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  トップ > 経営相談Q&A 省エネQ&A > 省エネルギー 〜すべて見直そう
省エネルギー 〜すべて見直そう
野口昌介 記事更新日.08.03.05
野口技術士事務所所長
■PROFILE
1934年愛知県生まれ。
三菱電機(株)、フォスター電機(株)、日本電産(株)を経て、平成3年野口技術士事務所を設立、現在に至る。愛知県中小企業支援センター専門員、愛知県商工会連合会専門員。

<資格>
技術士(電気電子、経営工学、総合技術監理部門)、中小企業診断士、電気主任技術者第1種、エネルギー管理士、公害防止管理者、ISO9000審査員補

<著書>
現場の電動機技術、電気機器実務必携、絵とき電気機器マスターブック(オーム社)、不良低減(共著、日本規格協会)

<主な講演>
コストダウンの進め方、省電気エネルギー

<専門>
企業診断・指導、工場管理、品質管理、作業改善、不良低減、コストダウン、電気機器技術指導、省電気エネルギー、ISO9000認証取得の指導

連絡先
野口技術士事務所
〒463-0055 名古屋市守山区西新17-30
TEL/FAX 052-792-0172          
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Q:
新聞を見ましても省エネルギーの記事が一段と目に付きます。
A:
報道も本格的になりました。環境問題は世界的な動きがあります。1990年比で温暖化ガス排出量6%減を、本年から2012年の間に行わねばなりません。2005年で既に8%増でしたから、現在では14%以上の削減が必要です。もう、なりふりを言っておれないですから、本腰を入れて進めるでしょう。そして、原単位規制ではなく総量規制に行かざるを得ないでしょうし、各種の義務化した施策が展開されるでしょう。
日経紙1/25には図11)の様に現状を説明しています。


これを見ますと、産業部門は少し減じていますが、運輸・業務・家庭部門が激増と言って良い状態です。
省エネルギー・省資源対策推進会議は「省エネルギー国民運動の強化について」の決定事項 2)として次の様に焦点を当てています。

a.特に強化すべき省エネルギー国民運動
    (a)家庭部門における省エネルギー国民運動の強化
    (b)業務部門における省エネルギー国民運動の強化
    (c)エコドライブの推進
    (d)グリーン電力証書の活用
b.広報・基本方針・情報の提供及び開示

流通業者の「スーパーマーケット」「百貨店」「チェーン店」の2006年度の排出量が、1990年度の2.2倍にも達しています。この3業種は特に低減活動が迫られるでしょう。
都道府県では東京都が具体的に動き出しています。これが、他の自治体の動きを呼ぶでしょう。
注意していただきたいのは省エネ投資も、採算性を無視する訳ではありませんが、もはや採算性だけの判断ではなく、省エネ・環境問題への対応です。
これをやる力があり、それに耐え得る企業が次の時代に活きると言うことです。活き残る為には、省エネに環境に寄与する事が求められます。力のある体力のある中での実効的な施策の展開が求められている様に思います。   
Q:
抽象的・観念的な省エネを唱えるだけでは中々進まない・・・。
A:
その通り。具体的に実効的な施策を割り付けて展開しないと成果は上がりません。
Q:
まず、的確な省エネ箇所を見つけるのが問題ですね。
A:
難しく考えない事です。一つ一つ総て省エネの視点でチェックすれば判る事です。具体的事項をピックアップするには、表1のキーワードからのチェックが効果的です。これが省エネの種を見つけるコツです。
表1
キーワード 内容 視 点
やめる
(止める)
なぜこの工程・設備が必要なのかを考え、不要なものは停止する。
不要な・過剰なサービスは止める
工程を抜く、排除する。
重複工程・繰り返しを止める。
暖機運転を無くす。移動を無くす。
無駄な動きを止める。
運搬を止める。加工を止める。
加熱・冷却を止める。
とめる
(停める)
運搬を停止する。
動きを停める。
空運転の停止。無駄な動きの停止。
空調の停止。運搬・コンベアの停止。
自然落下・送出の活用。
さげる
(下げる)
負荷を下げる。
条件を下げる。
動きを下げる。
量を下げる。
移動量を下げる。エア圧力・吐出量を下げる。風圧・風量を下げる。水圧・流量を下げる。回転数を下げる。損失を下げる(効率を上げる)。速度を下げる。使用量を下げる。温度を下げる。運転時間を短くする。過剰照明・過剰空調を下げる。空調負荷を下げる。空調範囲を狭くする。工程を短くする。仕損を下げる。 移動・移動距離を下げる。機械的負荷・摩擦を下げる。切削量・加工量を下げる。
なおす
(直す)
修正・修繕。
不具合箇所を直す。
適正条件に直す。
設定条件・設備を改善する。
エア漏れ・ドレン漏れ・水漏れを直す。
遮熱・断熱・保温を直す。
隙間・隙間風を直す。
高COP機器とする。
高効率機器とする。
重力を使う。
運転条件の適正化。上手く使う。
ひろう
(拾う)
捨てているエネルギー・熱を
回収・利用する。
排水・排気の廃棄熱を回収・利用する、カスケード利用する。
減速時の回転エネルギーの回収利用。
加熱炉のワーク及びコンベアの残存熱の利用。焼却炉の熱を回収利用する。
スクラップ・端材を活用する。
コンプレッサ熱を利用する。
かえる
(変える)
熱源を変える。
工程を変える。
方式を変える。
高効率機器に変える。
熱源の選択。
製造工程・工法の変更・削除。
組み合わせを変える。設備を変える。
高効率・省エネ機器への更新。
高効率ランプ・環境配慮型照明器具。
省エネドライブ・省エネカーへの更新。
配送ルートの変更、共同運送。
設定条件を変える。
燃焼条件・空気比の適正化
遮熱・断熱・保温の改善。
使用方法を変える。
Q:
あるものですねえ、言われて見ればごもっともで、これなら見付けられます。
A:
総ての事項がエネルギーに直結していると言って良いのですが、日頃は考える事なく、習い性で行っている事が多いものです。更に問題は、知っており判っていてもやらない事が問題でしょう。表1の視点から、一般的な工場では何が挙がって来るかを見て見ましょう。表2にこの一例を示します。
総ての設備・機器・工程に関して展開し、掘り下げれば、おのずと具体的施策が浮かんで来ます。頭の中でコレコレとチェックしピックアップするのではなく、総て書き上げ網羅する事が肝要です。これを各種設備・工程に関して展開 するのがよろしいでしょう。

