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伝統の味を守れ〜製法・職人技・心
石川八郎右衛門 記事更新日.07.11.01
九重味淋株式会社 代表取締役会長
■問合せ先
九重味淋株式会社
〒447-8603 碧南市浜寺町2−11
TEL 0566-41-0708(代)  FAX 0566-48-0993
http://www.kokonoe.co.jp/
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■「田沼時代」から続く老舗
1772年。日本では10代将軍徳川家治の時代、田沼意次が権勢を振るい始めたころ。アメリカではこの4年後の1776年に独立宣言がなされ、フランスではこの2年後にルイ16世(のちに「ベルサイユのバラ」で知られるフランス革命で処刑される)が即位をする。そんな時代に九重味淋は創業した。

現在の九重味淋株式会社の石川八郎右衛門会長は語る。
「実は、この1772年を創業としたのは、この年に『冥加金を支払った』という記録があるからなのです。本格的な『事業』として税金を支払うまでになった、というのがこの年ですから、実際にみりんの製造を始めたのは、試行錯誤期間を考えると、さらに10年程度は遡るのではないでしょうか」。

創業者はもともと現在の碧南市で廻船問屋を営んでいたが、廻船問屋として全国各地から仕入れた情報から、気候風土・作川の水など三河地方が本みりん醸造に適していると考え、みりんの製造業へ生業を転じる。今で言えば「情報力」により成長性のあるビジネスへ業種転換した、というところか。

■一口に「みりん」と言うけれど…
創業以来、230余年みりん作りの心と技、そして味を守り続け、現在は本みりん70%、みりん系調味料12%、その他の調味料18%という売上構成である。

みりんは、本みりん、発酵調味料、みりん風調味料の3つに大きく分けられる。
「本みりん」はもち米・米麹・焼酎などで作られアルコール度14%程度です。一方、「発酵調味料」は、うるち米を麹で糖化し、酵母によって醸酵させて、糖類や醸造用アルコールと合わせたものでアルコール分は10〜14%程度です。飲用できないよう塩を加えて調整してある。このため本みりんには酒税が課せられているが、発酵調味料は酒税が課されない。また、ブドウ糖や水あめなどの糖類に、グルタミン酸、香料を混ぜ合わせたもの。アルコール度数は1%未満です。安価である半面、みりん本来の特徴である、魚などの生臭みを消す効果はあまり期待できないとされる。

■昔ながらの手作りを守り続ける
当社での本みりん作りは、手作りが基本で、先人から伝わっている製法を守り続けている。

まず、良質のうるち米に種こうじを植え付け、二昼夜かけて米こうじをつくる。この米こうじを、充分に蒸したもち米を冷やした後に米焼酎と共に加え、仕込み蔵へ運ぶ。こうして作られた「もろみ」は均一に熟成するよう「櫂入れ(かいいれ)」を行うことで、こうじの働きが良くなり、熟成が進む。蔵人が竹製の棒「櫂」を使い8の字に満遍なく混ぜ合わせるやり方は、昔も今も変わらない。一方で、温度管理については、空調システムを導入し18〜20度に厳密に調整を行なうなど、昔ながらのやり方を守りつつ、機械化など現代のやり方を組み入れることで、よりよい製品作りに向けしたたかに姿を変化させている。

もろみは、仕込から2〜3ヵ月熟成された後、二昼夜かけてじっくりと搾られる。時間をかけ搾ることにより雑味のない、本来の味わいと純度を保った本みりんとなる。

搾られた本みりんは、さらに半年から一年の間、ゆっくり寝かされ、熟成されることになる。

■伝統の味を守りつづけられる秘密
こうして、本みりんはつくられるのだが、大きな疑問が残る。

当社のような老舗の本格的みりんであれば、料亭などで業務用に使われるケースも多いはず。とするならば、微妙な味の変化も許されないはず。しかし、原料のもち米・米こうじ・米焼酎どれをとっても「農業製品」が原料であり、それ故、同じ年のものでも原料の品質・味は全く同じものではないはず。原料が同じ品質でなければ、それから作られるみりんの味も均一化されないはずではないか。しかし、老舗の歴史と伝統を守り続けているということは、味の変化に敏感なユーザーの支持を受けているということで、同じ品質を提供しつづけていることになる。

同じ品質を絶えず提供し続けることが出来る秘密とはなにか。
それは、「良質な原材料を吟味して使用していること」「昔ながらの製法を守り続けていること」。仕込みの時期や米の状態により、米を蒸すときの浸水時間や水の量なども調整し、もろみや製造過程の段階で味を同じように整えることも蔵人の技術であり、長年の経験と知識で培った大切な財産です。

■みりんの可能性を求めて
伝統の味を守り続ける一方で、従来の「和食用途」という殻を脱ぎ捨て、より多くのレシピを開発する試みも続けている。

一般の方に、みりんの「知られざる」可能性を実感してもらおうと、レシピコンテストを1991年から7年間実施。1999年から5年間は、一般に使用されることのない洋食や中華ではどれだけの可能性があるかを試そうと、一流ホテルの料理長の協力の下、レシピの開発を始める。一品一品にみりんを使った新たなレシピは、和洋中を取り混ぜたフルコース料理となり、毎年「特別夕食会」という形で、一般の50組100名を招待しお披露目し、一流の料理人にもその可能性を認めてもらっている。

■黒子としての底力
最後に、石川会長が語る「みりん」の存在意義、そして事業の将来像。

「『食事』という舞台では、食事をされる方、そして作る方が主役で、私どものようなみりんメーカーは主役がよりよい舞台ができるための黒子なのです。黒子は、演じる俳優が代わろうと、舞台のそでから演者の背中越しに観客の方々の反応をじっと見続けています。みりんは決して主役にはならず地味ではありますが、味付けという点では、食との結びつきは強固です。そうした長年の蓄積が当社の目に見えない資産になっています 。」

そして、ただ伝統的な製法を守り続けるだけではなく、日本人の食生活の変化や今後迎える人口の減少という時代の流れに対応して我々も対応していかねばなりません。お客様にニーズに絶えずお応えしていくためには、いかんせん「みりん」だけでは消費者との結びつきを強めるにはラインナップとして少ない。そこでそばつゆや焼肉のたれなども始めたわけです。ここに、食との強固な結びつきによる長年の蓄積が生きてくるわけです。今後はこうした分野を第二・第三の柱に育てて生きたいと思っています。」

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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