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管理力とモチベーションを結集、『世界一きれいな熱処理工場』
原 敏城 記事更新日.12.01.04
菱輝技術センター株式会社 代表取締役
■問合せ先
菱輝技術センター株式会社
〒446-0007 安城市東栄町横根畑59番97
TEL 0566-98-2501戟@Fax 0566-98-2504
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■日本最大級の真空熱処理能力
真空熱処理は、金属を真空状態で処理(加熱・冷却)する表面加工技術である。金属の持つ特性が変化し、靭性の向上や摩耗性の向上、寿命時間の長期化を図る事が可能となるが、最大のメリットは真空状態での処理のため表面が酸化せず、スケ−ルや錆等の発生を抑える事ができ、光輝性に優れ、処理前後の外観がほぼ変わらないことである。大気や雰囲気による熱処理では表面酸化が起き、仕上工程として「ショットブラスト」や「バレル研磨」等の工程必要となるが、真空熱処理ではこれが不要となり、納期短縮やコスト削減となる。



昭和48年の事業開始以来、真空熱処理一筋で日本最大級の真空熱処理設備を擁するのが菱輝技術センター株式会社である。
当社は、昭和48年有限会社原鉄工所の板金部門の分離独立とともに真空熱処理を開始、平成元年の大型真空熱処理炉導入、平成17年の移転・新工場建設を経て、平成18年菱輝技術センター株式会社と社名変更し現在に至っている。

■『世界一きれいな熱処理工場』とは
創業者の後継者として25歳に入社した現社長の原敏城氏。
「私が入社した当時は金型の熱処理がほとんどで、事業としては非常に儲かっていました。しかし会社は汚く油にまみれており、会議室の背もたれまでが指型の油汚れだらけでした。『儲かってはいるものの、こういうことを何とかしなければ』と理想像を考え続け、それを実現したのが平成17年に建設した『世界一きれいな熱処理工場』を旗印にした新工場です。『きれいな工場』には2つの意味があり、一つは文字通りクリーンな工場という意味で、もう一つは生産管理がクリーンな工場という意味です。」


1つ目の「クリーンな工場」とは。
現在、現場には大型サイズや大量ロットに対応できる「国内最大級の超大型真空熱処理炉」が2基の他、業界唯一の全工程完全真空で処理を行い熱間ダイス鋼などの処理を行う「真空マルチクエンチ処理炉」、強力な加圧冷却により高速度工具鋼や特殊処理品にも対応可能な「高速ガス冷却式真空炉」をはじめとする13基の熱処理炉が整然と並ぶ。真空洗浄工程から熱処理完了工程まで自動搬送装置により24時間稼働で短納期とコストダウンを実現、国内有数の処理能力(35t/日)を有する。現場管理の基本である5Sはもちろん、こうした自動化・省力化することでクリーンな生産現場を維持し続けている。
また、設備投資負担が大きい真空炉の寿命を長持ちさせるための専門のメンテナンス要員を配置し、炉の維持管理にも力を入れ、クリーンさを維持するのに寄与している。


2つ目の「生産管理がクリーンな工場」とは。
「熱処理というのは外から見てその加工の適否は分かりません。適切に処理されているかどうかは現物を2つに割って断面を見るしかありません。いわば我々は『何をやっているかわからない』というブラックボックスの中で仕事をしていることになります。そういう仕事のあり方に疑問を持っていたため、加工物を2つに割って見せることはできないが、せめて加工までの工程は極力『視える化』しようと考えたのです。そこで、この加工はいつ入ってきて、誰が、どの炉で、どのような条件で処理をしたのか、というトレーサビリティーを徹底し、確実に適切な加工がされているということを保証することにしました」と原社長。

■きれいな工場は高い管理能力の証明
『世界一きれいな熱処理工場』は受注面でも非常に大きな効果があるとのこと。
「工場には現場が一望できる「展望式工場見学ルーム」があるのですが、ここで当社の設備や技術、管理方法などをご説明させていただくと、当社に強いご関心を持っていただけ、ほとんどと言っていいぐらいの確率で発注をいただくことができます。単に『きれいな工場』だからというだけでなく、クリーンな状態を維持できる工場管理力や、トレーサビリティに代表される加工工程の視える化や生産管理能力などがベースにあるからこそ『世界一綺麗な熱処理工場』が実現できているのだということをご理解いただけた結果だと思っています。」



