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3分で分かる、人と組織の活かし方
(1)どうしたら組織に一体感は高まるのか?
(2)部下からの相談を受けるときにしてはいけないこと
宇井克己 記事更新日.09.01.06
株式会社ナレッジ・プラクティス・コンサルティング 代表取締役 
名古屋コーチングラボラトリー協同組合 代表理事 
中小企業診断士
■PROFILE
1965年7月29日生まれ。製造業での営業、コンサルティングファームでの企画営業などを経験したのち、2002年に宇井経営コンサルティング事務所を設立し、独立。
経済産業省が認定する中小企業診断士の資格を活かし、さまざまな業種・規模の企業に、「いかに会議を活性化するか」、「いかに管理職を育てるか」、「いかに売上・利益を上げるか」などのコンサルティングを行っている。
また、「会議活性化研修」「管理職のためのビジネスコーチング研修」「営業マン研修」など、受講者とともに作り上げるライブ感溢れる研修も好評を得ている。
研修・講演回数 100回以上/年、コンサルティング実績73社
メルマガ「芸能・スポーツで学ぶ、人材育成の裏ワザ」も発行している。

連絡先
株式会社ナレッジ・プラクティス・コンサルティング
(旧:宇井経営コンサルティング事務所)
〒486-0913   愛知県春日井市柏原町4丁目96番1
TEL/FAX0568−70−3850
http://www.ui-consultant.com
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Q1:
はじめまして。社員200人ほどの金型製造会社の経営をしている者です。昨今、世間では組織力とか、組織の一体感といった言葉をよく見聞きします。自社のことを振り返って考えてみると、以前に比べて組織の一体感は薄れてきている気がします。なぜこのようになったのかは、いろいろ考えられますが、今後の対策として何をすべきなのかを知りたいと思い、ご連絡させていただきました。世界同時不況の中、何としても生き残らなければなりません。そのためにも組織の一体感を高め、組織 の力を引き出すことが必要だと感じています。組織の一体感を高めるためにはまず何をしたらいいのでしょうか?
A1:

組織の一体感ですね。確かにおっしゃる通り、昨今特に「組織の一体感」はよく見聞きすることになってきました。最近はカッコよく「エンゲージメント」なんて言ったりしていますね。

そもそも「組織力」とか「一体感」というのは、日本企業の強みだったはずです。日本の企業がグローバルな競争の中で勝ち得てきたのは、組織力や組織の一体感が世界的にみて高い水準にあったからではないかと思います。

昨今日本においても、「組織の一体感」が叫ばれつつあるというのは、その強みが失われつつある危機感のあらわれなのかもしれません。

ちなみに、2008年11月24日の日本経済新聞には、こんな数字が載っていました。

増収増益の企業の社長の23%、減収減益の企業の社長の8%。

「社員同士の一体感がかなり高い」と答えた割合です。

この数字から見ても、少なからず組織の一体感は、業績に影響を与えていると思います。

さて、組織に一体感を高めるためにどうしたいいのかについてお答えする前に、ひとつスポーツのお話でイメージを膨らませていただければと思います。(野球に全然興味のない方には申し訳ないですが、イメージは湧きやすくなると思いますので、ご容赦ください。)

来年3月に野球の世界大会、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が開催されます。日本代表チームは巨人の原監督が予定されていますが、日本チームの監督を誰にするかで、星野仙一氏等の名前が挙がったときの話です。その時、シアトル・マリナーズのイチローがこんな発言をしました。

「大切なのは足並みをそろえること。(惨敗の)北京の流れから(WBCを)リベンジの場ととらえている空気があるとしたら、チームが足並みをそろえることなど不可能」。

イチローは、選手もコーチも監督も、その他の関係者も全ての人たちの足並みをそろえることの大切さを訴えたのです。常々、イチローは、こうも話しているそうです。 「個性を持った実力のある選手で構成される代表チームが一つにまとまるには、現場と選手の一体感が何より重要」。

もし、日本チームにとって、北京のリベンジをWBCの「目指すところ」にしてしまったら、北京に参加していないイチロー他メジャーの選手たちには、関係のないことになってしまいます。チームとして、足並みをそろえ、ひとつにまとまることができなくなってしまいます。そうです、イチローは知っているのです。強いチーム(組織)に必要なのは、「一体感の高さ」だということを。

では、一体感を高めるためにはどうしたらいいのでしょうか?先ほどのイチローの発言からも分かる通り。ズバリ、チーム(組織)のメンバー全員が共感できる目的を持つことです。チーム(組織)のメンバーが、本当に目指したいと思える、ワクワクするような目的を明確にする のです。  

イチロー曰く、優勝した2006年の第1回大会では、「王監督に恥をかかせるわけにはいかない。なにがあってもやってやるという気持ちになっていた」ということらしいです。

