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「どこでも緑化マット」で他社にできない緑を狙え
岩泉 正則 記事更新日.12.07.02
株式会社ホウスイ 代表取締役
■問い合せ先
株式会社ホウスイ
〒444-2144 岡崎市岩津町字檀ノ上97-1
Tel 0564-45-2738  Fax 0564-45-5803
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日本の政府部門の土木工事額は、平成10年頃をピークに減少を続け、平成23年度はピーク時の60%までに落ち込んでいる(国土交通省総合政策局 情報政策課 建設統計室 統計解析係資料より)。公共工事を中心に事業を営む土木業者も、建設業許可業者数ベースではピーク時より約20%減少(建設業許可業者数調査 国土交通省)するなど、苦境が続く。こうした環境下で、新たな事業開拓に取り組むのが株式会社加藤組の新事業会社、株式会社ホウスイである。

■路面材として開発、その後、高保水性に目をつけ屋上緑化用材へ展開
加藤組が新規事業に取り組み始めたのは平成18年。公共工事の減少する中、新たな事業を求め、材料や工法を探していたが、有望な商材は大手企業との競合になるため、自社開発に踏み切ることになる。
当初はコンクリートの劣化を遅らせる、コンクリート改質剤の開発に取り組んでいた。その過程で使用した吸水性ポリマーに商品化の可能性を見出し、舗装路面に浸透させることで、雨水などを保水、気温が40度ほどに上昇すると放水・蒸発を始める「ヒートアイランド対策向け」の路面用材として開発に成功する。


関心を寄せる企業からは、膨大な裏づけデータ取りを求められたため「このままではビジネスに進展するまでに時間がかかる」と判断、新たな用途を開拓する必要に迫られた。
開発の過程で保水力や放水温度などを検証するために舗装面だけでなく、様々な路面条件を試していた。芝生面もその1つだったのだが、真夏でも芝生は枯れず青々としていた。開発者であり、株式会社ホウスイの社長である岩泉正則氏は、これを思い出した。
「芝生を、給水したポリマー剤の上にのせていただけなのですが、たまに水遣りをするだけで全く枯れる様子がありませんでした。普通、夏場などは毎日水遣りをしなければ枯れてしまいますので、このポリマーの保水力が高いことはその時から実感していました。そこで、屋上緑化材に使えないかと考えたのです。そうなると商材を販売するというビジネス形態は、土木工事の受注・施工という従来の加藤組とは全く異なるため、別会社を立ち上げることになりました」と岩泉社長。

■「どこでも緑化マット」誕生、高評価を受ける
平成19年、株式会社ホウスイを設立、屋上緑化が簡易に行える「どこでも緑化マット」の販売を開始する。


「どこでも緑化マット」は糸状の樹脂を網状帯に成形した構造体に、独自開発・配合による高吸収性ポリマーを保持させたコンパクトな基盤材である。
「単純な構造ですが、高機能性は自信があります。この1枚縦横30cm、厚さ3cmのマットには3.6リットル(2升)以上の保水力があり、持ち上げたり垂直にしたりしても水は流れ出ません。この保水力は土壌の7〜10倍です。乾燥時の重さは7kg/uですが、最大保水時には32kg/uにもなるほど水持ちの良いことや、構造体が網状帯樹脂のため、通気性がよく、植物を植えても根腐れや根詰まりしにくいことなどから、緑化後も真夏でも4〜5日に一度、それ以外の季節では雨水だけで水遣りはいりません。また、薄くて軽いため重量物が乗せられないような、古い構造物の屋根であっても大丈夫ですし、高い保水力で水が流れだささないため斜面・垂直面への施工も問題ありません。網状帯の樹脂構造体のため、人が踏んでも大丈夫なだけの耐踏圧性能があります。また環境配慮型の製品ですので、構造体の樹脂など原材料の90%以上がリサイクル材という、製品そのものが環境にやさしいものとなるよう工夫しました」と岩泉社長は高機能性には自信をのぞかせる。 それを裏付けるように、発売直後の平成19年に東海地区信用金庫協会が開催するビジネスフェアにおいて「産官学連携ビジネス大賞 優秀賞」を受賞、その後も平成21年に「岡崎ビジネス大賞 大賞(岡崎商工会議所主催)」、平成22年に「愛知環境賞 優秀賞(愛知県主催)」などを受賞、同年には国土交通省NETIS(新技術情報提供システム)にも登録されるなど、機能面では高い評価を受けている。

