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精密切削の技術力・品質で世界から仕事が集まる会社
加藤 明彦 記事更新日.09.12.01
エイベックス 株式会社 代表取締役社長
■問合せ先
エイベックス 株式会社
〒467-0853 名古屋市瑞穂区内浜町26番3号
TEL 052-811-1171(戟@ Fax 052-811-1175
http://www.avex-inc.co.jp/
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オートマチック車の加速や減速は、オートマチックトランスミッションの油圧制御を調整することにより、スムーズなギア変速を行う。スムーズな調整をするための重要な部品が「油圧制御スプールバルブ」。外径のバラツキ精度は8ミクロンが要求される精密部品である。ミクロン単位の切削・研磨加工に特化し、その技術力・品質でスプールバルブの世界シェアの8%を握るのがエイベックス株式会社である。その技術力の高さから、経済産業省の「06年元気なものづくり中小企業300社」へも選定された。


■ミシン部品・映写機部品加工から自動車部品へ
エイベックス鰍ヘ、1949年、現社長加藤明彦氏の父親が、親戚の鉄工所から独立する形で創業した。当時は、近隣のエルモ社からの映写機部品や、前職の鉄工所からの紹介で愛知工業(アイシン精機の前身)からのミシン部品等の精密で小物の切削・研削加工を行っていた。
しかし、1960年代になるとミシン部品は台湾へ流出、一方、映写機部品も1970年代にはビデオカメラにとって代わられ、映写機の仕事は激減することになる。
幸い、60年代半ばから始めたブレーキの制御部品である「ユニオン」が好調で、ガイドピンなどの丸棒切削加工も開始、事業の軸を自動車部品へシフトさせた。70年代半ばには、当時非常に高価であった6軸自動旋盤を、無借金経営を返上してまで導入し、劇的に生産性を向上させた。丸棒の切削加工技術は現在の主力商品であるオートマチック油圧用スプールバルブへとつながる。

■既存の売上を失っても事業分野を絞り込むことで事業的に成功
1984年、創業社長の一明氏から現社長の明彦氏へのバトンタッチが行われる。
当時、5億円ほどの受注があったが、利益はなかなか上がらない状態だった。
「先代は『いいものを作っていれば仕事は来る』という信念のもと仕事をしていました。おかげさまで仕事はとぎれることなく、精密・小物で他社ではできないような難しい仕事をたくさんいただき、当社の技術力を高めることにもなりました」と加藤社長。
しかし、いろいろな難しい工数のかかる仕事ばかりが来るようになっており、効率は下がり、利益はほとんどない状態が続いていた。
「そこで、私は、先代の信念を一歩進めたいと考えたわけです。進めやすくするためにはどうするか。お客さんから当社の技術力を『見やすい』状態にしようと考えたわけです。そこで、当社の技術の特徴や保有設備などを検討した結果、スプールバルブに絞り込むことにしたのです」。
絞り込むことによって、5億円の売上のうち、1億円弱の仕事を失うことになるが、競合との差別化を図ることにより、顧客から見た時の特徴や専門性をわかりやすくした。
「競合との差別化という『営業戦略』と、技術の高い専門性とその追求という『技術戦略』とを兼ねた決断でした。いいものだけをつくっていれば、という創業者の信念をどう事業的に花開かせるか、ということを考えた結果です」。


■飛躍の決断、三重県多度工場建設
この決断が功を奏し、現在はスプールバルブ市場の世界の8%を占めるまでの地位を築くまでになった。
このシェアを獲得するまでには、三重県多度工場の稼動が大きく寄与している。
本社工場の規模ではこれ以上の受注量拡大が困難となってきた時期、発注企業の海外進出が進み、当社も海外進出をするか、国内の工場増設にとどめるかの岐路に立たされる。社長自ら海外進出企業へ足を運ぶなど慎重に検討を重ねた結果、国内での生産拠点建設を決定した。
「海外や国内でも本社から遠い場所に生産拠点を作ることは、まだまだ当時の組織では強みである技術力や品質管理力が分散し、生産力が『膨張』するだけで、『拡大』にはならないと考えたのです。ならば、『いいものを作れば仕事は来る』という先代の信念に基づき、近隣の三重県最北部で技術力を極めた工場をつくり、『世界から仕事が集まる会社』にしようと考えました」。



