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国家技能検定一級技能集団、技術力で明日を拓く


鬼頭 明孝 記事更新日.10.02.01
株式会社 鬼頭精器製作所 代表取締役社長
■問合せ先
〒4733-0904 豊田市中町中根50
TEL 0565-52-3757 Fax 0565-52-8567
http://www.kitouseiki.co.jp
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■ミクロン単位の試作部品等難加工が得意
株式会社鬼頭精器製作所は、研究開発用の試作部品加工を始めとして、ゲージ、スピンドル、シャフト、ミーリング・ユニット等「難加工」の自動車部品や工作機器部品を得意とする加工メーカーである。
技術力には定評がある。ある時、大手自動車部品メーカー向けに作っていた開発用部品の、オーダーがパタリと来なくなった。どこかにオーダーを取られてしまった、とガッカリしていたが、意外な企業から、全く同じオーダーが来た。事情を聞くと、他社が加工を受注したものの、あまりの難加工に音をあげ、迫る納期に耐えかねて「難加工」が得意な当社へ依頼をしてきたらしいのだ。
1ミクロンという単位での加工技術と品質保証体制を支えるのが、製造メンバー17名中6名が国家技能検定1級取得者という、当社自慢の「国家技能検定一級技能集団」である。
中小企業でこれほどの割合で数値制御フライス盤や円筒研削盤、平面研削盤、機械検査等幅広い分野の1級技能士を擁するのはあまり例がない。

■開発用部品をグループ外企業として初めて受注
昭和38年、現社長鬼頭明孝氏の父親が自動車部品メーカーから独立、創業。元の勤務先の関係から「よく消耗する」と紹介を受け、ゲージの製造販売を行っていた。当初は、複数の外注加工業者に協力をお願いしていたが、事業規模の拡大とともに自社加工を増やしていった。その後、豊田自動織機と外国企業の合弁により設立された繊維機械メーカーの部品加工を手がける中、発注元からは難しい仕事を依頼されることが多くなっていった。
「加工技術で勝負する土壌ができたのはこの頃です。当時の専務と2名の技術担当が中心となって、発注元に教えられながら、自分たちも試行錯誤をし、苦労しながら技術力を高めていきました。高めていくためにがんばったというよりは、必死で発注元に食らいついていった結果、相当な技術力がついていた、というのが現実のようですが」と鬼頭社長。
やがて時代とともに繊維機械の生産台数にも陰りが生じ始めたころ、その技術力を買われ自動車部品メーカーのコンプレッサー消耗品製造の紹介を受ける。メンテナンスに関わる仕事で、次々と難しい依頼に携わることになるが、クリアしていくことで大きな信頼を得ることになる。
こうして技術力はそのメーカーで知られるところとなり、研究開発部署より開発用部品試作の依頼の声がかかる。
「研究開発用の部品をグループ外の企業に発注するのは初めてですよ」。
担当者の言葉に震えた。難しい依頼にも1点1点知恵を絞り技術力を積み上げてきた結果得られた信用であった。技術力はグループ内でも知られることになり、別の自動車部品メーカーからも試作部品のオーダーを得るまでになる。現在では試作部品だけでも売上の30%を占める主力事業だ。


■納期遅れを解決し「普通の会社」にしたい
現社長の鬼頭明孝氏が社長に就任した5年前、大きな悩みがあった。
難加工が得意という評判から、受注が処理能力以上に集まり納期遅れが常態化していた。「他社に転注できない加工が多く、当社もそのことへの甘えもあり、また、難加工部品の納期遅れにはある程度大目に見ていただけた時代でもありました。残業が月に150時間にもなる従業員も出る始末で、毎日ただただ忙しいだけで利益も上がっていませんでした。当時、QCDが厳しくなってき初めており、D(納期)がデタラメでは会社の将来もないと考えるようになってもいました。納期遅れをなくし、体を壊さないよう働いてもらえるという、当たり前の職場、『普通の会社』にできないかということが大きな悩みでした」。
2003年〜04年の納期遵守率は35%。発注元から、矢の催促があった部品から、なんとかやりくりして納品するという有様だった。
「そこで、工程管理をし、加工の進捗具合がタイムリーにわかるようにしようと考えました。それぞれの工程の納期はいつなのか、どれが遅延部品なのか、ということが一覧でき、その上で、工程ごとの負荷を見てどの加工を優先させなければならないのか、という進捗管理ができるようIT化の推進をしました。もちろん、コンピューターを入れさえすれば実現できるものではなく、オーバーフローしていた仕事を断ることで減らすこともしました。当社のような受注あってこその下請け工場では、現にある仕事を断る、というのは非常に大きな決断ではありましたが、それでも『普通の会社』にしたい、という一心でメインに近い受注先の仕事を1/3に減らしたりもしました」。
取引先と話し合い、納期の守れないオーダーは断ることで、「納期という約束を守る」ことを優先させ、取引先からの信頼を得ることにした。しかし、難しい加工を担っているため、他社への移管は2年かかったとのこと。取引先とは深く結びつき、相手のかゆいところに手を届かせながら仕事を担っていた証である。
こうして工程全体や受注のあり方の見直しを行い、進捗管理の見える化を、ITを活用しながら仕組み化することで遵守率は90%に向上した。その取組は高く評価され「中部IT経営力大賞2009奨励賞」として表彰も受けた。同時に残業時間を減らすことにも成功、仕掛在庫削減、収益性向上などの効果をもたらし「普通の会社」にしたいという、鬼頭社長の目標は現実のものとなった。


■注目を集める「難加工」「高精度」。技術力で広がる受注
今後は従来の自動車部品や機械部品だけでなく、航空宇宙分野を始めとして幅広い業界からのオーダーを受けたいと考えているとのこと。実際、ホームページでもここ半年ほど前から急激にカウント数が上昇、検索ワードも社名の他では「難加工」や「高精度」などのキーワードが並ぶ。
注目を集めていることを感じ、鬼頭社長も「当社の技術力を知ってもらうためには、百聞は一見にしかず、とにかく工場を見ていただくのが早道だと思っています。早急に『営業工場化』『省エネ工場化』を推進して『この企業に発注したい』とお客様に認めていただけるようにしていきたいと考えています」と意気込みを語る。
創世記から「お客様が困っているものをやるのが生きがい」と難加工に取り組む精神は『国家技能検定一級技能集団』へと引き継がれ、新たなステージへと向かおうとしている。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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