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  トップ > 経営相談Q&A 労務管理Q&A > 4月から労働基準法が一部改正されます
4月から労働基準法が一部改正されます
小藤 省吾 記事更新日.10.02.01
小藤経営労務事務所
■PROFILE
1957年愛知県生れ
社会保険労務士、中小企業診断士として企業の経営戦略、組織活性化、労務管理のコンサルティングを行うとともに企業、経営者団体における研修セミナー講師として活躍中。
現在、労使が力をあわせて作る「人を育てる人事制度」の普及に力を注いでいる。

連絡先
小藤経営労務事務所
〒470−2531
知多郡武豊町富貴茶ノ木15−1
TEL/FAX0569−73−7140
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改正労働基準法が4月より施行されます。その内容は時間外労働に係る割増率の引き上げなどで経営に直接影響を与えることが予想されます。

Q : 
今回の改正の背景は?
A :  週40時間労働制の導入から年間総労働時間、所定内労働時間の削減は進みましたが、所定外労働時間(残業時間)の削減はなかなか進みません。週60時間以上労働する労働者の割合は、全体の中で10%以上、特に30歳代の子育て世代の男性の割合は20%となっています。(総務省「労働力調査」平成20年)
また労働者一人当たりの平均年次有給休暇の取得率は50%を下回る状況(付与日数17.6日、取得日数8.2日「厚生労働省 就労条件総合調査」)で推移しており、「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」の視点からも労使が一体となった取り組みが求められるようになりました。

Q : 
改正のポイントどこですか?
A :  今回の改正のポイントは、「時間外労働の限度に関する基準」の見直し関係、「法定割増賃金率の引上げ」、「時間単位年休」の三点です。順を追って説明しましょう。
       (1) 時間外労働の限度に関する基準」の見直し関係
法定時間外労働をさせるには、「1日」、「1日を超え3ヶ月以内」、「1年」のそれぞれに、延長できる時間について時間外労働協定(通称36協定)を締結し、労働基準監督署に届けなければなりません。
しかし、この協定を届ければ何時間でも時間外労働が可能かといえばそうではありません。1日を超える「一定期間」について、延長できる労働時間の限度(限度時間)が定められています。
ただし、「1日を超え3ヶ月以内」、「1年」の期間については、臨時的に特別な事情がある場合に限り「特別条項付時間外労働協定」を締結することで限度時間を超えて働かせることが可能となります。
今回の一部改正では、「特別条項付時間外労働協定」を結ぶ際には次のことが必要となりました。
@ 限度時間を超えて働かせる一定の期間(1日を超え3ヶ月以内、1年)ごとに、割増賃率を定めること
A @の率は法定割増賃金率(25%以上)を超える率とするように努めること(努力義務)
B 「特別条項付時間外労働協定」を結ぶ場合は、できる限り延長できる時間数を短くするように努めること(努力義務)
平成22年4月1日以降に協定を締結、更新する場合が対象となります。
       (2) 法定割増賃金率の引上げ
1ヶ月に60時間を超える時間外労働に対しては、50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
ただし、中小企業については、当分の間、法定割増賃金率の引き上げは猶予されます。該当するか否かは、業種ごとに「資本金の額または出資の総額」または「常時使用する労働者の数」で判断されます(事業場単位ではなく、企業単位で判断します)。
猶予措置対象事業
業 種 資本金または出資総額 または 常時使用労働者数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他 3億円以下 300人以下
             
この猶予は改正法の施行後3年を経過した場合において検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされています。中小企業は当分の間、適用が猶予されているからといって先延ばしをせずに今から具体的な対応策を講じていくことが必要です。
また、事業場で労使協定を締結すれば、1ヶ月に60時間を超える時間外労働を行った労働者に対して、引き上げ分(25%から50%に引き上げた差の25%分)の割増賃金の支払いに代えて、有給の休暇を付与することもできます。こちらも中小企業は、当分の間、適用が猶予されます。

       (3) 時間単位年休
現行では年次有給休暇は日単位で取得することとされています(半日単位の有給休暇は会社が認めるのであれば問題ありません)が、事業場で労使協定を締結すれば時間単位で取得できるようになりました。ただし、労使協定が締結されていなければ時間単位の付与はできませんので注意してください。また中小企業に対する猶予措置はありません。
労使協定で定める事項は次の通りです。
@ 時間単位年休者の対象労働者の範囲
全ての労働者を対象としなくてもかまいません。ただし、一部の労働者を対象外とする場合は、「事業の正常な運営」を妨げる場合に限られます。例えば製造ラインの従業員が時間単位の有給休暇を取ると事業の正常な運営が妨げられる場合であれば、製造ラインの労働者は対象外にすることも可能です。ただし、取得目的、例えば「育児のため」「学校行事のため」等により対象労働者の範囲を定めることはできません。
A時間単位年休の日数
5日以内の日数を定めることができます。前年度からの繰越がある場合は、当該繰越分も含めて5日以内となります。
B時間単位年休一日の時間数
一日分の年次有給休暇に対応する時間数を所定労働時間を基に定めます。時間に満たない端数がある場合は時間単位に切り上げてから計算します。
C1時間以外の時間を単位とする場合の時間数
「2時間単位」や「3時間単位」として定めます。

年次有給休暇には、使用者に時期変更権があります。時簡単位年休も時期変更権の対象となり、「事業の正常な運営を妨げる場合」は別の時期への変更が認められます。
ただし、「労働者が時間単位による取得を請求した場合に日単位に変更すること」、「労働者が日単位による取得を請求したときに時間単位に変更すること」は時期変更にはあたりませんから認められません
また時期変更権行使の理由となる、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、個別的、具体的に判断されるもので
@ 労使協定において時間単位年休を取得できない時間帯を定めておくこと
A 所定労働時間の中途に取得することを制限すること(中抜けを禁止すること)
B 1日において取得できる時間数や回数を制限すること
は認められません。また計画的付与として時間単位年休を与えることはできません。
労使協定が締結されていても年次有給休暇を日単位で取得するか、時間単位で取得するかは、労働者が自由に選択することができます。時間単位による取得を義務付けはできません。

Q : 
今回の改正に対して、どのような考えで取り組めば良いでしょうか?
A :  今回の労働基準法改正を負担が増えると考えるのではなく、働き方を考える良い機会と捉えてください。そのためには、仕事の内容、与え方、管理のしかた、職場の雰囲気、組織体制等の見直しを行うことが大切です。そして課題解決のための目標設定と計画的な取り組み、検証と改善が必要となります。働き方の見直しは、生産性の向上につながり競争力強化になるという視点で取り組むことが大切です。
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