前田バルブ工業鰍ヘ、現社長の前田康雄氏の父親である前田宣一氏が、戦後間もない1946年に創業した。創業当初は、自身が鋳物職人であった技術を活かし、蛇口等の給水栓・止水栓等の製造を始める。その後、競争激化となったのを受け、1968年に水道の地中埋設用の止水栓を開発、徐々に地中埋設用の水道用バルブや継手などの給水装置へとシフト、現在では水道用バルブを全国展開する5社のうちの1社となった。
地中埋設の配水管までは自治体のインフラであるが、そこから住居への引き込みは水道メーターを除き全て居住者負担となる。したがって、引き込みに使われる当社製品の販売先は、工事を行う各地域の指定工事店であり、工事店へのルートを持つ商社、水道組合等である。
全国展開は『全国の水道給水装置仕様に対して、1個オーダーから受けられる対応力』に支えられ実現した。その対応力は製造・販売面でのノウハウが活きている。
製造面では「1個オーダーに対応できるよう、多品種少ロット生産に対応できる体制作りをしてきました。また、即納体制への要求にも応えるため、1万点を超える部品を在庫として持っています。例えば、止水栓であれば、栓の開閉を行うハンドルの形状だけで7種類、これにハンドルの色、ネジの形状・種類等を掛け算することになるので、ご理解いただけると思います。加えて、古い仕様のオーダーも重なると、対応する仕様は数限りなくなります。しかし、こうした対応がその後のビジネスにつながるケースもあるので、対応力は非常に重要なのです。中には20年以上前の交換用バルブをオーダーされることもあります。」と前田社長。
販売面では「全国からのオーダーに対応できるには、データベース作りも欠かせません。同一製品であっても、自治体・事業体で呼び名が違うこともあれば、逆に同じ呼び名のオーダーであっても、自治体・事業体によって違う製品を指すこともあります。また、旧型製品のオーダーもあります。こうした先方呼称と当社の製品名とのマッチングができなければスムーズにオーダーを受けることができません。このためにもデータベースは必要なのです」。
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