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活性炭の国内供給率100%をめざせ
外山 富孝 記事更新日.2014.10
株式会社エム・イー・ティー  http://www.met-inc.co.jp/
■問い合せ先
株式会社エム・イー・ティー
〒443-0038  愛知県蒲郡市拾石町前田16
Tel 0533-67-1638
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生活基盤に重要な役割の活性炭

活性炭は、浄水器、空気清浄器、冷蔵庫の脱臭剤として知られる。他にも、表面には非常に多くの細孔があり表面積が広く、電解液につけると接触面に多くの電気を蓄えることができるので、電子部品のバックアップメモリー部品としても使われる。このように表舞台では活躍しないが、我々の生活には欠かせない物質である。

炭を原料とし、高温で水蒸気などを用いた「賦活」を行ない、多くのナノ単位の微細孔を作り出すことで、1gの活性炭の表面積はテニスコート4面分にもなる。その結果、炭に比べて5〜10倍も湿度や臭気成分の吸着性能があるとされる。

活性炭の原料となる炭は、石炭もしくはヤシ農園で炭化されたヤシ殻でできており、フィリッピン、インドネシア、中国、等の原料産出国で多く製造される。原料の炭だけでなく、活性炭も原料産出国で主に製造されている。活性炭は生活に関わる非常に重要な物質にもかかわらず、現在はほとんど輸入に頼っている。

こうした現状に対し、日本国内の竹、缶コーヒーの搾りかす等から活性炭を製造する装置を完成させ、活性炭の国内供給率100%を目指すのが、株式会社エム・イー・ティーの外山社長である。



バイオマスからの一貫生産プラントを開発

外山社長が活性炭と出会ったのは繊維メーカーに勤務していた時期。

「間伐材から活性炭をつくった」という学会誌の論文を目にし、「綿にはセルロースが豊富なので、繊維状の活性炭ができるのではないか」と考え、試作に成功。新たなプロジェクトとしてスタートするも経営状況の変化により、あえなく中止の憂き目にあう。諦めきれない外山社長は2002年独立することになる。

翌年には小型活性炭製造装置、2009年にコーヒー滓活性炭の製造技術と製造装置、2011年には活性炭製造プラントを開発する。

「活性炭の大部分は輸入されており、国内生産も原料となる石炭や炭化したヤシ殻は『炭素』の状態で輸入されます。つまり国内の活性炭メーカーは原料が『炭素』になった状態からの活性炭の製造方法がメインであり、木材などから活性炭にする方法は採りません。そこで5年前の2009年からは原料を『炭素』にする『炭化』と高温の水蒸気で微細な空孔をつくる『賦活』とを連続的に行うプラントの開発をはじめ、2011年に完成させました。未利用バイオマスが発生する場所で活性炭を製造する事が出来るようになりました。」




このプラントでは、装置を30分〜1時間ほどかけて900℃に予熱後、木材などのバイオマスを投入する。バイオマスの熱分解ガスの燃焼エネルギーを利用する為、その後の燃料投入は不要となる。9時間ほどで活性炭は完成する。従来の1/3以下となる15m四方の設備で年300トンの製造が可能。国内の活性炭生産量が年58,000tあまり(「平成25年経済産業省生産動態統計年報」より)であることを考えると、かなりの量が生産可能となる。

ただ、マシンを導入すれば明日から良質の活性炭ができるかというとそうではない。

「導入を検討される企業様には2ヶ月ほど当社で活性炭づくりを学んでいただきます。実はバイオマスから炭にする炭素化技術が難しく、良質の炭でなければ良質の活性炭は作れません。バイオマスの主な構成物質である炭水化物は炭素にH2Oが結合したもので、このH2Oが蒸発し抜けることで炭になるのですが、炭素化技術を知らないとパサパサの炭ができてしまいます。うまくつくるためには目視や感知が必要となります。当社では炭化・賦活技術を導入後も含めてしっかりとサポートしています」とのこと。
竹活性炭の知られざる大きなポテンシャル

当社では企業向けのプラント事業だけでなく、一般向け製品の開発販売も行っている。

「規模の大きな他社との差別化を図るため、様々なバイオマスについて活性炭原料としての検討を行いました。竹は青森以南の日本のどこにでも生えています。ピーク時には1日に1メートルも成長するなど成長力もあります。またイネ科の植物でカリウムも豊富であることもわかりました。そこで竹活性炭を飲料水に入れることで不純物を吸着、カリウムをはじめとするミネラルを補給し、おいしい水ができる『AquaMETAC』や、おいしいごはんができる『RiceMETAC』を販売したところ、ご好評をいただいています」


2012年には竹の高い調湿能力を活用した商品化にも成功した。

竹活性済は湿度が60%を超えると急速に吸湿を始め、また57%以下になるまでほとんど水分を放出しない性質を持つ。そのため夏場では高湿度となるのを防止し、冬場は乾燥を防ぐことで、室内温度を50%程度に維持するとのこと。自重の30%程度まで吸湿するので、既存のヤシ殻活性炭よりも効果は大きい。

「サブナノレベルの空孔に湿気だけでなく、臭気のもととなる化学物質も吸着するため、脱臭効果もあります。こうした特性を活かし、靴を脱臭・調湿する『脱臭METAC』、部屋の湿度を調整する『調湿METAC』も販売も始めました。ビジネスホテルでもご採用いただいています。現在、工場に設置のプラント2号機は、愛知県環境部の『愛知県資源循環型社会形成事業』の補助金とあいち産業振興機構の無利子の『設備資金貸付制度』により、当社のような小さな会社でも多額の資金調達をすることができ、事業化にもはずみがついています」と外山社長。

この吸湿・脱臭効果が大きいことから、2013年には石膏と竹活性炭を撹拌・混合させてボード状に成形、「調湿石膏ボード」として商品化することに成功。従来の調湿作用がある建材の「珪藻土」の2.5倍程度の調湿能力があるとのこと。

「多くの方にご感心を寄せていただき、2社しかない石膏ボードメーカーの双方からサンプル請求を受けた他、ハウスメーカーからも打診を受けています。当社のプラントで竹活性炭を製造すると燃料費が安く、既存の調湿ボードと同水準の価格になると考えています」


プラスチック活性炭で特殊用途向け展開を

今後はプラスチック活性炭関連事業を拡げていきたいとのこと。

「プラスチックを原料とする活性炭の使用例としては、腎臓疾患用の薬があります。空気から窒素を分離する窒素発生装置にも利用されます。蓄電池能力の向上は世界的な課題です。プラスチック原料の活性炭は材料設計から考えることが可能で、様々な用途に特化した活性炭をつくることができ、その可能性は一気に広がります。また、薬剤向けの球状活性炭の球径は0.2〜0.5ミリと決まっており、原料となる球状樹脂には活性炭原料としての品質は全く問題がなくとも、大きさのばらつきによる不良が多く発生します。こうした径不良となった球状樹脂から特殊な活性炭を開発し様々な用途に展開しようと考えています。いくつかの企業とすでに取り組みも始まっており、大きな期待をかけています」と外山社長。

財務省の貿易統計によると、2013年の活性炭輸入量は約97000t、輸入額は約183億円。10年前の2003年の輸入量は約82000t、輸入額は92億円。輸入量は1.18倍であるのに対し輸入額は2倍となっている。これは活性炭の需要が世界的に高まり、国際的な価格が上昇していることを示す。

外山社長が目指す活性炭国内供給率100%の実現は想像よりも早い時期に訪れるかもしれない。


取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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