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オンリーワンの脱色・脱塩技術で食品・外食産業から高評価
竹内 三之 記事更新日.10.04.01
株式会社 ヤマミ醸造 代表取締役
■問合せ先
株式会社 ヤマミ醸造
〒475-0823 半田市港町3丁目106番地
TEL 0569-23-0703 Fax 0569-23-6227
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■たまり産地の後発メーカー、独自の取り組みで成長
日本の味、醤油。日本農林規格(JAS)によると、醤油は含有旨み成分量などにより「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5つに分類される。「たまり」は、とろみと濃厚な旨味、独特な香りが特徴で「刺身たまり」に代表されるように、寿司、刺身などで使われている。
平成20年全国の出荷ベースで比較すると、こいくち醤油が83.8%、薄口醤油が12.8%と、この2つで95%以上を占め、たまりは全体の1.5%程度と非常に小さい。
しかし、静岡を含む東海地方に限ってみると、その割合は大きく変わる。こいくち醤油が75.4%、薄口醤油が6.0%と小さくなるのに対し、たまりは12.5%とその割合を増やす。愛知県を中心とした当地域はたまりの産地として知られる。
その産地の中で、独自の技術を開発し、たまりの豊富な旨み成分を活かすことで、米菓業界、食品業界や外食産業では広く知られるのが、竹内三之社長の株式会社ヤマミ醸造である。

株式会社ヤマミ醸造は昭和32年、現会長の土屋春雄氏が勤務していた醤油メーカーから独立し、創業した。醤油の業界では「創業○○年の老舗」という企業が非常に多いことから考えても、相当な後発メーカーだといえる。しかし、当時はまだ「醤油一本持っていけば散髪できた」時代であり、独立してビジネスチャンスを求めるには充分魅力的な業種であった。
後発であるが故に、先行企業が多い「こいくちしょうゆ」ではなく、まだまだニッチで高付加価値が期待できる「たまり」を専業とした。
JASの分類上では「たまり」は窒素分が多いことが要件の一つである。窒素分が多いということは、グルタミン酸やその他のアミノ酸類等の旨み成分が多いということであり、それは、醤油の中でも「こく・旨みが豊富」であることの裏付けでもある。
醤油は小麦と大豆を原料としているが、たまりは大豆を原料とし(小麦を少量加えることもあるが主原料は大豆である)、熟成期間を醤油よりも長い1年ほどかけるため、熟成による旨み成分が豊富になる。しかし、これは裏返せば「熟成期間が長く、醤油に比べ生産効率が悪い」ということでもあり、「旨味成分が多いにも関わらず、たまりの生産が少ない」ことの理由の一つとも言われている。
■脱色技術で米菓業界から高い信頼
こうしたニッチ市場で、しかも後発の当社がどのように成長してきたのか。
当初は一般消費者向けのたまりを製造販売していたが、新たな販路として昭和52年米菓(あられ、せんべい)業界に米菓用調味液の販売を開始する。
米菓メーカーとの打ち合わせを繰り返し、メーカーと共に味を作るモデルは成功するが、ある時「たまりの色が強すぎ、せんべいの焼き色が活きない。旨みはほしいが色はいらない。この色は何とかならないか」といわれてしまう。
せんべいにたまりを使うとたまり色が強すぎ、美味しそうに見える焼き色が見えなくなってしまうとのことだった。そこで、たまり色をなくす「脱色技術」を開発する。
「実は脱色処理時にわずかに旨み成分が減少してしまう欠点があるのですが、当社のたまりはもともと旨味成分が非常に多く作られています。例えば、『頑固おやじの一滴たまり』という製品は、醤油の中で最も旨み成分が多い「特級醤油」と比べて倍以上のグルタミン酸を含有しています。ですから、脱色処理で多少旨味成分が減少したとしても、通常の濃口しょうゆと同等あるいはそれ以上の成分が残るのです」と竹内社長。

こうして、脱色しても旨みを維持したたまりは完成する。「焼き色」を見せ、食欲をそそる米菓の新たな可能性を切り開いた結果、現在では、国内の米菓メーカー大手41社中、25社が当社のたまりを使用、業界内では高い評価を得るまでになった。
会社の応接室に、ずらりと並べられた、米菓メーカーとの打ち合わせレシピが記載された膨大な米菓サンプルは、米菓業界からの信頼の証である。

■業務用調味液の成長を後押しした脱塩技術
戦後伸び続けていた醤油の生産量は、1970年代に入り食生活の多様化とともにその伸びが止まってしまう。米菓用としての需要を開拓してきたものの、新たな需要開拓をする必要があった。
当社の特徴は、グルタミン酸などの旨み成分が豊富なたまりを作ることができること。ならば、たまりの製造技術をベースにして調味料を作ることができるのでは、と考えた。たまりメーカーならではの発想である。ここで活きるのが米菓用に開発した脱色技術である。
「脱色技術があったため多様な需要を開拓することができました。旨み成分を維持したまま脱色ができるので、多くのお客様から注目をいただくことになりました」。
こうして昭和59年業務用調味液の製造を開始する。
その後、風味・色・味を変えずに脱塩する技術も開発することで、味の調整範囲が広がったり、あっさり味のバリエーションを増やしたりするなど、時代にマッチする調味液を作ることで、多くの顧客の要求に応えることができるようになった。
現在、非常に多くの用途に使用されており、業務用食品のたれとして、焼肉やしゃぶしゃぶ・蒲焼・すき焼き・焼鳥のたれ、うどん・そば・ラーメンのつゆ、ソース用調味料、韓国風調味料等多様な調味液に使用されている。また、消費者の目に触れる形ではデリカ用調味料として、牛丼・天丼・カツ丼・豚角煮・チャーハンのたれや、とんかつ・ハンバーグ・トマト煮ソース、八宝菜・青椒肉絲・回鍋肉・棒々鶏・麻婆豆腐等の中華たれ等に使われるなど、和洋中を問わず豊富な旨み成分を持つ調味液として様々に利用されている。取引先も、食品メーカーだけでなく、外食産業向けには専用調味液として、コンビニにはおにぎり等の隠し味としても使われるなど、業界では一目おかれる存在ともなった。現在では米菓向け売上を上回り、売上の6割を占めるまでになった。

■脱塩技術で新たな可能性を
この脱塩技術には今後の展開にさらなる期待を寄せている。
「たまりでは通常16〜17%の塩分を含みますが、脱塩技術の開発により、旨みはそのままで5%までの低塩にすることが可能になりました。低塩にすることで味覚調整に使われる糖分も減らすことができ、低カロリーの調味料という分野が見えてきています。『旨みはそのままに、減塩・減糖が可能』な製品ができるため、糖尿病や高血圧など、食習慣の改善が要求される症状を持つ方に、お役に立てるのではないかと考えています」。
現在、消費者向けの製品売上は全体のわずか10%。残りの90%は業務用に使用されている。
「当社では100人程の従業員のうち、15人の女性スタッフを開発要員に充てています。中小の同業者でこれほどの割合を割いている企業はおそらくないのではないかと思います。たまりという、まさにメイド・イン・ジャパン製品で、海外を含めたあらゆる食品業界のご要望に応えて行きたいと考えています」と将来を語る竹内社長である。
取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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