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エコビジネスプランの効果と成果 エコビジネスプランへ参加した企業は、プログラム参加のメリットを次のように述べています。 1.コスト削減(原材料費削減、省エネルギー、節水、排水の減少、廃棄物の発生抑制) 2.環境負荷を低減している、社会にとって良いことをしているという誇り(従業員のモチベーション向上) 3.従業員の作業環境の向上 4.環境取組みをしている企業だというPR効果、ビジネスチャンスの増大 地域全体の効果 エコビジネスプランを実施し始めてから10年間で、680企業が参加し、地域全体としては次のような効果をあげています。 ● 208万m3 水道水の節水 (オリンピックプール: 670杯分) ● 6千6百t 有害廃棄物の発生抑制 ● 11.5万t 廃棄物発生抑制 ● 5.1万t CO2排出削減 ● 175 GWh エネルギー使用量削減 (ウィーン市の58,400家庭の年間エネルギー消費量に相当) ● 8,600万交通(物流)km (地球を2,141周分) ● 4,170万ユーロのコスト削減 (54億2,100万円、1ユーロ =130円として) |
まとめ これらの事例は、行政のサポートがあるからこそできる取組みと感じられるかもしれません。しかしこれらの事例から日本のサービス産業でも参考になる点がたくさんあります。 1.先ずはできることから始める。小さな取組みでも積み重なれば成果に繋がる 。 各企業の事業は様々ですが、どんな小さな取り組みでもできる事から始める事が重要です。企業の実情にあわせて、出来る事、出来ない事ありますが、企業の実情や優先順位に合わせて活動を行う事により、前述の成果に繋げることができます。ウィーン市では680社もの企業参加によりコスト削減や廃棄物発生抑制、省エネルギーなどコストメリット、そしてCO2排出抑制と数字でも見られる効果が出ています(上記「エコビジネスプランの効果と成果」欄を参照下さい)。 2.コミュニケーション・情報発信 企業の製品・サービスに環境配慮が求められる時代になっています。お客様や取引先などに自社の取組みを発信する事は、「製品・サービスの良さ」を伝える良い機会です。外部に情報発信する事により、お客様や取引先とのコミュニケーション改善や自社のブランド価値向上にも繋がります。 また、環境取組みは社員のモチベーション向上に繋がります。 ウィーンで企業のヒアリングを行った際に、「わたしが環境に良い仕事をしているということを、胸を張って自分の子どもにも伝えたい。環境取組みはわたしの誇りです。」と経営者や従業員の方から聞いた言葉が印象的でした。 3.外部との連携 今回ご紹介した事例は、ウィーン市の環境取組み支援のプログラム、エコプロフィットという枠組みで外部の専門コンサルタントのサポートや指導を受けて、自社の実情にあった環境取り組みが促進されています。 無料または比較的安価で利用することのできる公的な支援制度の活用をおススメします。 例えば、以下の制度・プログラムが挙げられます。 企業の環境配慮型モノづくりの開発支援や環境性能の見える化の支援をするネットワーク(エコプロネット) 省エネルギー診断(無料)(財団法人省エネルギーセンター) 省エネルギー指導員、省エネルギーアドバイザー派遣(名古屋市) ホテルやレストランなどサービス産業では環境への取組みは何をすればいいのかわからないとよく聞きますが、本稿で取り上げたようにやれることはたくさんありますし、その成果も小さくありません。会社の経営体質の強化、コミュニケーションの活性化にも繋がる活動を目指し、まずは出来るところから始めてみては如何でしょうか。 |