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長寿企業は「老舗の看板」の裏で変化し続ける
山田 幹夫 記事更新日.09.09.01
甘強酒造 株式会社 代表取締役
■問合せ先
甘強酒造 株式会社
 〒497-0033 海部郡蟹江町大字蟹江本町字海門9
TEL 0567-95-3131  Fax 0567-95-3141
http://www.kankyo-shuzo.co.jp/
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■創業147年の長寿企業
1862年、大政奉還を5年後に迎えることになる幕末。この年、味醂の製造元として創業した会社は、今年、創業147年を迎える長寿企業となった。この会社こそ、創業当初から伝承される製法を守り続け、多くの料理人から支持される味醂メーカー甘強酒造株式会社である。
文久2年の創業後、明治から大正期にかけ順調に業績を拡大、昭和10年には法人化、最盛期には、国内はもとより、当時日本領であった朝鮮・満州にまで販路を拡大していった。しかし、太平洋戦争へ突入すると、味醂の製造は許可制となり、ごくわずかな量の生産に限られることとなった。味醂はぜいたく品とされ、「製造技術を絶やさないため」の生産のみしか許されなかったのだ。この生産規制は、米などの物資不足の戦後もしばらく続き、解除されたのは、昭和26年のことである。規制解除となり、味醂作りも息を吹き返し始めた昭和29年には清酒の製造も開始、昭和40年代には売上の半分程度を占めるまでになり、酒造メーカーとしての顔も持つまでになった。
現在でも清酒売上は20%と根強いファンに支えられるとともに、昔ながらの製法を守り続け、数多くの味醂のラインナップを有する味醂メーカーとして、料理人たちに広く知られる。
■長寿企業の秘密とは
まもなく創業150周年を迎える当社の「長寿の秘密」は何か。
「長寿企業というのは『創業×年』を前面に出しているため、『昔と変わらず脈々と同じ方法を守り続けている』というイメージを持たれていますが、実は、長寿企業ほど『変化し続けている』企業はないのではないかと思います」と六代目社長の山田幹夫氏。
「経済環境やユーザーの変化に対応できなければ、企業が生き残っていくのが難しいのは過去も今も変わりません。長寿であるということは、そういう幾多の変化に対応することができた、ということではないでしょうか。明治時代には造り酒屋は2〜3万社あったそうですが、私が入社した昭和47年には全国で3000社ほどになっていました。蟹江町でも20社ほどあった酒造メーカーが今では2軒ほどになってしまいました。
長寿企業となるには、的確に時代の変化に対応をしたなど『何らかの理由』があるのではないでしょうか」。
■「変わる部分」と「変わらない部分」
長寿企業には「変わる部分」と「変わらない部分」とのバランスが常に求められる。
当社の「変わらない部分」とは「以前の製法をそのままに、伝統で培われた味」である。
味醂は、うるち米で作った米麹と、もち米、焼酎を原料として製造される。中でももち米は味醂独特の甘みを左右する生命線。
この味を守るため、地元農家と契約をし、国産もち米の確保を図っている。甘みを増強するため醸造用糖類を添加することが一般的ではあるが、当社ではもち米の味・量の安定供給を確保することで、それらの添加を最小限に抑え、昔ながらの製法で従来の味を守り続けている。
しかし、この「守らねばならない部分」のために変わらなければならないこともある。
平成5年、冷夏により国産米の生産量が激減。このことは味・量の確保、そして安定的なコストの実現に、非常に大きなリスクとしてクローズアップさせた。そこで、平成7年中国での生産を開始、安定供給とコストダウンで大きな役割を果たす。また、ここでの生産品は中国の日本料理店向けへの出荷品としても広く販売され、業績拡大にも寄与している
■板前の厳しい評価の積み重ね
当社の大きな特徴は、販路の80%以上が業務店向けであり、料理店への提案営業を積み重ねることによって実現させたものである。それができるのは当社の強みである「味醂で数多くのラインナップを持つ」ことにある。ホームページには一般向けの6種類のアイテムしか掲載されていないが、その実は、業務用に多くの板前さんの要求に応えながら作り上げた数多くのラインナップが存在し、中にはそのお店の専用味醂まで開発するケースもあるとのこと。しかし、そうした提案は料理店の板前さんとの直談判であり、非常に厳しい評価を受けることにもなる。当社の味醂はそういう厳しい舌に応えながら顧客を増やしてきた。
「料理店を一軒一軒回って提案することは、非常に手間のかかることですから、他社は絶対にしないでしょう。しかし『他社がやらない』からこそ価値があるのです。他社と同じことをしていては、残っていけないですし、厳しい評価を直接いただくことで、地道ではありますが強固な関係ができてきています。採用いただくまでにはある意味『板前さんとの共同作業』で味を作っていくことになります。用途によっても要求されるものは異なります。煮物であっても魚と野菜では違いますし、めんつゆ用ともなれば全く違ったニーズをいただくことになります」。
■東京でも舌の肥えた料理人をうならせる
近年は東京を中心にユーザー開拓を行なっており、地道な販路開拓が実を結び始め、多くのファンを獲得している。それに伴いパブリシティで紹介される機会も増えた。銀座の一流店の板前、ミシュラン料理店の日本料理店料理長、料理研究家など数多くの舌の肥えた人たちが、当社の味醂を推す。
「今まで、東京での展開は積極的には行っていませんでしたが、使ってくださる方が多くなるにつれ、いろいろな雑誌などでご紹介いただく機会が増えました」と東京での展開の思わぬ効果に喜ぶ。
今後はこうした顧客ネットワークをさらに拡大、味醂を柱とした商品展開を行っていきたいとのこと。 「当社は、味醂を核とした、強固な顧客との関係づくりを行なってきました。今後は味醂を幹とすると、その枝葉の部分の展開を仕掛けていき、新たな幹として育てたいですね。他社がやらない方法で築いたネットワークでしかできない、当社ならではという展開を、今後もしていきたいと考えています。」と語る山田社長である。
取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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