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IH技術と自社開発製品で未来を開拓せよ
鈴木 義人 記事更新日.11.07.01
鈴木工業 株式会社 代表取締役社長
■問合せ先
鈴木工業 株式会社
〒451-0064 名古屋市西区名西二丁目28番8号
TEL 052-522-3176 Fax 052-522-3177
会社案内 http://www.suzuki-kogyo.co.jp
IH専科 http://www.suzuki-kogyo.net/ih/
印刷用ページ
■電機メーカーの部品加工技術を活かしOEMへ
鈴木工業株式会社は、現社長鈴木義人氏の祖父が電化製品のモーターの巻線加工を行なう大手電機メーカーの協力工場として昭和29年創業開始し、その9年後に株式会社となる。
電気機器に使用されるコイルやモーターの受注増加、さらに、チップマウンターによる基板組立事業、樹脂メーカーやプレスメーカーから部材を調達し組み付け、ユニット組立部品として納品するアッセンブリ事業などへ事業分野を拡大したことから、岐阜県養老町や三重県いなべ市に工場を持つまでになった。


しかし、価格競争力を求めた発注元メーカーが生産拠点を海外にシフトするのと軌を一にして、受注量が減少を始め、部品加工のみでの経営に行き詰まりを感じ始めることになる。
平成10年に、ひとつの転機が訪れる。それは大手電機メーカーのOEM事業として、換気扇の製造を開始したことだ。


「換気扇事業は、それまで部品加工が主体であった当社が、製品を作る会社へと転換するきっかけになりました。電気機器のユニット部品を製造するアッセンブリ事業のノウハウを活かし、部品調達〜受入検査〜製品組立〜出荷検査までの一貫生産の流れを構築する事は比較的スムーズに出来ましたが、大きく勝手が違うこともありました。それは、部品ではなく製品であるということでした。部品の場合は、主にお客様の工場に納品しますので、そこで受入検査、工程検査等のチェックを受ける事ができますが、製品の場合には、出荷した後は即市場となり、製造ミスは即市場クレームに繋がります。従来の部品加工でも決して品質管理を疎かにしてきた訳ではありませんが、出荷した後は即市場という製品組立を通じて、品質管理体制がより強化され、社員のものづくりに対する意識が変化したのは確かです。」と鈴木社長。

今回の震災の影響で、仮設住宅向け換気扇の注文を受けたとのこと。
「緊急対応ということで、生産日程がゴールデンウイークにかかってしまいましたが、社員にお願いし、『被災地のためになるなら』と休日返上で生産をいたしました。当社がつくる製品が、僅かながらでも日本の復興に貢献できたと思うと本当にうれしく思います。」

■自社の強みが活かせるIH事業に感じた将来性

平成12年、自社のコイル・モーターで培ったノウハウを活用することのできるIH事業と出会う。
IHとはIHクッキングヒーターなどに代表される「誘導加熱」技術である。
「誘導加熱」とは、交流電源に接続されたコイルの中に電気の通りやすい金属棒を挿入すると、コイルと金属棒とが接触していなくとも金属棒が加熱される現象をいう。



IHクッキングヒーターではクッキング台の下側にコイルを置き、その上に鉄などの電気の通りやすい金属製の鍋などを置くことで、同様の誘導加熱を発生させ、鍋を暖める。
ガスコンロに比べ、鍋そのものだけを暖めるため熱損失が少なく、効率のよい加熱を可能にする加熱技術である。
当初はIHクッキングヒーター用のIHコイルを加工していただけだったが、IH技術を調理器の分野だけではなく、幅広い分野に展開できるのではないかと、鈴木社長は将来性を感じ、IH技術の研究・開発を進めてきた。
「IH技術は、家庭用のIHクッキングヒーターに代表されるIH式調理器の普及で広く知られるようになりましたが、化石燃料を燃焼させる方式に比べCO2の排出量が少なく、また被加熱物そのものを加熱するため熱損失が小さいという特徴があり、 環境にやさしく、経済的な加熱技術として、幅広い分野での適用が期待される技術です。
IH技術の最大の特徴は、被加熱物そのものだけを加熱する事が出来るため、急速加熱や局所加熱を実現することができます。この技術を上手く利用出来れば、必要な時に、必要な部分だけを加熱することが可能になり、省エネという観点から見ても、これからの時流にのる可能性がある技術と言えます。
被加熱物を効率良く加熱するためには、被加熱物の形状に合わせた、最適なIHコイルの構造設計とそれを実現する加工技術が要求されますが、当社は、永年コイル製造で携わった技術と、IH技術に関する研究・開発で培ったノウハウを持っていますので、お客様の要求を実現するための最適な提案が出来るところが強みであり、新たなビジネスチャンスになるのではないかと考えています。」
コイル加工に関する提案は、用途により様々である。
コイルの材料には、銅線(素線)を何本も撚りあわせたリッツ線(集合線)を使用するが、用途などにより、その素線の径や撚り方(撚り本数・撚り方法)の最適化、リッツ線としての巻線・融着・熱かしめなどの技術、リッツ線の被加熱物の形に合わせたカスタマイズ、等の多様な技術と工夫・ノウハウを要することになる。


