「果実については、JA愛知に知り合いがいましたので相談したところ、興味を持って下さり『猿投の桃』『蒲郡のみかん』『三好の青梅』『豊川・田原のトマト』『一宮いちご』など多くの愛知県産品を紹介されました。味の面でも、のどごしの面でも他社と差別化するため、それぞれの果実の食感を残せるような果汁にすることにこだわりました」。
例えば、一宮いちごではペースト状にした状態のものを使用し、リキュールの中にはツブツブした果実があふれ、いちごを果実として食べた時の風味や食感を損なわないような仕上がりとなっている。
しかし、果実を丸ごと使用するようなリキュール製造には大きな問題があった。
殺菌状態にしなければボトルの中で腐敗が始まってしまう。
では目一杯加熱すれば良いかというと、殺菌はできるものの、加熱をしすぎ一定以上に温度が上昇すると、糖とアミノ酸とが化学反応をおこし、甘みだけでなく苦味も生じるため、果実本来の味を出せなくなってしまう。
そこで、詳細な「温度と加熱処理時間のマトリックス」を作成し、どのような条件で殺菌できるのか、どのような条件で化学反応がおこってしまうのか、ということを調べあげた。
「果実内の菌だけをいかに殺し、安全で果実のままの味と食感を再現するか、そして、その閾値に収めるためにどのパラメータを調整すればよいかを検証。
さらにその再現性の保証確保までが必要でした。こうした点については愛知県の食品工業技術センターの指導を得ることで、安全性を確認しながら進めることができました。また平成24年度の『あいち中小企業応援ファンド助成金』に採択されたことも、開発や販路開拓面で大きな後押しになりました」
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