尊敬する王さんに恥をかかせられない。世界の王さんを世界一の監督にする。これこそが、前回大会の日本チームの一体感を高め、チームとして一つにまとめさせることができた「目的」なのです。「北京のリベンジをする」が目的では、チームの一体感を高めることができない、ひとつにまとめることができないのです。

目的は目標とは違います。目的とは目標のその先にある未来の姿です。前回のWBCでいえば、優勝することが目標であり、優勝することで王監督を世界一の監督にするが目的だったといえるでしょう。

つまり、目的とは、「なぜ、この目標を達成するのか?達成したいのか?」に答えるものです。「なぜ、WBCで優勝をするのか?」「それは、王さんに恥をかかせないため、王さんを世界一の監督にするため」ということになります。

そして、大切なのは、チームを一つの気持ちにして、一体感を高める力がなければならないということです。

クライアント先の企業で、こんな質問をすることがあります。
「今年の売上目標は○○円なんですね。なぜ、○○円なんですか?」と。
すると営業課長さん、営業部長さんあたりからは、こんな答えが返ってくることが多いです。「損益分岐点がいくらいくらなんです。自分たちの人件費ぐらいは超えたいという気持ちを持ってもらいたいですし・・・」
確かにおっしゃるとおりでしょう。確かに、その目標にした理由には答えているでしょう。しかし、そこにチームの一体感を高める力があるかというと、かなり怪しいのではないでしょうか?

メンバーが本当に目指したいものが、損益分岐点を超えて、自分の人件費を賄うこととは思えません。これが目的だと言われても、あまりワクワクしてきません。

イチローの話に戻りますが、イチローが描く次のWBCの目的をお伝えしておきましょう。ニュースなどで伝えられているイチローの発言からすると以下のようになると思われます。

「WBC日本代表のユニホームを着ることが最高の栄誉であるとみんなが思える大会に自分たちで育てていく」。
これなら、チームの一体感を高められそうな気がしませんか?私には、選手や現場の人たちが聞いたら、共感できて、ワクワクしてくるように思えます。

ということで、組織の一体感を高めるために何をしたらいいのかの答えは、まずは組織全体が共感できる共有の目的( 何のためにこの目標を実現しようとしているのか。さらに言えば何のために自分たちは存在しているのか?)を明確にすることです。
そして、組織のメンバー全員に浸透させていくことです。

Q2:
はじめまして。社員80人ほどの機械部品の商社で営業課長をしている者です。毎回楽しみにしています。内容を拝見しながら、部下とのコミュニケーションを試行錯誤しています。特に部下から相談を受けた時にしてはいけないことは興味深かったです。なぜなら、全くできていないことでしたし、やってはいけないことをしっかりやっていたからです。どうしても部下からの相談を受けるときになかなかうまくいかないところがあります。そこで、私が以前部下と話をしてうまくいかなかった事例をご紹介しますので、それをもとにどのようなコミュニケーションを取るべきだったのかをアドバイスいただけませんでしょうか?
以下が、以前部下と話をしてうまくいかなかった事例です。

部下:

すみません、少しお時間いただけますか?相談したいことがあるのですが・・・。

私:

あぁ、いいよ。なに?

部下:

あのぉ、実は、正直にいいますが、今の部署が自分には向いていない気がするんです。

上司:

どういうところが向いていないと思ってるの?

部下:

いま担当している仕事に対して自分ひとりだけが一生懸命やっているような感じで、組織で仕事をしているという気がしません。今の部のみんながこの仕事に対して本当に関心があるのか疑問に感じてしまうことがあるんです。

上司:

そんなことはないだろう。みんな仕事に対してしっかりと取り組んでくれていると思うし、それぞれの役割を果たしていると思うけどなぁ。

部下:

お言葉ですが、私は、まったくそう思いません。メールで情報を発信しても、連絡をしてもほとんど問い合わせや返信もありません。

上司:

主担当はあなたなんだから、情報発信するだけじゃなく、どんどん自分から働きかけて、顔を突き合わせてのコミュニケーションを取るべきだと思うよ。待ちの姿勢では仕事はうまくいかないだろ。

部下:

それはわかりますけど。他部署の仕事の進め方は違うような気がします。

上司:

そうかなぁ。他部署も同じだと思うけど。本当にそうなのか?

部下:

いやわかりませんけど・・・。

上司:

まぁ、とにかく私はあなたなら出来ると思って仕事を任せているんだから、そんなことは考えずにがんばってくれよ。もちろんあなたが望むのならいくらでも相談にのるから何でも言ってくれ。

部下:

わかりました・・・。
A2:
なるほど、なるほど。部下から相談を受けた時のコミュニケーションがなかなか思うようにいかないんですね。

頂いた事例からよ〜く分かります(笑)。

以前の記事で、部下から相談を受けた際にやってはいけないこととして、3点挙げさせていただきました。
http://www.aibsc.jp/nsj/04soshiki/080701_01/index.shtml
事例から察するに、やってはいけないことの一つ、「相談してきた部下を責める」を特に意識していただけるといいでしょう。
相談してきた部下を絶対に責めない、これを肝に銘じてください。
どうしても普段から言いたいことがある部下に対しては、ここぞといわんばかりに、上司としての不満をぶつけてしまいがちです。まずは責めないで、悩んでいる部下の話を聞く、これを意識してみましょう。

以下、いただいた事例を改善するとしたらという会話例です。
併せて悩みを聞くときに意識する点をいくつか吹き出しで書いておきました。参考になれば幸いです。

部下:

すみません、少しお時間いただけますか?相談したいことがあるのですが・・・。

上司:

あぁ、いいよ。なに?

