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「名ばかり管理職」問題を考える
小藤 省吾 記事更新日.08.08.01
小藤経営労務事務所
■PROFILE
1957年愛知県生れ
社会保険労務士、中小企業診断士として企業の経営戦略、組織活性化、労務管理のコンサルティングを行うとともに企業、経営者団体における研修セミナー講師として活躍中。
現在、労使が力をあわせて作る「人を育てる人事制度」の普及に力を注いでいる。

連絡先
小藤経営労務事務所
〒470−2531
知多郡武豊町富貴茶ノ木15−1
TEL/FAX0569−73−7140
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今年の1月、東京地裁で出された判決が大きな波紋を広げました。
大手ハンバーガーチェーンの現役店長が会社に対し残業代の支払いを求めた裁判で東京地裁は「店長には十分な権限や待遇はなく、管理職にはあたらない」として会社に残業代を含め約750万円の支払いを命じました。「店長は管理職であり残業代の支払いは不要」と考えていた会社にとって大きなショックを受ける結果となりました。
この裁判の争点は「店長は労働基準法41条2号の管理監督者に値するか」でした。そしてこの判決が出た以降、「名ばかり管理職」という言葉をキーワードに「管理職」について数多く取り上げられています。
今回はこの「名ばかり管理職」をテーマに、Q&A形式で考えてみましょう。
Q : 
今回の判決が大きな関心を呼んだ理由はどこにありますか?
A : 
従業員のやる気を高める手段として管理職(役職)を用いている人事管理面とその管理職の立場を会社が都合よく解釈してきた結果、厳しい労働条件で働いている管理職に不安、不満と疑問が生じてきたことにあるいえましょう。
Q : 
都合よく解釈してきたとはどういう意味ですか?
A : 
労働基準法第41条第2号では「事業の種類に関わらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者は労働時間、休憩及び休日に関する規定を適用しない」と定めています。この法律を会社の管理職に当てはめ残業代の支払いを行いませんでした。つまり法律で定めた管理監督者の定義を会社の都合のいいように解釈をしてきた場合もあるようです。
Q : 
管理職と管理監督者とは違うのですか?
A : 
具体的で明確な判断基準があるわけではありません。ただ管理監督者の取り扱いに対し労使双方から多くの相談が寄せられているため、4月1日厚生労働省は労働基準局監督課長名で全国の労働局に「管理監督者の範囲の適正化について」と題した通達を出しました。 その中で、管理監督者の範囲について

・ 部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場になる者であって
・ 労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し
・ 現実の勤務態様も、労働時間の規制になじまないような立場にある者

に限定されなければならないものであるとし、資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務様態に着目する必要があり、賃金の待遇面についても留意しつつ総合的に判断することとしました。
つまり、「経営者と一体的な立場」「出退勤、休憩時間などの時間管理を自身の判断で決めることができる」「地位にふさわしい賃金、手当、待遇を与えられている」等が必要であり、会社内における店長、部長、課長等の管理職が直ちに労働基準法上の管理監督者に該当するのではなく実態で判断すべきとしているのです。
Q : 
会社では課長は管理職として役職手当を支払い残業代は支払っていません。問題でしょうか?
A : 
前述のとおり実態で判断します。筆者が相談を受けたケースを例に考えてみましょう。
労働基準監督署の調査があるとのことで事前に問題がないかチェックしてほしいとの相談でした。よく指摘される残業代の計算は問題ないものの気になったのが課長職の処遇でした。

・役職は課長、給料は役職手当30,000円を含んだ総支給額が280,000円。部下は2人、役職者ということで残業代の支払いはなし、タイムカードに記録されている残業は月平均30時間。経営に関しては中小企業に多い例で、社長が一人で判断し決めている状態の企業でした。
ここで問題になるのが役職手当と実際に行われた残業時間で支払われる残業代のバランスです。

1ヶ月の所定労働時間が176時間(所定勤務日数22日×1日当たりの労働時間8時間)とすると、
1時間あたりの単価は250,000(役職手当を除く)÷176時間=1,420円。
時間外労働に対する単価は1,420円×1.25=1,775円となります。
1ヶ月30時間の残業をした場合の金額は1,775円×30時間=53,250円

ご覧のとおり役職手当と実際の残業代のバランスが取れていません。これでは残業代支払いを逃れるための管理職と判断されても仕方ない面があります。

対策としては、
・役職手当をやめ残業代を払う
・役職手当を残業代分がカバーできる金額に増額する
・役職手当が残業代に満たない場合は差額を支給する(この場合役職手当は残業代に含まれることを明確にしておくことが必要です。また残業代が役職手当に満たない場合でも減額はしません) が考えられます。

また役職手当の位置づけが単に役職に対して支給されるものなのか、管理監督者として支給されているのか、もし管理監督者とするならば、与えられている権限、責任、部下の存在、賃金などの処遇が立場にふさわしい額なのかも検討する必要があります。
この会社は監督署の調査にあたりやはり同様の指摘を受け、結果として課長職の役職手当を廃止し残業代の支払いに切り替えることとしました。またこれを機会に時間外労働を行う場合のルールを定め管理していくことに取り組みました。

今回、東京地裁の裁判では現役店長は管理監督者かが問題となりましたが、上記のように管理職としながら十分な金額の役職手当を支給せず残業代を支払わないケースも数多く見受けられます。
Q : 
「管理監督者である」とするにはどうしたらいいでしょうか?
A : 
大切なことは実態に合わせることです。十分な権限、責任、それに見合う処遇をしないで管理職とし労働基準法の管理監督者と判断すること自体に無理があります。
管理監督者にするなら経営に関する意思決定に参画させる、時間管理を本人に任せる、賃金(役職手当を含む)を管理職にふさわしい額にすることです。つまり働く側にとって自分は管理職であると実感できる状況にすることなのです。
今回の東京地裁判決に対し会社は控訴しており今後の展開に関心は高まるでしょう。ただ今回の裁判は原告が月100時間を超える残業と過重労働に対する過労死への不安がきっかけであることに注意が必要です。
最近は正社員を減らし、パートやアルバイト、派遣社員などの非正規社員で仕事を回す動きが広がっています。数少ない正社員とりわけ店長、管理職が長時間労働、休日出勤などを強いられ精神的、肉体的負担は増加しています。
「名ばかり管理職」問題を残業代支払いの一面で捉えるのでなく、過酷な労働条件、非正規雇用のあり方に対する警告と捉え労働環境の改善に向けた取り組みを忘れてはいけません。
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