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「包装創造企業」、環境対応時代の顧客起点提案で勝負
吉良 伸一 記事更新日.10.08.02
 株式会社 吉良紙工  代表取締役
■問合せ先
株式会社 吉良紙工
〒455-8577 名古屋市港区土古町4−1
TEL 052-381-0140戟@Fax 052-383-2324
http://www.kirashiko.co.jp
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■ロー引き人造竹皮の量産化に成功、包装資材業界で基盤を築く
食品用包装資材で食品メーカー、スーパーマーケット、外食産業など多くの取引先を持つ一方で、産業用包装資材で機械・自動車メーカーへも事業展開を図る株式会社吉良紙工。
顧客の要望を反映した独自製品の提案を続けるメーカー機能に加え、商社としての機能をも併せ持つ、包装・物流に関する総合的な提案力を有する「包装創造企業」である。

その原点は、現社長吉良伸一氏の父親である創業者が公設市場で営んでいたお菓子屋である。当時、饅頭などを包むのに一般的に使用されていたのが天然竹皮・経木(木材をごく薄く削り紙状にしたもの)。ある時、この経木の製造現場を見る機会があった創業者はその現場に驚いた。加工済みとはいえ樹液がまだ残る自然乾燥中の経木には虫が寄り付き不衛生なものであった。一生懸命に作ったお菓子をこんな不衛生なもので包んで渡していたのかと驚いた創業者は、自ら紙にパラフィン加工(ロー引き加工)を施した人造竹皮を開発する。その後、量産化をするため創業者の兄が経営する機械メーカーとともに機械化にも成功。安価で衛生的な包装紙として評判を取り、昭和40年には包装資材の会社として法人化するまでになる。
「ロー引き加工紙は市場からは驚きを持って迎え入れられたようで、あっという間に売上は5億円になり全国シェアも獲得していったようです」と吉良社長。

■現社長が取り組んだ「経営の見える化」で組織強化
昭和48年には三重県で本格的ラミネート工場、昭和52年にはガラス加工工場を稼働させ、産業用包装資材に加え周辺分野のガラス加工事業へも進出するなど順調に業容を拡大、このころには既に現在の事業領域の基礎が築かれていた。
創業者の急逝により現社長が会社を引き継いだのは平成11年、38歳の時。
「当時は、営業・業務のノウハウから売上金額や得意先別の売上・仕入単価、在庫金額まで、各個人の頭の中や手帳で管理され、それを基に日々の業務が行われている状態で、良い意味での『個人事業主』の集まりでした。創業者の父は全て自分で創り上げてきた人ですから、こうした状態でも経営状況は把握出来ていたのですが、父ほど経験のない私はそうはいかない。社長を引き継いでも、扱い品目がいくつあるのかすらわからない。そこで見える化、IT化を時間をかけて行ない、自社の展開の結果や不動在庫の状況など会社の動きをクリアにすることによって、ルールづくり・仕組みづくりができるようになりました」。
会社の仕組みづくりや組織強化に取り組んだ結果、現在では、食品包装資材や包装関連機器を扱い、さらにはパラフィン加工や製袋加工も手懸ける「パッケージング・システム事業部」、ラミネート加工を行う「複合資材事業部」、建築用やショーケースなどの産業用のガラス曲げ加工を得意とする「ガラス事業部」、定温輸送用の包装資材や関連機器を扱う「ロジスティックスサポート事業部」、生分解性プラスチック製品など独自商品の開発を行う「開発商品事業部」の5つの事業部で、90億円の売上を上げる企業となった。

■自社製品に溺れず顧客起点の事業展開で
その「事業展開力」の原点は「お客様が必要とする物流・包装を実現するには何が出来るのか」という顧客起点の考え方にあると吉良社長は2つの事例をあげる。 一つは25年以上もロングセラーを続けている「バリヤスター」の展開である。

「バリヤスター」は、アルミ箔と特殊プラスチックフィルムをベースにした多層体で、防湿性・衝撃性・気密性に優れた防湿包装資材(輸出梱包材)である。
素材は、各メーカーから単一基材を購入し、それぞれをラミネート機で貼り合わせる技術により、防湿効果を高めた「バリヤスター」を開発した。「バリヤスター」はヒートシールすることで、包装するものの大きさに制約がなくなり、大きなものであっても高気密・防湿性が実現できる包装材となった。これにより新たに用途開発が進んだのは工作機械などの輸出分野である。船便による機械輸送では潮風の影響を受けることからサビが大きな問題になっていた。サビを防ぐため、グリースを大量に塗りつけたり、防錆剤を塗ったフィルムを使ったりしていたが、いずれも輸出メーカーにとってはコスト高や手間を要し悩みの種だった。これが同社のバリヤスターを使うと、機械の大きさに合わせて資材を購入し、乾燥剤を詰めて包装後空気を抜くだけで潮風に耐える包装ができるため、輸出に関わる手間とコストの大幅な削減に成功、業界に幅広く浸透した。

