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リーマン・ショックをバネに、自社製軽トラック用幌で勝負

代表取締役 安田 岳史

記事更新日.2016.6

株式会社安田製作所

■問い合せ先
株式会社安田製作所
軽トラ幌専門店 ラクホロ
〒470-0224 愛知県みよし市三好町井ノ花86
Tel  0561-32-1388 FAX  0561-34-0885

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リーマン・ショックをバネに、自社製軽トラック用幌で勝負.。トラックの荷台部分を覆う幌。荷台に骨と呼ばれる金属製の枠組を取り付け、その上からポリエステルなどのシートを覆い組み立てる。積荷を風雨や砂ぼこりから守り、落下防止の役割とともに安全確実なトラック輸送を助ける。荷室の後面が開閉するタイプ、側面がカーテン状に開閉するタイプなど多くのバリエーションがあるが、ウイング型(荷台の布製幌が側面方向に鳥が羽を広げるように開くタイプ)の発明以来、その骨組みを40年作り続けてきたのが株式会社安田製作所である。



日本初の側面開放型ウイング幌の製造に寄与

現社長の安田岳史氏の祖父、茂氏が創業したのは1964年。兄弟が木工業を行っていたことから、当時木製であった家庭用ゴルフネットの外枠の製造を始めた。その後、強度面の要請から金属パイプ製となり、それとともに金属パイプの曲げ・溶接などを行う事業へと変わっていく。このゴルフネットセットは相当量の受注があり、金属パイプの加工技術も磨かれていった。

この加工技術に目をつけたのが大型トラックのウイング型幌機構を開発した会社であった。日本初の側面開放タイプで特許も取得していた。スプリングを利用しワンタッチで幌の骨組が動作する機構のため、骨組みとなる金属パイプには曲げ・溶接の技術を持つ企業を探していた。

こうして1976年から「ワンタッチ幌」の骨格製造を始め、バブル期には月産400台を生産するまでになっていた。


リーマン・ショックで受注大幅減、元請依存を痛感

安田社長が入社したのは2004年。
「大学の頃から『好きなことやりなさい』と親には言われており、後を継ぐつもりはありませんでした。夏休みのアルバイトでパイプの切断はしたことがありましたが、親が働いているのを見て大変そうだな、程度の認識でした。就職後はシステムエンジニアとして働き、大手自動車メーカーのシステムなどにも携わりました。ただ、業務が一巡した3年半を経過した頃に『そろそろ潮時かな』という気持ちや、兄弟も姉と妹だけでしたので何となく『後を継ぐのかな』という気持ちと併せ、父が自転車で転倒し大怪我をしてしまったこともあり入社を決意しました」と安田社長。

工場もまだまだ忙しく、ワンタッチ幌の受注も月150〜180台ほどあったが、その後リーマン・ショックにより一気に減少、月20台にまで落ち込んだ。

「元請会社から黙っていても注文書FAXが送られてきて、そのオーダーに従って製造する、ということだけを創業以来続けており、営業は全くしたことがありません。そのオーダーがなくなって一体なにをしたらいいのか途方に暮れました。そこで自社製品をつくることを考えたのですが、パイプの曲げ・溶接技術で何ができるのか、まさか元請企業の手前、競合する幌を作るわけにもいきませんので」。

自社商品開発に賭ける

しかし、リーマン・ショックの影響が長引く中、元請企業からは自立をするように促されるようになったこともあり、2013年にウイング型の幌の開発を始める。

「軽トラック用のウイング幌にターゲットを絞りました。軽トラック用であれば元請と競合しませんし、軽トラックのカタログを見ると純正パーツとしてウイング幌も掲載されていましたので、一定の市場はあるのではないかと考えました。また、キット型の商品にすれば手離れも良くなる上、全国へ発送・販売が可能になります。大型のウイング幌の骨組みは数多く手掛けていましたので、そのノウハウで商品化する自信はありました。開発にあたってのポイントは、一定の強度を持ったキットにすること、ウイングの開閉時間を10秒以内にすること、の2点でした」。

キット化は幌を固定するのに、トラックに既にあいているボルト穴を利用できるよう工夫し、簡単に組み立てられるような設計にした。また、開閉を手軽にできるようにするため、ウイング側面のスソ部分にもパイプを通し、ゴム掛けを荷台の前後のみにしたり、ガスダンパーを利用したワンタッチロック機構にしたりするなど工夫をこらした。
半年ほどで試作品が完成、使い勝手などをモニター調査し、改良を重ね、2014年に完成、18万円で販売を開始する。







