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創業158年の生命線〜「変わらなければ」とチャレンジ精神
伊藤正樹 記事更新日.08.11.04
中外国島株式会社 代表取締役社長
■問合せ先
中外国島株式会社
〒491-0931 一宮市大和町馬引字焼野48番地
TEL 0586-45-0181(代)  FAX 0586-46-1974
http://www.ckktex.co.jp/
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■毛織物産地尾州の代表的企業
尾張西部地域、一宮市を中心とする毛織物産地「尾州」。紡績や織布を始めとする毛織物関連企業がそれぞれ分業をし、原料から素材加工・製品開発、毛織物製造まで一貫生産ができる国内最大の産地である。平成17年度の工業統計によると、愛知県の毛織物関連生産シェアは60%を超える。

この尾州において、158年の歴史を持つ毛織物メーカーが中外国島(チュウガイクニシマ)株式会社である。
紳士・婦人服や服地の企画・製造・販売を行い、早くから海外に目を向けたグローバル志向が強い企業として知られる。

■158年の歴史をつないだ「チャレンジ精神」
1850年創業者の国島武右衛門が尾州西部(現在の一宮市)にて機屋業を創業。ペリーが「黒船」で来航する3年前のことである。創業者は、チャレンジ精神にあふれ、機屋業にとどまらず、問屋業、金融業など、現在で言う「経営の多角化」を図っていった。

1924年(大正13年)には、当時流行した「国の内外に発展する」という意味を持つ「中外」という言葉を社名に冠した、中外毛織株式会社を設立。
これが現在の毛織物メーカーの源流となっている。

1938年(昭和13年)には天津に総合商社の三興洋行社を設立。そのチャレンジ精神で海外に目を向けた展開も積極的に取り組んだ。

戦後においても、他者に先駆け、1965年にイタリア、1968年にフランス、1970年にはイギリスの企業と技術提携・姉妹会社提携を締結するなど、海外展開に積極的に取り組んでいる。

「海外展開にあまり抵抗のない風土であった当社は、ファッションのイメージが強い国のメーカーと積極的に技術提携をしていきました。国内の取引先へ提携先を同行させると、かなりの確率で商談がまとまったようです。海外ブランドがまだまだ手の届かない存在だった時代でしたので、当社の評価を高めるのに一役買いました」と現社長の伊藤正樹氏。

1981年には中外毛織鰍ニ国島鰍ニが合併、中外国島鰍ニなり、1995年には製造のグローバル拠点である上海中外国島毛織有限公司を設立、現在に至る。

■グローバル企業への曲折「台湾でバナナが売れるか?」
今から20年ほど前、ドイツ・フランクフルトで開催される世界最大の繊維素材見本市「インターストッフ」に国際羊毛事務局のグループで出展する機会を得た。何とかいい商談会にしたいと、現地でよく売れているものを研究し「これなら絶対反響が大きいだろう」と意気揚々と試作品を持ち込み、展示会に挑んだ。

しかし、これが全くの目論み外れ。
「売れているから」と作った試作品は、裏を返せば、現地でも調達できる製品。日本製品よりも伝統のある現地品と同じものを作っては勝ち目がなかった。また、輸送コストが上乗せされ、コストメリットもほとんどなくなる上、オーダーを受けたとしても船便で運ぶため1ヶ月かかる、商談をするに至っては「流行が移りやすいファッション生地では商機を逃すリスクが高く、とても取引できない」と現地バイヤーからは相手にされなかった。

在欧の日本商社からは「ヨーロッパは毛織物の伝統のあるところ。そこへ同じような毛織物を持っていくのは、台湾へバナナを売りに行くようなものですよ」と散々な評価を受けた。

「確かに、本場へ後発産地が同じ製品を持ち込んでも相手にされるはずがなかったのですが、出展してみるまでそこに全く気がつきませんでした。バナナが本場の台湾へは、日本産のバナナではなく、りんごや桃を持っていかなければならなかったのです。このことはその後の海外展開に非常に勉強になりました」。

こうした曲折を経て、パリの国際的テキスタイル見本市である「プルミエール・ビジョン」が欧州以外の企業に門戸を開いた時、厳しい出展審査を経て日本企業として初めて出展するなど、高い技術力・商品力が認められるまでになった。

■日本にしかできないものを追求せよ
こうした国際展開を狙うブランドが「COBO」である。「海外で生まれた生地を、日本でしか加工できない『ジャパンオリジナル』を意識している」と伊藤社長が語る製品である。

「プルミエール・ビジョンでも高い評価を受け、海外のデザイナーやメーカーからは知られているブランドなのですが、実は日本国内ではまだまだ、あまり知られていないのです。ある時、海外のデザイナーズブランドが、提携している日本のメーカーへ『COBOというブランドの生地が日本にあるので、それを使ってくれ』という話があったそうです。でも、日本では無名なため、散々苦労して調べてみたら何のことはない、実はよく知る中外国島ブランドだった、と驚かれたこともありました」。

今年のプルミエール・ビジョンでは、当社と有松産地の浅井絞商事が共同開発したウール絞り生地が、大きな反響を得た。「尾州産地の毛織物」に有松の絞りを施したウール絞生地は、日本的感性の目新しさに加え、今までの綿や絹での絞生地にはなかった素材の柔らかさと縮み具合、立体感の新鮮さが受けた。

「ユニークさが非常に高い評判を受けました。あの時の失敗が活きています。こういうオリジナル性の高い製品がバイヤーの関心をひきつけ、ひいては高付加価値での取引が可能になるのです」。

■尾州産地・毛織物の次なる展開を求めて
尾州産地は、他の産地に比べて完全な下請や系列傘下という企業は非常に少なく、どの会社も自社の特徴を持ち、自社で値付けをし、企画・販売をするだけの力があった。しかし、徐々にその決定権は、川下へ川下へと移り、小売店がプライス決定権を握り、採算面で厳しい状況となり、価格面でメリットのある海外へ仕事が流出してしまっているのが現状である。

「従来のままでは産地も生き残っていけません。新しい産地としてのあり方を模索していく必要があると思っています。生産効率面で言えば、毛織物産地の尾州では、冬物依存が激しく、どうしても効率が悪い。婦人物では冬偏重の傾向が顕著です。そこで、産地としての新たな取り組みとして、ウール主力の秋冬向け素材の産地というイメージを払拭する狙いで、尾州に基盤を置く糸、織・編み、染色加工の各業種が横断的に連携し『尾州の春夏素材展』を開催しました。メーカーからは『尾州では、ウールだけでなくこういうこともできるのか』という再発見への反響がたくさんありました。産地全体としても『変わらなければ』ですね」と語る伊藤社長である。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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