はじめまして。なるほど、若いんだからもっと自ら目標を描いて、ガンガン仕事してもらいたいのに、それができていない、ということですね。
きっとご自身が若いころは目標を持ってガンガンやっていた方でしょうから、それができていない部下を見ていると歯がゆくて仕方がないんでしょうね。
また、それをさせられないご自身にももどかしさを感じていらっしゃるのでしょう。
今回は部下に目標意識を持たせるためにどうしたらよいのかに絞ってお話をしたいと思います。あまりあれもこれもってことでは話が散漫になってしまいますので・・・。
まずは、そもそもの話ですが、なぜ、目標を持つとよいのでしょう?
世の中の風潮かどうかは分かりませんが、目標を持たなければいけない、夢を持たなければいけないという雰囲気はありますよね。
目標や夢がない奴はだめな奴のような言われ方をすると、目標を描ききれない人にとっては非常にストレスに感じることもあるのではないでしょうか?
これはあくまでも個人的な見解ですが、これだけ世の中が目標を持つべきという方向に振れているので、将来的には、目標を持たない経営とか、目標を持たないほうがいいという考え方も出てくると思っています。
物事ってやっぱり一長一短ありますから。
「目標を持たないから成功した!」なんてタイトルの本が売れるかもしれません。
それはさておき、今回は目標を持つことの“長(よい点)”について考えたいと思います。
目標を持つことのよい点は、いろいろあると思いますが、その最たるものは個人的には「心が折れにくくなる」ことだと思っています。簡単にいえば、「苦難に立ち向かえる力がアップする」ということです。(完全に苦難に立ち向かえるようになるかは別にして、目標を持てばその力はアップすると思っています)。
例えば、先日の北京オリンピックを見ていても思います。
オリンピックに出る選手のみな、人よりも多くの練習をし、いろいろな壁にぶつかりながら、その苦難を乗り越えてきた人たちでしょう。
女子体操で活躍した15歳の鶴見虹子選手は、なぜコーチを中国人である陶(たお)コーチにしたいのかと尋ねられ、こう答えています。
「陶(たお)コーチは厳しいから。他のコーチは優しいから上手になれない」と。
2連覇を達成した北島康介選手の平井コーチも、中村礼子選手に言わせれば「鬼のような人」らしいです。
どんなに厳しいことを言われても、心が折れずに、それを受け止められるのは、やはりそこに「北京で勝つ」という明確な目標があったからだと思うわけです。
ビジネス界で、「管理職は部下を褒めて、やる気を高めるべし」と言われているのとは、大違いですよね。単純に、ビジネスマンとアスリート(しかもオリンピックに出るような!)を比較してはいけないのかもしれませんが・・・。
皆さんにも、多い少ないは別にして、目標を持ったから頑張れたという経験はあるのではないでしょうか?
で、そんな目標を持つことのメリットがあるわけですから、目標を持たせるためにはどうしたらいいのかということですね。
目標が描けない人に、いくら目標を持つことのメリットを伝えても、いくら目標を持てと言っても、目標は描けません。
では、どうしたらいいのでしょうか?
今日は一つだけ、提案をさせていただきます。
ぜひ、次の質問を部下の方に根気強く投げかけてみてください。
「今日の仕事(もしくは今やっている仕事)は、あなたの将来のどんなことにつながっていると思う?」
目標が描けていない人、もしくは上から与えられた目標で仕事をしている人は、今日の仕事、今行っている仕事を、ただ単に目の前に与えられた仕事として、ひたすらこなすだけの毎日になっている恐れがあります。
こうなると本人が意識しているかどうかは分かりませんが、空しい気持ちで仕事をすることになりかねません。
まずは、「今、この仕事をどうするか」という「今」のことしか考えられていない部下の意識を「未来」に向けさせるのです。
少なくとも今日どんな仕事をしているかは、自分でも分かっているわけです。また、時間として未来があることも分かってはいます。しかし、その未来に意識がいっていないのです。
その今と未来をつなげるように、先ほどの質問を投げかけてみてほしいのです。
目標を立てて、逆算の思考で「目標を達成するために、今何をすべきか?」と考えさせるのではありません。演繹的に考えさせるのではなく、帰納的な発想を促していくのです。
そうすれば、未来に対する意識は高まっていくはずです。そして、さまざまな仕事が将来の自分のどんな姿につながっているのか、それが少しずつ固まっていくはずです。
それがその部下にとっての、自分自身のありたい姿になりますし、目指すべき目標も生まれてくるのです。
最後に質問します。
「今日、こうして部下の目標を持たせるための相談をして、ヒントを得る努力をしたことは、あなたのどんな将来につながっていると思いますか?」
こんにちは、機械部品メーカーで生産技術の課長をしているものです。私の部下で、なかなかこちらから要求した納期を守ってもられない部下がいます。どのようにすれば、良いのでしょうか?
私と部下とのあるときのやり取りの一部をお伝えさせていただきます。参考にしていただければ幸いです。
上司: | この間、お願いした○○の技術調査の件は進んでいる? |
上司: | この間、お願いした納期は、すでに過ぎているよね。いつできるの? |
上司: | いくらなんでも1週間はかかり過ぎだろう!3日で完了させるようにしてくれ。 |
部下: | でも・・・。他にも色々仕事があって・・・。 |
上司: | でもも何もないよ!仕事には必ず納期があるんだから、それを守らなければ、人から信用されなくなってしまうよ。それにこの仕事は、優先させて進めなくてはいけない仕事だから集中してやるように。とにかく3日後納期!わかった? |
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