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超親水性無機塗料と画期的クレーンコントローラーで熱い注目
小川 宏二 記事更新日.10.09.01
株式会社 五合  代表取締役社長
■問合せ先
株式会社 五合
〒486-0807 春日井市大手町4丁目8番地10
TEL 0568-35-2001 Fax 0568-35-2018
http://www.gogoh.jp
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■塗装技術者を育成・派遣する人材派遣会社からスタート、
従業員7名、創業10年にも満たないベンチャー企業が今、各方面から熱い視線を浴びている。
高い親水性を持つ無機塗料「ゼロクリア」と、工場内のクレーンを動かしたい方向へボタン一つで動かすことのできるセーフティ・クレーン・コントロール・システム「ZEN」とを展開する、株式会社五合である。

当社の創業は平成11年。小川宏二社長は、当時、NC制御の制御盤の責任者として、若手のリーダー的存在であったが、「サラリーマン」としての壁にぶつかり、独立を決意する。当初は、勤務先の協力会社である塗装会社などから「人材育成をお願いしたい」などの依頼を受けコンサルタント的な仕事をしていたが、持ち前の情熱からどんどん現場に入り込む形となり、本人の意思とは反し、育成した人材の派遣を行うような「派遣会社化」していった。次第に塗装業界に評判が知れるところとなり、ついにはラインごとあるいは工場ごとの請負を行うなど、多いときには100名ほどの部隊を抱えるまでになっていた。

■油性マジックも水で楽々落ちる超親水性無機塗料コーティング事業
塗装業界では五合の名前が浸透したある時、「特殊な機能を持つ塗料を発明したのだが、手を組んでこの塗料で事業展開をしていかないか」という誘いを受ける。塗料の発明者は「機能には自信があるが塗装が難しく、塗装業者と組まなければ事業ができない。しかし、塗装業者に提携を打診するものの、塗装工程である前処理、乾燥温度など従来の塗装方法、塗装設備と異なり、どの会社の設備がマッチするかすらもわからない。多くの塗装事業所にスタッフを派遣している当社であれば、塗装ノウハウもあり、マッチする設備もわかるはずだ」、と声をかけてきたのである。
その塗料は非常に強い親水性を持つ無機塗料であった。親水性が非常に高いため、例えば油性マジックで塗装面に落書きをしても、水をかけることできれいに落ちてしまう。これは、油性マジックと塗装面との間に「より仲の良い」水が入り込むことで、油性マジックが剥がれて流れ落ちるためである。こうした親水性による防汚効果の他、10円玉でこすっても傷がつかないほどの耐摩耗性、500度までの耐熱性、抗菌・抗カビ効果など、抜群の機能性を持つ。

小川社長はこの塗料に事業性を感じ、販売契約を締結。対応できる塗装工場とも提携を行ない商品名も「ゼロクリア」とし販売を開始した。しかし、この塗料には大きな難点があった。前処理など塗装技術について難しい点が多く、塗れる素材・デザインに制限があったり、コスト面の課題があったりしたため、多くのオファーを受けたものの、取引に至るまでには時間がかかった。
初めての製品化は新潟県燕市で実現した。燕市は国内生産シェア90%を誇る金属製洋食器産地である。しかし、安価な中国製品やスリランカ製品に押されており、新たな付加価値による差別化が求められていた。こうした状況に当社の塗料がマッチした。
現在では、スプーン、フォーク、包丁など11社のハウスウエアメーカーが採用、有名カタログ通販でも8千枚を売り切るヒット商品となった。しかもその後、ライバルのカタログ通販社からも声がかかり1万枚を販売、「ゼロクリアを塗らないと海外との差別化が図れない」とまで言うメーカーもあるとのこと。
ハウスウエアメーカーの1件とは、ゼロクリアをコーティングしたステンレス製厨房機器の製造・販売を計画、平成21年9月には新連携の認定も受け、事業展開を進めている。
新潟を中心として65店舗を展開する食品スーパーからのオーダーも受け、すでに20店舗以上で厨房機器や壁面で導入が済んでいる。さらに、超大手ファストフード店へも試験評価も始まっており、今後の展開に小川社長は期待をかけている。
ハウスウエアや厨房などの食品関連にとどまらず、ホテルやロビーなどの壁面に使用されるステンレスへのコーティング剤としても注目を集める。ステンレスは軽量でさびにも強いが、手などで触れたときの油が専用のクリーナー剤を使用しないとなかなかとれず、掃除にも苦労している。そこで、ゼロクリアをコーティングすることで清掃が水ぶきだけですむだけでなく、高い耐摩耗性により傷がつきにくくもなるというメリットが注目された。
コーティング対象は金属だけではない。多治見の陶磁器メーカーでは防汚目的で利用、さらなる用途拡大も検討されている。