■ピンチか、チャンスか?回復期を見据えた不況期への対応〜足元を見直せ!
多度工場の稼動により飛躍を果たした当社であったが、金融危機に端を発する不況とは無縁ではなかった。生産量は7割減となった。
この不況期をどう今後に活かせるように過ごすか。加藤社長は「自分たちの足元を見直し今後の方向性を模索する時間を与えられた」ととらえ、3つの手を打ち、回復時に備えることにした。
一つは、技術面で今後の動向を見極めようと、営業と技術とがペアになり北海道から九州まで日本全国の会社を訪問、今どんな開発をしているか話を聞いて回った。
「回ってみてびっくりしました。今までは既存のお客様しか見えていなかったので、そのお客様の仕事が海外へ行ってしまうとガッカリしたものでした。しかし、全国を回ってみると、営業不足を痛感することしきりでした。当社が特化してきたAT用スプールバルブの役割である『油圧回路の切り替え』を『ON/OFFの制御機能』という切り口に置き換えてみることで、自動車産業に限らず、工作機械から医療機器まで幅広く利用されていることがわかりました。萎縮した考えを持つ必要は全くなかったのです。まだまだ、日本各地で当社が対応できる仕事がたくさんあることがわかりましたし、実際、取引に結びつく動きも出てきています。時間の余裕ができて、足元を見つめなおすことができたからこそ、わかったことでした」。
二つ目は、時間に余裕がある今だからこそできる「省人化への取り組み」の徹底である。
「ムダとりなどの改善でロスをなくす、ということは忙しい時期でも行うものですが、時間のある時期だから取り組める、今後に活きる『知恵を集めての省人化』を集中的に行いました。例えば、人が行っている切削部品の収納作業を、設備投資により省人化しようとすると300万円が必要でした。これを、従業員が知恵を結集することで、50万円に抑えることができました。人手に余裕のある今は、収納作業を人手でやれるのですが、こうした工夫を放置したまま、再び多忙になった時には、自社で時間をかけた工夫をすることができず、300万円の出費になっていたはずです。この工程は5台分ありますので、その差は1250万円。こうした時期だからこそできる、時間や知恵を要する取り組みを積み重ねることが、将来に大きな差になってくるのだと考えています」。
三つ目は、経営理念の徹底である。
「私たちは、常に『良品を生産』することを追求し、社会にとって『役に立つ企業』として努力します」。
これが当社の経営理念である。
「今回の不況で忙しくてしょうがないと不満をもらしていた社員が、一転、仕事がなくなりショックを受けていました。こういう姿を見て、経営理念が徹底していないのではと再確認する必要性を感じました。社員に経営理念を尋ねるとフレーズはでてきます。しかし、日常の業務の中でそれを意識し展開しているかというと、多くの社員が『意識していない』と言います。理念はわかっていてもその重要性がわかっていなかったのです。何故不良率を下げないといけないのか、何故生産性をあげないといけないのか。時間ができたことで、経営理念のレベルから再度「不良0をめざすことで、企業体質を強化、黒字企業となることで納税を行い、社会貢献をしていく」ということを社員と確認しました。まだまだ不透明な先行きだけに、こうした当社のスタンスを固めていくことがより重要になると考えています。

■不況をバネにするしたたかな企業の姿
「技術的にもコスト的にも社員が足元を見直すためにも、今回の不況は一つの良いきっかけであったと思います。すでに多くの試作品のご要望をいただくなど、これらが本格稼動となったときには相当程度の受注になる見込みになってきました。また医療機器分野などの新たな分野での可能性も見えてきました。もっともっと技術的に難しい分野で技術を磨き、次世代自動車部品などに携わる際には、より高い技術力でお客様の役に立ち、『勝ち進む経営』でありつづけたいと考えています」と加藤社長。
不況でも「次を見据えた対応」でいっそう強くなる企業の姿がある。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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