表2
設備 設備機器











該当事項 施策
電源 変圧器       損失の低減 低損失変圧器
        高効率化 全日効率のUP
運転台数の見直し
負荷の適正配分
        無負荷損の低減 非稼動時の開放
コンデンサ           力率 力率の改善
配電方式           電圧不平衡 是正措置
負荷需要         最大需要電力 負荷の平準化
動力設備

生産設備
電動機       損失低減・
効率UP
高効率電動機
不平衡電圧是正
動力           動力低減 負荷軽減・速度低減
インバーター駆動
          単相機 三相化
工作機械         切削量 切削量削減・非削化
コンプレッサ           吐出圧力 圧力低減
          吐出量 エアブロー制御
          制御方式 インバーター制御
群管理運転
          エア漏れ 修理・保全
ファン           風圧・風量 風圧・風量低減
        回転数 低減(インバーター制御)
ポンプ           水圧・流量 水圧・流量低減
        回転数 低減(インバーター制御)
コンベア           運搬・積載量 削減
        廃止
巻上機           稼動・運搬量 削減
          速度 低減
射出成型機           成型機選択 電動式射出成型機
        油圧ポンプ インバーター制御
空調設備 空調対象         必要性 停止
          空調範囲 範囲を絞る
空調負荷           熱負荷 低減(出入口の二重化・複層ガラス etc.)
          換気 換気回数の低減
        温度・湿度 見直し・是正
空調機           機種選択 ヒートポンプ式空調機
冷凍機         熱源の選択 吸収式・吸着式冷凍機
照明設備 照度           過剰照明 適正照度に下げる
          調光照明
          照明率 改善する
          保守率 定期清掃
照明器具           白熱灯 蛍光灯にする
          蛍光灯 Hf高周波照明
          省エネランプ LED照明
自然光           自然光 自然光採光
ボイラー         空気比 空熱比自動制御
        空気予熱 エコノマイザー設置
          断続運転 連続運転化
        圧力・温度 低減
          ドレン 回収利用
フランジ・バルブ           保温 改善・改修
配管           保温 改善・改修
加熱炉         ヒートパターン 見直し・改善
          ワーク熱量 改修利用
燃料           CO2削減 ガス化
運送 運送         必要性 極力無くす
          輸送量 低減する
          走行距離 短縮する
          走行ルート 見直し短縮する
          走行速度 経済速度・エコドライブ
          運送 共同化
車種           選定 エコカー

表2には総て挙がっている訳ではありませんし、業種によっても異なりますから派生して来る事項は追加して、諸々の視点からチェックし掘り下げて展開するとよろしいでしょう。  
Q:
でも、ピックアップしても支障がある難しい事項も挙がって来るのでは・・・。
A:
あり得るでしょう。又、実施には注意しないと逆効果の場合もあり得ます。
支障のあるものは、その生ずるであろう支障を除く事を考えて、更に掘り下げて展開する事を考えると良いでしょう。表面的に受け止めてチェックするだけでなく、トコトン掘り下げて突き詰めて考えますと、支障が解決出来るものが あり、結構多くの改善点・改善箇所が出て来ます。
Q:
これで改善箇所を網羅し、施策・期限・担当者まで決めてしまう訳ですね。
A:
ただね、ここで説明した中には、現状の数値的把握としての計測が入っていません。現状を定量的に計測し把握する必要があります。その上での計画⇒実施、P−D−C−Aのサークルを回す事です。
Q:
定量的に数値で把握すると言っても・・・。
A:
正確に把握するのが難しい場合もあるでしょう。その場合は、アバウトでも推定でも良しとして進める事です。厳密さにこだわって逡巡して遅れるよりも、アバウトでも早く進める方が望ましい。
糸口としての省エネの種を見つけ方を説明しましたが、Plan−Do−Check−Actionに則って図2の様に推進して下さい。
今回の説明は計画の前段階のCheckです。Checkにより種を見つけ、量的に把握し、計画を立て、積極的に推進して下さい。着眼大局・着手小局で、出来る事からやり、それを積み重ねましょう。
得られる成果は、意思と実行力に帰します。

<参考文献>
1) 日本経済新聞(2008年1月25日)
2) 電気技術者(〔社〕日本電気技術者協会誌)2008年1月号
     <省庁情報>省エネルギー国民運動の強化について
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