こうした材料の選択から形状の決定・加工というコイルのカスタマイズ技術を持っている当社だからこそ、産業用IHヒータとしてのビジネス展開ができないか、と鈴木社長は考えている。
「当社固有の製造技術・ノウハウにより作られるIHコイルと、インバータ制御回路とを組み合わせるとIHヒータになりますが、これを産業用や医療用等の様々な分野に導入していただくためのご提案をしていきたいと考えています。また、当社の持つコイル技術は、『高周波加熱』という切り口だけでなく、非接触型の給電技術としての可能性もあります。すでに電動歯ブラシや電気シェーバーなどの身近な充電技術として実用化されているものですが、これを例えば電気自動車や自動搬送車での充電方法など産業用途へ提案したいと考えています。より難しいコイル技術が必要になりますので、『当社ならではの技術』として当社の強みが活かせるのではないかと考えています」。


すでに、産業用向けを想定した「次世代対応型(防水性・高効率)IHコイルの試作開発」というテーマで、平成21年に「ものづくり中小企業製品開発等支援補助金」に採択されるなど着々と準備を進めており、その技術力は高く評価されている。

■「技術開発センター」から生まれた製品
IH事業との出会いをきっかけとし、自社開発力の強化へとカジをきった当社は、平成14年技術開発センターを設置し、製品の開発設計から量産化までが行える体制を構築する。
「実は自社開発商品づくりにシフトするチャンスは以前にもありました。昭和51年、現会長が社長の時ですが、医療機器販売会社の企画で『視力検査器』を開発製造していました。当時はまだまだ部品加工の仕事が大量にあり、製品開発へと本格的に参入するには至りませんでしたが、そうしたことにチャレンジする企業風土が当時からあったのです」。
この技術開発センターでは、すでに蘇生法人体教育モデル、理科実験機器などをOEM/ODM製品として世に送り出している。


蘇生法人体教育モデルは、心肺蘇生法(人工呼吸と心臓マッサージ)を訓練する装置である。この分野は外国製品が強い市場であったが、唯一の日本製を販売している医療機器販売会社から、外国製品に対抗するためのリニューアルモデルの開発依頼を受け、約1年半をかけて開発した製品である。量産時には、換気扇事業で培った品質管理体制を活かすとともに、製造ラインを従来の部品加工のような大量生産から小ロット生産へ移行するため、当社として初のセル生産方式を導入し、生産管理面での強化を図った。
「技術開発センターでの初の量産モデルとなった本製品は、ハードルの高い開発製品ではありましたが、人命救助という崇高な目的意識を持った製品であったため、果敢にチャレンジさせて頂いた経緯があります。この事業は、平成19年に岐阜県産業振興センター様より事業可能性評価の「評価A」をいただき、その後の製品開発事業に弾みをつけることができました。」と鈴木社長は語る。

また、技術開発センターではその他にも、昨今の日本の学生の学力低下、理系離れを危惧し、日本の将来を支える若者の一助となればと着手した理科機器分野で、理科実験機器のOEM/ODM製品の開発に成功している。

■系列を超えてオーダーを受注、自社技術力をさらに磨く
「こうしたチャレンジをご評価いただいてか、業界内の『大手電機メーカの部品加工の協力会社』というイメージも大きく変わりつつあり、様々な分野の企業様からの引き合いを頂くようになりました。今後はコスト競争に追われるのではなく、自社の技術力と提案力を磨き、お客様に頼られる企業を目指し、IH関連機器やお客様ブランドの設計・生産を行うOEM/ODM製品の受注の拡大を図っていきたいと考えています。

「『あきらめなければ、失敗はない』との信念のもと、新しい分野にも積極果敢に挑戦していきたい」と語る鈴木社長である。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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