部下:

あのぉ、実は、正直にいいますが、今の部署が自分には向いていない気がするんです。

上司:

そうかぁ、今の部署が自分に向いてないと思っているのか。仕事が向いていないということじゃなく、部署が向いていないということなの?

部下:

はい、そうです。

上司:

で、どういうところが向いていないと思う?

部下:

いま担当している仕事に対して自分ひとりだけが一生懸命やっているような感じがして、組織で仕事をしているという気がしません。今の部のみんながこの仕事に対して本当に関心があるのか疑問です。

上司:

なるほど、A君にしてみると、A君だけが頑張っていて、チームとして一体感を感じられていないと。だから自分はこの部署に向いていないと思えてしまうということなんだね。

部下:

はい、そうです。

上司:

たとえばでいいんだけど、A君が組織で仕事をしている気がしないと きって、具体的にいえばどんな場面?

部下:

どんな場面でですか?そうですねぇ、たとえばですけど。

上司:

たとえばでいいよ。

部下:

たとえば、私からメールでみんなに情報を発信しても、誰も何もコメントしてくれないんです。そんなときは、「みんな本当に仕事に関心を持って取り組んでいるのか」って思っちゃいます。普通、関心があれば、何らかのコメントを返してくれてもいいと思うんですよ。

上司:

うん、うん、A君からメールで情報発信しても、誰もコメントをA君に返してくれないということか。一生懸命情報発信して、みんなの関心を引こうとしているのに、誰も反応をしてくれない。それはA君にしてみれはやりきれない気持にもなるよね。

部下:

はい、そうなんです。なんかもう切ない気持ちになってしまいます。

上司:で、こんな部署では、もう一緒にやってられないってことかな?
部下:う〜ん、まぁ・・・。
上司:これも たとえばだけど、どんな部署ならA君に合うと思える?
部下:どんな部署ならですか?そうですねぇ、先ほどからも言っているとおり、一体感を持って、組織として力を発揮していけるような部署で働きたい気持ちはあります。
上司:そういう部署にし切れていない私にも責任はあると思うよ。申し訳ない。で、この部署がそんな一体感のある組織にできたら、A君としてはうれしい?
部下:うれしいか、と聞かれればうれしいですけど・・・。
上司:まず手始めに、さっきのメールの件に一緒に取り組んでみない?
部下:メールですか?
上司:そう、さっきのメールの話。
部下:どういうことですか?
上司:メールでA君が情報発信して、他の人たちが嫌でも返信せざるを得ないようにすることができるとしたら、どんな方法が考えられる?
部下:えっ?嫌でも返信せざるを得ない方法ですか?
上司:そう、そう嫌でも返信せざるを得ない方法。
部下:そんなこと今まで考えたこともなかったですよ。どうしたらそんなことができるんだろう?簡単な質問項目でも入れておいてもいいのかな?
上司:いいねぇ、質問があれば、それに答えて返信を返そうとする確率は高まると思うよ。それとか、タイトルにも気を配ってみるとか。
部下:どんなタイトルですか?
上司:どんなって言われてもすぐに出てこないけど、たとえば、「要返信:返信いただいた方には抽選で○○をプレゼント!」とか。
部下:それはないでしょう!
上司:ないな(笑)。たとえばってことだよ。
部下:でも、確かに、こちらからのアプローチによっては、周りの人たちを巻き込んでいくことはできるかもしれませんね。
上司:それはあると思うよ。自分のモチベーションが上がらないのを周りのせいにしているとしたら、その周りにコントロールされている、支配されているってことだもんな。自分のことは自分でコントロールしようよ。で、A君が起点になって、周りの人たちに良い影響を与えていければ、それがきっとA君の財産になると思うよ。と、まぁそこまで大げさに考えなくても、さっきA君が言った通り、「こちらからのアプローチで周りに人たちは巻き込んでいける」と思う。
部下:そうですね、まだ話し切れていないところもありますが、話を聞いてもらえて、ほんの少しだけ気は楽になった気がします。
上司:ほんの少しかい!でも、まぁほんの少しでも気が楽になったのであれば、それはそれで私としてもうれしいよ。また改めて話は聞くよ。
部下:はい、よろしくお願いいたします。
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