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月産400万個の小型歯車を製造するNO1歯車専業メーカー
中村 仁 記事更新日.07.10.02
中村精機株式会社 代表取締役社長
■問合せ先
中村精機株式会社
〒444-0122 額田郡幸田町大字六栗字上八反田1番地
TEL 0564-56-3511(代)  FAX 0564-56-3513
http://www.nsgear.co.jp/
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自動車やバイクのトランスミッション(変速機)の主役は言うまでもなく「歯 車」である。安全走行のためには、非常に厳しい精度と品質が求められる。 系列にとらわれず、トランスミッション用を始めとする量産型歯車では月産400 万個と、歯車単体メーカーでは日本一の生産量を誇るのが中村精機株式会社である。

■系列外取引で試される実力

中村精機鰍ヘ、先代社長により昭和30年設立された。当初はオートバイ、ミシン用の小型歯車を、昭和49年からはオートマチックトランスミッション(A/T)用の歯車製造を始める。A/Tは従来のマニュアルミッション用に比較して歯車の数が多く、このころから生産量が増え始めるも、系列構造の中での受注仕事であった。

ピニオンギヤ

転機を迎えたのは15年ほど前。当地域の自動車産業に共通することであるが、グローバル調達の中で「系列内での取引だけに安住せず、系列外の仕事も始めるように」と、系列外取引が認められることになった。多くの関連企業に衝撃が走った。『仕事が減るのではないか』『厳しい競争にさらされるのではないか』。
当時の状況を振り返り中村社長。

「ドキッとした感じはありませんでした。こうなる時が必ず来ると思っていました。コストや品質・納期を含めた技術力を高めることで顧客の信頼を得てきたと自負していましたから、今までお取引の無かった企業とでもビジネスをしていけるのではないかと考えていました。しかし、そうした自負はあったものの『いよいよ実力が試される時がやってきた』と気を引き締めたのを覚えています」。

歯車は、トランスミッションメーカーで内製化しているケースが多い部品で、同業の歯車メーカー同士の競争だけでなく、取引先であるトランスミッションメーカー自体が競争相手となる。つまり、相手に外注化を納得させるだけのコストメリット・技術力・安定供給力が求められるということである。

では、現在、アイシン・エィ・ダブリュ社やジヤトコ社を始めとする主力国内トランスミッションメーカーへ、多くの部品を供給するまでになった秘密は何か。

■「類似部品」受注で勝負

当社が製造する歯車は直径10mm〜150mm程度、中には7mmの製品もあるが、20mm前後の製品が主力である。いや、集中させているというのが正確だろうか。

複数の取引先から受注する数多くの歯車の中には、大きさ・製造工程等から見て「類似のグループ」に分けられるものがある。こうした類似グループの製造を自社開発の多品種生産に対応した搬送設備で自動化することにより、コストダウンを実現させている。多品種少量の歯車生産をトランスミッションメーカーが内製するよりも安い調達が可能になるという訳だ。

製造する歯車の直径をある程度の大きさに集中させているのは、こうした「類似グループ」のかたまりを大きくするためだ。大きくするほど自動化できる時間が長くなり、一層コストダウンに対応できる。

このように多くの部品メーカーから類似の歯車受注をたくさん集めることが、当社の大きな競争力につながっているのだ。

■変化が起こるときの仕事こそが存在価値を示す

このような競争力を実現するのに重要なキーワードが「自動化」である。 本来が多品種生産である歯車の自動化は、切削加工などの既存の生産設備を買いさえすれば実現するものではない。長時間の自動化を実現するために、マシンとマシンをつなぐ搬送機、誤作動を検知するロボットストッカー、加工サイクルに連動した洗浄機、歯形、振れ、キズを検知する簡易検査機など、自動化に必要な「つなぎ」の設備は、自社で開発したものだ。
標準搬送機 ロボットストッカー
「極論すると、製造マシンを買ってしまえば、国内どのメーカーでも、あるいは海外でも工場はつくれます。ハードな部分はお金さえあれば買えてしまいます。そこに強みを求めると中小企業は負けてしまうのです。コスト面でも中国に代表されるような人件費の安い国には勝てなくなるでしょう。そこで考えたのは『対応速度での勝負』ということです」。

 『対応速度』とは、新製品に対する立ち上げの速さであり、取引先の急激な生産量の変化への対応の速さである。これを支えるのが、長時間の自動化に向け知恵を結集した自社開発設備である。

「こうした、他ではできない難しいところへの対応力、変化に対応できる技術、設備のポテンシャルを最大限に引き出すノウハウ、といった『ソフト』面の充実を重要視していきたいと考えています。つまるところ、変化が起きる時の仕事をいかにスムーズにこなすか、という時に真価が問われる訳です。同じものを継続的に安くつくる、ということでは海外製品に負けるかもしれませんが、変化に対応する力こそが当社の存在価値といえるでしょう。」

■全工程で要求精度に応える

しかし、自動車の心臓部の一つともいえるトランスミッション部品を「コストダウンができる」という理由だけでは受注できるべくもない。「品質水準を満たす」が大前提である。求められる水準は、例えば「歯形の0.5ミクロンの凹みは不良」とされるレベルである。

歯車の生産工程では、歯切りを行った後、強度を上げるため熱処理を行うが、この時、変形ひずみが生じる。0.5ミクロンの凹みが許されない世界では「ひずみは生じるものだから仕方がない」では許されない。ここでは熱処理後の変形ひずみ分を予測して歯切りを行うという技術力が求められる。

精度ばかりではない。歯車の強度に余裕を持たせようとすると、否応無く大きくなったり、重くなったりしてしまい、軽量化を進める自動車産業のニーズに応えられない。

「重さ、大きさを最小限に、しかし精度や安全性という品質は最大限に、という極限設計のニーズを満たすために、どの工程が油断しても要求水準には達しないとことろまできています。」

こうした要求レベルを満たすため、技術力向上に向け、技能士の資格取得の奨励なども行っている。

中村社長がポツリと発した言葉。「従業員の努力の他、協力工場様や刃具、鋼材メーカー等の仕入先様の協力によって、全ての工程で、品質・コストを含めた技術力が維持できています。その意味では、日常の積み重ねで、月産400万個の歯車を量産できているということ自体が大変な技術だといえるのかもしれませんね。」
 

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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