■多様な炉と生産能力を活かした提案力
こうした多様な設備を活用した提案の独自性も見逃せない。
熱処理は、炉内の製品投入数に関わらず炉を稼働させるコストが一定なため、たくさんの製品を投入・稼働するほど低コストを実現できる。しかし、当社は投入数を多くすることよりも処理後の製品の「精度と品質」を重要視し、かつ、コストダウンにも寄与する提案を行っている。製品の材質や形状、数量に応じて13基の真空炉の中から最適な処理炉を選択した上で、その炉内への投入量を制限することで、昇温温度・予熱温度・本熱温度・保持時間・冷却圧力などのパラメーターを最適化し、各製品にムラのない熱処理を行うことができる。すると、歪みや硬度ムラを大きく減らすことができるため、その後の歪み矯正工程が減り、結果的にコストダウンとなるのである。
これは多様な炉と生産能力を持つ当社ならではの提案方法である。



■金型専門から多様な部品処理へ、そのコントロールの秘密
「私が入社した当時、熱処理品は金型がほとんどだったのですが、生産拠点が海外になり始めたことから、『このままでは金型の仕事がなくなる』と感じていました。生産拠点の移動は工程の上流から始まるケースが多く、プレス加工などが最初に拠点を移すことが予想できたからです。プレス加工が移転すれば、金型の生産も移転してしまい、その熱処理もなくなってしまう。そこで多様な生産設備と能力を活用することで、金型だけでなく、工作機械・自動車・電子機器・航空機などの部品など多彩な業種での熱処理加工へと徐々に軸足を移していきました。
現在では金型の割合は半分以下になっており、様々な部品の熱処理を受注しています。お取引先も上場企業から町工場まで1000社を数え、最近ではHPをご覧いただき遠方からもお問い合わせをいただく機会も増えています。加工品の大きさも金型から細かなパーツまで様々で、1日の伝票枚数は300〜500枚程度にもなります」と原社長。 ではこうした多品種少量の受注をどうコントロールするのか。その答えが『お客様相談室』である。
「当社のお客様相談室はクレーム処理担当ではなく、営業の最前線でお客様とのファーストコンタクトをワンストップで受ける部署です。ワンストップで受けるということは、様々なニーズや品質、コストなどの問い合わせに適切なお答えができる必要があります。そこで、この部署へは一級熱処理技能士である当社のエースのような人材を投入しています。さらに、トレーサビリティ記録を活用することで、過去の受注内容などからもご相談させていただけるので、例えば大企業などで先方のご担当者が異動になっていて、過去の経緯などが不明な場合でも充分な対応が可能です。『どこよりも速く(スピーディ)、どこよりも適格に(提案)、どこよりも丁寧に(フレンドリー・顧客目線)』ということを常に意識しています」とその秘密を打ち明ける原社長。

■各自のキャリアプラン設定でモチベーションアップ
こうした技術力・対応力を可能にしているのが独自の社員教育システムである。各個人ごとにキャリアプランが設定され、一人あたり年20〜30もの教育メニューが組まれる。ここで専門知識だけでなく技術・ノウハウが継承される。  


「キャリアアップしていくことで昇給・昇格につながるので、モチベーション維持には大きな役割を果たしています。それに加え、当社独自だと思うのですが、年4〜5回『強制呑み会』を開催しています。これは社員強制参加の飲み会で、社員が上司に対し、会社への要望からグチに至るまでありとあらゆる話をし、徹底的にコミュニケーションを図る目的で開催しています。幹部には、ここで出た話のレポートを書いてもらい、必要な要望にはすぐに対応するようにしています。『呑みニュケーション』は古い形かもしれませんが、ベクトルとモチベーションの維持に非常に役立っているように感じています」。
平成24年2月に完成する第二工場ではステンレスやレアアース・レアメタルに特化した熱処理ラインが導入される。新たな展開に向け、全社一丸となって取り組む姿に期待を寄せる原社長である。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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