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(株)フルハシ環境総合研究所
研究員 浅井豊司
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| 【エネルギー特集】 循環型社会形成のいま
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| 循環型社会形成に向けた中小企業の取り組みについて |
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| 世界では1秒の間に、体育館32棟分、39万㎥の二酸化炭素が排出され…、グリーンランドの氷河が1620㎥溶け…、自然災害に対して65万円の保険金が支払われ…、 牛3頭、豚7頭、鶏1100羽分、計6.9トンが食肉として生産され…、0.002種、7分に1種の生物が絶滅している(出典:1秒の世界、図1)。 |
| このような環境問題の深刻さを訴えて、どれだけの人が危機感をおぼえるでしょう。また、どれだけの人が自分自身の問題として、また自分たちの会社の問題として感じられるのでしょう。そしてどれだけの人が行動できるのでしょう。地球規模の問題を自分自身や自分たちの会社の問題に置き換えることは簡単なことではありません。しかしながら、大変な事態であり、未来をあやうくする大問題であることは事実なのです。思いを行動へ移すまでの動機付け、つまり肌で感じられるような感覚を伴わないところが、環境問題の対応を前進させない大きな原因であることも確かなようです。 |
| 地球温暖化を体感した昨年の猛暑。過去最高気温を記録し、台風の上陸回数が過去最高だった記憶も、もう遠いものになってしまったのでしょうか。そうはいっても生活の中で優先すべきこともあります。初めて聞いたときは衝撃を覚えた環境問題の深刻さも、何度も聞くうちに危機感が麻痺してきているようにも思います。しかし、現実をありのまま見れば、環境問題は時々刻々と深刻になる一方です。 |
| 現状を悲観するよりも事実を正面から受け入れなければなりません。環境危機に対応するために、社会構造は切り替わってきています。この5年間に5つのリサイクル法が施行されるなど、法制面では環境対応が当たり前の社会に大きく変化しています(表1)。 |
| そして今年2月、京都議定書が発効され、地球温暖化抑制のためにCO2削減に対する動きが各方面で活発に広がっています。エネルギーを購入し、CO2排出権を購入し、おまけに環境税を支払う時代が到来しました。このような環境規制社会を迎えて、中小企業の経営にはどのような対応が求められるのでしょう。 |
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環境の取り組みは大企業がするもの、という考え方はすでに過去のものになっています。環境へのインパクトは産業界の影響が最も強いのは二酸化炭素発生量(図2)から見ても明らかです。大企業や自治体、個人がいくら環境保全に取り組んでも、中小企業が取り組みを怠ると社会全体としての環境への負荷は一定限度から下がりません。前述の環境規制社会の到来に従って、環境対応は、もはや中小企業も例外ではないのです。
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| 環境活動を始めるときに役立つのが環境マネジメントシステムです。環境マネジメントシステムとは、環境を組織として管理する仕組みです。その代表ともいえるISO14001は普及が進んでおり、日本全国で18,104件が認証登録されています(2005年8月時点)。一方、ISO14001は国際規格のため、どんな規模・業種・業態にも汎用できるように作られているため、一般的に中小企業には作業量、費用の面で負担が重いといわれています。 |
| 環境マネジメントシステムを構築するなら、ISO14001に替わる中小企業向けの環境マネジメントシステムもいくつかできてきていますので、自社にとって最適な環境マネジメントシステムを吟味して、検討すべきでしょう。以下に、具体的なコストや特徴を交えて、環境マネジメントシステムを比較します。 |
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従業員約30人の中小企業がISO14001認証を取得する場合、審査登録の費用が220万円、コンサルティング支援を受ければさらに同額程度の費用が発生します。トータル440万円の投資に対する効果として何を期待しますか。環境への取り組みが経営に与える影響については後述します。 |
| 費用を抑え、かつ中小企業にも取り組みやすい中小企業向けの環境マネジメントシステムの代表的なものが、エコステージ(民間/エコステージ協会)やエコアクション21(環境省)です。そこで、ISO14001と比較を表2にまとめました。これらは国内規格ではあるものの、「環境マネジメントシステムを構築する」、「第三者の認証を受ける」という点はISO14001と同じです。審査にかかる費用には大きな開きがあり、エコアクション21が格段に安くなっています。また、ここでは見えていないコンサルティング費用については、エコステージに実利優先の特徴が現れています。 |
