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試作開発品の単品加工一筋50年、「他社がやらない加工」を

代表取締役 平松 太

記事更新日.2017.12

平松鐵工株式会社

■問い合せ先
平松鐵工株式会社
〒447-0854  碧南市須磨町1番33

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様々な会社で生み出される新製品。中には新たな時代の幕開けを象徴するような開発品もある。
例えば、ハイブリッド車。革命的な発想に基づく製品の開発試作には様々な試行錯誤がなされる。当然、従来になかった部品も開発過程では必要になる。まだハイブリッド車が試作段階であった二十数年前、エンジンの動力部品開発に関わるなど、サブミクロンレベルの開発試作部品加工を通して時代の最先端を見てきたのが、平松鐵工株式会社である。



高付加価値をにらみ、創業当初から開発試作部品に経営資源をフォーカス

平松鐵工(株)社長である平松太氏が創業したのは昭和42年。
「私は9人兄弟の7番目の子供でした。家は網元で兄は皆漁師になっていきましたが、嫁いだ一番上の姉が『太は賢いから高校へ行かせてやってほしい』と両親を説得してくれたおかげで進学することに。受験が決まってからは猛勉強し、当時難関とされていた地元高校の機械科へ入学しました。卒業後、父の紹介の工場勤務を経て自分の興味のあった歯車のメーカーへ勤務、22歳の誕生日に創業しました」と当時を振り返る平松社長。

創業当時は、工作機械メーカーの下請けを親戚筋から受注し、仕事を確保していた。 間もなく「相手に値段を決められる仕事ばかりしていては、せっかく創業したのに働きがいもないし、利益も確保できない」と考え、「他社にはできない仕事をやらなければ」と、独自技術を磨くことを決意。目指したのは、「精密加工」「高品質」。まだまだ高度成長期であった当時、拡大する経済の中で、量産品を拡大生産していけば利益ボリュームが確保できる時期であっても、自分の目指す先をしっかりと見据えていた。

「量産の受注はしない。開発試作用部品を一貫して受注してきました。開発試作品は、その多くが単品受注で、小規模な当社に合っていたということもありますが、価格面で、当社の見積もりの多くがそのまま通ることが非常に魅力でした。その代わり、今まで見たことがない部品も多く、その加工技術も非常に高度なものを要求されました」。

他社よりも高い精度、高い技術を実現するための先行投資にも積極的で、高額だが高性能な加工設備も他社に先駆け導入してきた。

「ワイヤカット放電機も業界では相当早い導入で、メーカー曰く、『日本で7台目。ましてや中小企業の導入は例がない』とのことでした。さっそく、加工機でカットした素材を自動車メーカーへ持ち込んだところ、『これはどうやってカットしたのか』と非常に驚かれました。」というエピソードも。


「難しい加工」「難しい材料」で勝負

現在も量産加工は一切なし。大小合わせて月に100ほどの案件に取り組む。
依頼を受ける業界も様々。主力は自動車部品ではあるが全体の2/3程度。航空機関連、医療や電子機器用途のレンズ製造向け部品、防衛産業関連など、精度と品質を要求される多様な分野からのオーダーに応えている。


こうした分野では加工精度もさることながら、加工品には特殊な素材が使われることが多く、そのほとんどが硬度の高い「難削材」と呼ばれる材料である。

例えば、コンタクトレンズの成形に使われる『型』部分の開発試作に使われた炭化ケイ素。滑石を1、ダイヤモンドを15とする修正モース硬度では、13の硬度に位置する難加工材料である。加えて、その型の成形物は目の中に入れ使用するレンズ。そのため型の成型面は「極めて小さな面粗さ」が求められた。



「発注元の方は、この材料をこの精度にできる加工先が業界内では見つからなかったようです。そこで、自動車の開発試作品の精密加工等を行っていた当社の加工技術に期待をされ、オファーしていただけたようです」と平松社長。この他にもサファイヤ、超硬合金などのダイヤに近い硬度の材料や、ヘビーメタルと呼ばれる熱膨張係数が非常に低く、特殊用途にしか使われない材料などの難削材と呼ばれる材料の加工も日常的に行っている。また、加工技術の高さを「見える化」する目的で、「こんなこともできますよ」と、板ガラスの造形物例も作成した。

ガラスを切削すると、その表面は普通、回転工具がつけた傷が残りすりガラス状となってしまう。しかし、この造形例では、造形箇所も完全にガラスの透明色と同等となっている。平松社長によると、1ミクロンずつ削ることで初めてできるもので、つまりは、その寸法を削る精度技術があることを見せているとのこと。



恒温工場と人材で精密加工技術を実現

こうした加工技術のベースとなるのが、「恒温工場」と「人材」である。 工業的長さ測定の標準温度をISOの前身であるISAが20度と定めており、僅かな熱膨張で寸法が異なってしまう精密加工においては、この温度で計測することが求められている。
創業からわずか7年後の昭和49年には、精密加工を実現するために工場の冷暖房工事を行っており、創業後の早い時期から精度を戦略技術として捉えていたことがうかがえる。恒温室を完備したのがその10年後の昭和59年、現在は工場全体を恒温室化している。

「大昔のことですが、納品先から精度が出ていないとクレームになりました。訪問して計測すると、確かに狂っている。これは…、と部屋を見回すと窓が僅かに開いており、20度での再計測をお願いしたところ、要求精度をクリアしていたことがわかりました。このように当社へのオーダーは、こうしたわずかな温度変化による膨張でも影響がでる精度が要求されるケースが多いのです」。こうした加工環境、加工設備があってもそれを使いこなせなければ宝の持ち腐れ。 どうやってこうした加工技術を身につけ、伝えているのか。

「当社では、特別な研修をしているわけではありません。また、社外での研修を受講させているわけでもありません。専ら、新入社員に対しては、先輩が教えながらスキルアップする方法をとっており、加工物を作る場合にも、簡単な部分から担当するなど、社員のスキルや得意分野によって工程分けをしています。また、ある程度のスキルが高くなってくると、社員同士で『ここはどうしたらいいか』など教え合っています。

個人のスキルアップも自主性を尊重しており、ある日、社員から「放電加工機を使用して某人気のキャラクター状に鋼板をカットしたプロダクトを技術訓練課題としてつくってみたい」との申し出があり、そのときも積極的に後押しをしました。しかし、いざやってみると、キャラクターは自由な曲線ばかりで、一つの曲線をカットするにも、プログラム上は幾つもの円弧の重なりとして描かなければなりません。これの積み重ねでキャラクターの形状が出来上がっているため、円弧も数百になったと思われるのですが、相当なプログラム行数を積み重ね作り上げました。このように、従業員が自主的に楽しみながら技術を向上させていってくれるので、非常に頼もしく思っています」。

多様な分野での受注をしていることが、当社の技術力向上の大きな強みとなっている。今後も「他社がやれない」加工、「どこもやってくれるところがないと悩んでいる」加工に果敢に挑戦し、受注分野の裾野を拡げていきたいと語る平松社長である。

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