材へと置き換わり始めた。軽量で施工性が良く工期短縮が可能なことも大きな要因であったが、最大の要因は洋風建築にマッチしていることだった。そこで、洋風建築向けの平型瓦の開発を始めることとなった。

和瓦では、でき上がりが曲線的になるよう焼いていたが、平型瓦ではフラットに焼く必要がある。平型瓦の売りの一つは「ストレートライン」の美しさですが、その「ストレートライン」を出すのが難しい。そもそも原料粘土は10%の収縮率がある上、片面に釉薬をかけるので表面と裏面で収縮率が異なってしまい、たわみが発生する。

現象を一つ一つ分析し、粘土の出し方、金型の修正、成形後の調整など、成形法に工夫を凝らすことで完成させた。現在ではバージョン3まで発売するヒット商品となった。

■商品ラインナップの充実も怠らない

平型瓦にとどまらず、住宅トレンドに対応しながら商品開発を続けており、「セラマウント」もその一つ。南欧地中海周辺のイメージを持つ住宅向けに開発された洋瓦である。1枚の瓦に2つの山形を持つ形状で、色にこだわった商品となっている。自社ブランドで16色、大手ハウスメーカーからの指定色2色を合わせて実に18色。瓦としては異例のアイテム数だ。

「昔は和瓦一つしかなく、商売としても楽だったのですが、いつまでも古いビジネスモデルにしがみついてもいられません。お客様のニーズに対応するため、様々な提案ができるように商品開発は続けます」と野口安廣社長。

■独自商品で提案型営業への転換成功

商品開発に伴い、営業の方法も変えた。従来は屋根工事店、問屋等のルートが中心であったが、別ルートの開拓に乗り出す。当初は設計事務所を中心に営業、官公需向けには有効だったが、一般住宅向けにはあまり有効でなく、ハウスメーカー、建売業者、ビルダーなどへ方向転換。ハウスメーカー等との取引では、売単価があまり上下せず安定すること、一定量が確保でき生産性が安定すること、などのメリットがある。

和瓦では商品の差別化ができず、価格競争一辺倒であったが、自社開発商品を持つことにより、提案営業力が勝負を決める。提案力を高めるため、シミュレーションソフトも作った。建物の形状、壁などと屋根瓦の種類・色との組み合わせをシミュレート、ハウスメーカーへの提案、そしてハウスメーカーから施主への提案を支援する。ここまでの提案型営業ができるのは、まだ数社とのこと。

■日本初瓦メーカーでのリサイクル認定

平成16年6月環境省の産業廃棄物広域認定に認証(認定番号6)を受けた。瓦メーカーでは初めてのことである。この制度は「廃棄物の性質を熟知した事業者が、廃棄物を広域的に回収することで、規模のメリット等リサイクルが促進される可能性が極めて高いと認められる場合、廃棄物処理業の許可が不要となる」というメリットがある。許可不要で広域的な産業廃棄物処理が可能になるため、廃材がどこかにこっそり捨てられないシステムになっているか、リサイクルを維持していく経営力があるかなど、厳しい審査がある。認定基準が非常に高く、取得業者は98社(平成18年12月現在)、名だたる大企業と肩を並べての認定である。

当社の目指すリサイクルは、施工図面に合わせ出荷前に瓦をプレカットし廃材を回収、さらに施工現場での廃材も回収。回収された端材は粉砕され新しい瓦の原料となる。想定モデルでは新築住宅1棟あたり450kgの端材が出るとすると、プレカットにより350kgが回収、現場施工では100kgが回収されるとのこと。「施工現場までへの浸透は時間がかかりますが、じっくり取り組んでいます」(野口社長)。

 

■瓦を売るのではなく「屋根の機能」「屋根システム」を売れ

提案力を磨き続ける当社は、さらに新たな提案をしようとしている。

大きく変化した住宅環境に対応する、乾式・超軽量化システム「SDL工法」と高耐久・耐熱の自動屋根通風システム「D-AIR」である。

 
住宅の高断熱・高気密化に伴い、屋根裏環境も変化を見せている。従来の日本家屋では今ほど密閉度が高くなく、それゆえ外気温との差が少ないため結露が起きにくい住環境であった。しかし、高断熱・高気密化により、外気温との差が大きくなり結露が発生しやすい環境になってきている。室内と同様に小屋根裏でも部材が腐ったりする現象が発生し、知らず知らず大切な屋根部分に損傷を引き起こしているケースが出てきている。そこで当社では「屋根」が適切な機能を果たすための屋根のトータルシステムを開発、瓦とともに販売することで、瓦だけを売る業態から「屋根システム」全体を売る業態へと変貌しようとしている。

2百数十年間「和瓦」しかなかった瓦業界にも経営環境の変化がやってきている。大手競合メーカーが倒産する中、成長することは容易なことではない。真の成長エンジンは「古いビジネスモデルを脱ぎ捨て、新しいビジネスモデルを構築する力」である。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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