| 規模の小さい中小企業において環境マネジメントシステムについて、経営を軸に考えれば、従業員への負担が必要以上に重くならず、コストが安く、経済的な効果があがることが求められます。その点では、中小企業向けに設計されたエコステージやエコアクション21の方に、優位性を感じます。 |
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中小企業にも環境マネジメントシステムの構築を奨めたいという大手企業のニーズと符合して、その受け皿となるエコステージやエコアクション21がグリーン調達基準に採用されるようになりました。大手企業の外圧がモチベーションとなって、中小企業でも環境マネジメントシステム構築の方向に流れています。実際、エコステージ、エコアクション21の取得件数を見ると、年々大きな伸びが見られます(図3)。投資対効果を考えれば、取引先が認める規格のうち、安い方へ流れるのは当然かもしれません。
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| また、なんらの規格とは関係なく、環境コンサルタントに相談するなどして、独自に環境マネジメントシステムを構築することも十分可能です。 |
| 環境マネジメントシステムはあくまでも、「箱」です。この箱の中に何を詰め込むか?の方が重要と考えます。例えば、廃棄物の年間の処理費を計算してみてください。年間数十万円ですか、数百万円ですか、数千万円ですか。「えっ! こんなに廃棄物処理費用を払っていたのか」ということは少なくありません。処理費に数百万円かかっていたとすれば、その分の利益を生み出すために、どれだけの売上が必要になりますか。廃棄物の処理費が利益を食いつぶす事態になっていませんか。経営面からみても、環境面からみても、まずは分別・リサイクルの取り組みを始めることをお勧めします
(参照:中小企業におけるゼロエミッションの進め方/ネットあいち産業情報2005年3月10日号)。
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| 循環型社会に対応するためにどんな行動が求められるか、経営への影響について整理します。図4の通り、影響を与える対象を、経営および従業員に対する営業(内部)、顧客をはじめとする利害関係者(外部)に区分し、また影響をプラス面(競争力・企業価値)、マイナス面(リスク)に分け、それぞれのセグメントの要点をまとめました。
イメージアップ(1)や省エネによるコストダウン(3)、廃棄物対策(2,4)は環境の代表的な取り組みですが、影響の方向と対象を整理するだけで経営における位置づけがクリアーになります。 |
| 経済性と同軸にならない環境活動には問題があるでしょう。前述の通り、環境問題が深刻化し、規制がますます強くなる中で環境への取り組みや投資が事業活動において経営的にも社会的責任においてもプラスにならない方がむしろ不自然だということです。環境活動であれば、何でも良いということではありません。つまり、環境の視点を多く持っているほど、メリット/デメリットの分析
や判断に奥行きが生まれ、結果論ではなく、自覚的に環境を経営に生かすことができるはずです。まずは図4を参考にして、経営における環境要素を棚卸しして、そこから環境と経営について考えることを出発してみてはいかがでしょうか。とにかく、企業の規模を気にして待っている場合ではありません。ひとつはっきりしていることは経営に環境を取り入れることはコストではなく、メリットであるということです。企業存続のために、
賢明な経営者の方々のいち早い環境への取り組みを期待します。 |
参考文献
1. 1秒の世界(著:山本良一、ダイヤモンド社)
2. ひとめでわかる環境経営(編著:稲永弘・浦出陽子、東洋経済新報社)
3. 中小企業の新しい「環境経営」入門(監修:山本芳夫、チクマ秀版社)
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| 問合せ先 |
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浅井豊司(あさい とよし)
株式会社フルハシ環境総合研究所 研究員
1999年 フルハシ工業株式会社入社
2001年 株式会社フルハシ環境総合研究所入社
環境経営コンサルティング担当。
専門分野は廃棄物リサイクル、ゼロエミッション。
他に企業環境教育、業務効率化、環境活動に関する各種企画等、
環境経営全般の活動をコンサルティング・支援している。
連絡先
株式会社フルハシ環境総合研究所
〒460-0022 名古屋市中区金山1-12-14 金山総合ビル7階
TEL 052-324-5351
FAX 052-324-5352
http://www.fuluhashi.jp
E-mail:t-asai@fuluhashi.jp
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