はじめまして。確かに厳しい状況が続いていますね。
さて、いただきましたご質問に早速お答えしていきたいと思います。
この厳しい状況の中で生き残れる企業の特性、ってことですね。
コンサルタントとして、社長や社員の話を伺っていて、直感的ではありますが、「この会社はきっと大丈夫だろうなぁ」と思う会社があります。
その特徴を2つ挙げたいと思います。ひとつは社員の視点から見た社員と経営トップとのつながりに関して、もうひとつは社長の特性に関してです。
最初に社員と経営トップとのつながりについてお話をしたいと思います。
以下は、ある会社で打ち合わせをしている際に、社員の方が発言された内容です。二つの発言がありますが、それぞれ別の会社の社員さんの発言です。
「本当に今は、厳しい状況が続いています。でも、不謹慎な言い方かもしれませんが、この状況をあの社長と一緒に過ごせるというのは、ある意味サラリーマン冥利に尽きると思えるんです」。
「いま、部下にはっぱをかけているところなんです。どうやってはっぱをかけているかというと、『うちの社長は、たかだか15億円程度の売上の会社の社長じゃないぞ、あの社長をもっとでかい売上の会社の社長にしてやろうじゃないか。それができないってのは、俺たちが情けないってことだぞ』って。そんなふうに部下にはっぱかけているんですよ。特に課長連中はみんな社長の考えにほれ込んでますからね、こうやって言うと目の色が変わるのが分かるんですよ」。
個人的には、こういう厳しい状況の中、追い込まれた状況においては、社員と社長が感情的に結びついている会社が強いのではないかなと考えています。
理屈で考えるのではなく、感情で動く組織です。
理屈で考えたら、とてもじゃないけどこの状況を脱するのは自分たちの力では難し過ぎる、アメリカの景気が回復しなければ、日本の輸出も伸びないし、日本の内需を喚起する景気対策を打ち出してもらえないと消費が増えないし・・・、となってしまうでしょう。
でも、理屈で考えるのではなく、感情で動くとしたらこうです。
「確かに厳しい。でも、とにかく俺はこの会社が好きだし、あの社長が好き。だから何とか頑張ろう」「とにかく私はあの社長に褒めてもらいたいし、あの社長の笑顔が見たい」と。
もちろん、理論や理屈で考えることも大切ですが、ときに、特にこのような厳しい時期には感情で動くことが力を発揮するのではないでしょうか。
ちなみに、あるテレビ番組で面白い内容が取り上げられていました。本当に参考までですが、ご紹介したいと思います。
2004年のタイのプーケットで起こった津波によって海に流され、2週間もの間、海面に浮かんだ丸太につかまり生き残った男性がいたそうです。その男性が、助かったときに受けたインタビューで答えた内容が非常に
興味深かったのです。
インタビュアー:「どうして2週間もの間、頑張り続けられたんですか?」
助かった男性:「どうしても、生きて帰ってワールドカップでベッカムの試合が観たかったんだ」
なるほどと思いました。
理屈で考えたら、助からないというほうが先に立って、諦めてしまっていたのかもしれません。でも、ベッカムが大好きで、どうしても彼の試合が見たい、という理屈を超えた部分で頑張れたわけです。
窮地に立たされたら、理論や理屈ではなく、感情なんでしょうね。
次に、社長の特性でいえば、それはもうひと言。「楽観的」ってことだと思います。ただ、表面的な楽観性ではなく、行動が伴った楽観主義であることは間違えてはいけないところです。危機感を伴った楽観主義という感じでしょうか。
ある社長さんが、こんなことを言っていました。
「まぁ、今まで忙しすぎたから、この状況はある意味、夏休みだな。でも、夏休みってのは、その過ごし方によって2学期の成績が変わってくるんだよね。夏休みの過ごし方が下手な子供と上手な子供っていたと思うんだよ。この
不景気は、今までできなかったことができるいい時期だといえるよ。ただ、そのできなかったことが夏休みの宿題だとしたら、夏休みが終わる間際になってあわてて取り組むんじゃなくって、早く取り組まなきゃいけないんだろうね。今までやりたくても忙しくてできなかったことを、ちゃんと早くやりきっていけば、2学期、つまり次に景気が回復してきた頃に良い成績が残せるだけの実力が身についているはずだよ」。
なるほど、この厳しい状況を夏休みというなんて、究極のプラス思考だと思いました。
こういう会社もきっと大丈夫なんだろうなと思います。
いかがでしょうか?
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