二つめはロジスティックスサポート事業部の行う「定温物流」である。 定温物流とは、食料品など一定の温度管理が必要な商品に関する物流であり、主な配送品は毎日の配送が必要になる米飯・チルド・生鮮食品などの食料品である。
こうした定温物流向け資材として、特殊プラスチックフィルムと発泡ポリエチレンとの組み合わせにより高い遮光・断熱性能を持つ「ネオシッパー」を開発。さらに、よりシビアな温度管理が必要な輸送容器として「ネオシールド」などのラインナップも用意した。ネオシールドは、保温性の信頼の高さから全国の血液センターで厳しい温度管理が必要な血液輸送用として使用されている。

こうした優れた自社開発資材があるからそれだけを提案すればいい、という訳ではない。「ネオシッパー」「ネオシールド」だけで「定温物流」はできない。顧客からすれば、あくまでも適切に物流を行うための資材の一つにすぎない、と考える。したがって、「ロジステッィクスサポート」のカタログには、自社製品だけでなく、保冷のための蓄冷剤・ドライアイスはもとより、手入れのための消臭剤・除菌剤、ファスナー用潤滑スプレーから、台車・パレット・荷崩れ防止バンドに至るまで「定温物流」をするために必要なあらゆる資材が提案されている。

「例えば食品関連のお客様であれば、そのお客様の『食品を安全にお客様まで運びたい』というご希望に対し、どのように役に立つことができるかということが提案の焦点になります。お客様の要望にお応えするために必要に応じて当社で商品開発も行ないますが、決してそれありきではありません。他社製品でご要望にお応えできるのであればその資材を提供すればいいのです。お客様にしてみれば、要望を実現できるものが当社製であるか他社製であるかは全く問題ではないからです」と顧客起点のビジネス展開を強調する。

■マンネリ防止に「外的刺激」を
こうした強固なビジネス展開を支えるのが人材である。
「当社では営業マンとお客様とのつながりを重視して、担当替えなどはあまり積極的には行なっていません。しかし、マンネリ化防止や幅広い視野を持たせるという人材育成の観点から、レイアウトの変更や福利厚生を兼ねたイベントの実施などの、異動以外の『外的刺激』を与えるようにしています」と吉良社長。
『新入社員採用プロジェクト』もその一つである。会社説明会の企画・実施・フォローに始まり、社長への最終面接者の決定という採用選考過程までの全てを営業から選ばれた数名と総務の1名が担当する。
「私の面接する最終段階ではすでに優秀な方が選考されている状態です。実質的には社員自らが選考しているので、その育成も責任をもって面倒をみるようになり社員の定着率も非常に高くなっているという効果も出ています」。

■環境問題を解決できる包装資材の提案へ
「消費者・ユーザーの環境に対する意識の高まりは当社の想定以上のものがあります。 当社に限らず包装資材業界は、最後はゴミになってしまう商品を扱っている、というジレンマが宿命的にあります。であるからこそ、リサイクルやリターナブル、環境にやさしい素材の使用ということには敏感になります」とのこと。
例えば、スーパーで回収された食品トレイをメーカーへ返すという地道な活動や、繰り返し使える荷崩れ防止製品の開発、内部の緩衝材がワンタッチで外せて分別・再利用ができるクッション付き封筒の開発などもその一例である。
こうした環境意識の高まりに対応し「エコ・ゴコロ」という惣菜用持ち帰り袋を開発し提案したところ大きな反応があったとのこと。

「消費者の環境意識の高まりにより、プラスチック容器による包装から環境負荷のより少ない袋包装へと移ってくるのではないかという仮説に基づき開発したところ、コンビニ、ファストフード、ハンバーガーチェーンなど幅広いお客様でご利用いただくことになりました」。
ビジネスの展開力が強い企業は、時代の流れに敏感ですばやく対応する。 「環境を考えると包装材が減ってしまうという悩みはありますが、『エコ・ゴコロ』の提案のように、環境問題を解決していくことが当社が生き残っていくために必要なことだとひしひし感じています。こうした意識を高めて消費者やユーザーよりも常に一歩先にいくことを考えなければなりません。」と語る吉良社長である。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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