■競合のない「どこでも緑化マット」ならではのマーケットを探る
平成20年には岡崎げんき館の屋上緑化にも採用された。


「とにかく、施工が簡単なため、現地に緑化マットを持ち込んでその場で切断して寸法合わせをし、その上に芝をのせるだけの施工でした。こうした公共施設での実績ができると、多くの引き合いをいただけるようになりました。しかし、価格競争に巻き込まれるケースが増え、商談まで至らないケースも出てきました。単純な平面施工では、多くの競合があるため、当社のマットでしかできないことは何か、を再度検討し、ターゲットを絞ることにしました。他社製品の厚みは薄くても10cmで重いのに対し『軽くて、薄くて、水持ちがよく、メンテナンスがかからない』という当社マットの特徴を活かせるのは、屋上緑化なら耐荷重の低いビル、斜面や垂直面のある施工、あるいは壁面緑化だ、ということになりました」。
こうした営業努力が実り、平成23年に名古屋駅前のスパイラルタワー西側の壁面緑化を受注。以後、この施工事例を見た業者から、マンションエントランスで使ってみたいというオファーなどが舞い込むなど拡がりをみせている。


今年(平成24年)の3月には、JR東日本が省エネルギー型の駅「エコステ」計画の第一号として四ッ谷駅改良工事の屋上緑化部分に「どこでも緑化マット」が採用された。三井不動産系の企業が10社のコンペを勝ち抜いて採用されたもので、当社マットの「軽量、リサイクル率90%」ということも決めての一つとなった。


■拡がりゆく用途。羽田の緑化塔、そしてインテリア植栽用へ
屋上・壁面緑化としてだけでなく、様々な用途でも採用が始まっている。
「これも今年の3月のことですが、羽田空港の出発ゲート内に作られた高さ3m以上の緑化塔に『どこでも緑化マット』が使われることになりました。垂直で枯れないということが決め手となり採用されました。構内での施工展示のため水遣りのための配管・排水ができないため、水持ちの良いことが必須条件だったようです。また、高さ3m以上にもなるため、『危険』ということで大手企業は手を引いてしまったとも聞いています。その点、当社のマットは軽量なため、危険性も低く、未だ苦情もきていません。当社マットに様々な植物の挿し木をし、迫力のある展示物になっています」。


こうした大掛かりな構造物向けだけでなく、一般向けの商材としても注目を集めている。
「ギフトショーに出展したところ、二件の雑貨店から室内緑化用に扱ってみたいとのオファーがあり、樹脂フレームに21cm角のどこでも緑化マットをはめ込んだ『草窓』を発売しました。すでに2000セットを販売し、月々もコンスタントな受注につながっています。今後はマットをもう少し大きくし、コケや石などをベースにしたミニチュア日本庭園などの展開も考えています」と今後の構想も見せる。



「まだまだ売上も小さいのですが、確実に利益を出せるまでになりました。一時はマットが在庫の山になっていましたが、今では在庫もなくなり不足する状況もおきてきました。加藤組として始めた新事業ということから考えると、公共事業で仕事の繁閑の波が加藤組の経営課題の一つだったのですが、閑散期にはホウスイ側の事業を手伝ってもらいマットの作りだめをするなど、繁閑の波の受け皿となるなど、グループとしての意義も達成できるようになってきました。ようやくいろいろな切り口での施工事例や採用事例が出来、それをご覧になった方から駐車場の舗装面の緑化など新しいオファーをいただく機会も増えてきました。今後もマットのポテンシャルを充分に活用できる『どこでも緑化マット』ならではの、他社や大手企業がうまくいかない、やらない分野で勝負していきたいと考えています」と語る岩泉社長である。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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