「ようやく、ゼロクリアの良さが浸透し始めた結果だと感じています。厨房や公共の空間だけでなく、各家庭での展開もできないかと、現在、積極的にハウスメーカーへプレゼンを行っているところです。前処理の難しさも、新たな方法を開発し従来コストの1/3を実現しました。これで吹き付けによる塗装と変わらないコストでお客様に提供することができるため、今後は価格面の課題があった分野に対しても、積極的に提案を行っていきたいと考えています」と小川社長。

■現場の安全を確保せよ〜画期的クレーンコントローラー事業で世界を狙う
派遣事業が軌道に乗り始めた、今から5年ほど前のある日。小川社長は、派遣先工場で勤務状況を見ていた。派遣社員は、工場に設置された天井クレーンの操作ミスを繰り返していた。1tにもならんとする部品が吊るされたクレーンの操作ミスは大事故につながりかねない、という現実を目の当たりにした。
天井クレーンは、工場の「東西南北」を確認しながら、コントローラーの「東」「西」「南」「北」の4つのボタンで動かす。方角表示に気を取られすぎ、進行方向にある障害物に衝突したり、逆に進行方向の障害物に気を取られすぎ、コントローラーのボタン操作ミスや方角の認識誤りを起こしたりするなど、クレーンコントロールは注意や視線が分散しがちとなり、その操作は相当神経を使う作業となっている。
この状況を見た小川社長。同行した社員の山口氏とともに「XYZ軸の移動だと考えれば、自分がやっていたNC制御の技術が使えるのでは」と考えた。すぐに先行する特許がないか調べた。すると、天井クレーンを自由自在に動かす特許はなく「これはチャンスだ」とばかりに開発に着手した。
「何故こうした製品がそれまでにでていなかったのか分かりませんが、クレーン作業に従事する方や業界の方にとって「東」「西」「南」「北」にクレーンは移動するものとして、日々、安全教育、安全作業を第一に取り組んでいたからだと思いました。
私たちは、異業種でしたので、たまたま『間違いやすいからなんとかしたいな』」 と単純に考え始めたのがきっかけでした。
その結果、この分野では当社が先行企業となったため、知財戦略は非常に重要なものとなっています。特許出願の明細書も100ページクラスの内容になっていますし、欧米・アジアなど数カ国でも知財確保に努めています」と小川社長。
開発開始1年後には第1次の試作品が完成。その後、愛知県や国の補助金・支援制度を活用しながら改良やコントローラーのデザイン性を高めるなどし、ようやく来年1月販売に至った。
従来のように東西南北の方角を考えながらボタンを押さなくとも、進行方向へコントローラーを向け、たった一つの走行ボタンを押すだけでクレーンを進めることができるようになるため、ボタンの誤操作や方角認識ミスを防ぐことができる。さらに、オペレーターがコントローラーと共に進行方向を見ながら操作ができるので、障害物に衝突する事故も起きにくくなる。従来できなかった斜め走行も可能となり効率化の向上にもつながる。新設の天井クレーンはもとより、既設のクレーンの取り替えも可能なため、日本全国の天井クレーンを使うユーザーが顧客となる。


自信を持って送り出した小川社長。「日本だけでなく、世界で使ってもらいたいと考えています。世界にPRできる名前をということで、作動音も従来の天井クレーンに比べ非常に静かなことからイメージし『ZEN(禅)』と名付けました」。
プロモーションのため出展した展示会では反響は上々。クレーンメーカーを始め、クレーンのモーター等を作るホイストメーカー、多くの天井クレーンを抱える自動車メーカー、商社など多くの企業が導入に名乗りをあげる。 ベンチャー企業がまさにテイクオフする瞬間である。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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