開発過程のマーケティング不足、ニーズの異なる2ラインナップを生む

ウイング幌のモニター調査をしていた2013年夏。モニターとなってくれるよう、近所の知り合いの農家にお願いしたところ「価格が高いし、うちは兼業農家でトラックはこの1台だけ。作物も乗せれば大きな農業機械やトラック長を超える長尺なものを乗せることもある。だから、用途を固定されるような幌があるとかえって困る」と言われてしまう。当社の近隣はほとんど兼業農家で需要はなかった。

こうした農家では、落下防止や雨降り時など必要がある都度、畳んであったシートを拡げトラックのツメの部分にゴムを引っ掛け固定していく、ということをしていた。シートを常時拡げっぱなしにすればそんな手間をかけなくても良いのだが、そうすると今度は、荷物の積み下ろしごとにゴムを外してシートをめくって、という手間がかかってしまう。では、これをシートはかけっぱなし、でも荷物の積み下ろし時には簡単にシートがめくることができる、また、大型の荷物を運ぶ場合などは簡単に外せるという幌の骨組みができればこうしたターゲットに需要があるのでは、と考えた。

「こうしてできたのが『ラクホロ』です。今までにない形で意匠・実用新案を取得しました。荷台の横から積み降ろしするのに特化した形状で取り付け、取り外しも1分で可能です。形状もシンプルでしたので、開発期間も短く、先に着手したウイング型よりも早く商品化に成功しました」。

ウイング型を『ラクホロウイング』と名付け18万円で、『ラクホロ』は45,000円でそれぞれの使用用途に対応できるよう2ラインナップを揃え、ホームページにて販売を開始する。




自社直販にこだわりホームページが威力発揮

「扱いたいという商社からの打診もありましたが、初めての自社商品なのでお客様の反応を見ながら次の商品開発をしたいという気持ちもあり直販体制をとりました。『ラクホロ』は地元のJAが気に入ってくださったこともあり、半年で50台ほど販売しました。また、『ラクホロウイング』は今までに60台ほど販売しています。ウイング型はキット販売ですので、取り外しも可能とは言うものの実際は一度設置すればそのまま使用されるケースがほとんどです。そうなるとご購入いただけるお客様は、軽トラックを複数台持っていてその中の1台をウイング型にし、雨を避ける用途で使用するという専業農家や大規模農場のお客様ということになります。変わったところでは東京の電気屋さんで導入していただいたケースもあります。ラクホロに比べ価格が高いので売れるかどうか心配でしたが、ホームページに開閉の動画を掲載したところ反響は上々で、動画を見た千葉の方が初めてのお客様になっていただけ、千葉まで組み付けに行きました。その後も『初めて動画を見て感動した。それでつけてみたら動画の通りで、また感動した』という反響をいただくなどホームページの威力を感じています」。


営業マンがいない当社であるが、ホームページにより北は北海道から南は鹿児島、屋久島、沖縄まで全国に販売をするまでになった。

現在は売上ベースでは全体の10%であるが、利益では大きく貢献している。



多様な輸送ニーズに日々進化

「昨年はJAより『日除けに使える幌がないか、という農家が多いので商品化できないか』というニーズをいただき、幌側面部を開閉可能にして日除けとして使用する『ラクホロシェード』という商品を開発しました。複数の車種に取り付けできるようにするなどの工夫をし76,000円で8月より販売開始したところJA経由などで25台販売し、今季も30台ほどの販売を見込んでいます。特に猿投地区の桃農家の方にご利用いただいているようです」。

当社の『ラクホロ』シリーズには、その便利さから多くの人の目に触れ、さらにカスタマイズしたいという要望がたくさん寄せられる。しかし、車種ごとに軽トラックの荷台構造が異なり、少し古い車種の場合それがわからず、対応ができないというジレンマもあるとのこと。


「今後は、こうした要望にどうしたら応えられるかを工夫していきたいと思っています。また、新商品としてトラックが牽引するトレーラーの幌も開発したところで、幅広いお客様の利用ニーズに貢献していければと考えています」と事業の手応えを感じている安田社長である。





取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       
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