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2006.03月号 No.47 通巻248 03月10日発行
(株)フルハシ環境総合研究所 
研究員 浅井豊司

 
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【エネルギー特集】 環境マネジメントシステム 運用のポイント
〜環境経営のものさしと成績表、環境パフォーマンス評価〜
1.はじめに
環境マネジメントシステム(EMS)を構築し、運用している企業において、環境負荷の削減効果がどの程度出たのか、また経営効果がどの程度あったのか、どのように評価すればよいのでしょうか。本稿では、環境経営のものさしとして環境活動の指標を紹介するとともに、環境経営の成績表として活動結果を評価する手法として『環境パフォーマンス評価手法』を取り上げます。
少し例を挙げて説明すると、生産量が毎年伸びている企業では、それに比例して電気使用量も増えるものです。省エネルギーの活動を推進するとき、電気使用量を毎年削減することを目標に設定すると、毎年未達成ということになってしまいます。企業として成長することが、環境悪であるという考えをしてしまうと、経済活動自体を否定することになりますので、絶対量だけで捉えるのは指標として適切でないことがわかります。そこで、原単位指標が使われることが多いのです。例えば、生産量あたりの電気使用量や、延べ床面積あたりの電気使用量、売上高あたりの電気使用量など、さまざまな指標が存在します。活動の努力が成果として表れるような指標を採用することが重要であり、どういう指標が適切かを考える必要があります。同時にどの程度コストが削減できたのかを把握しておくことも重要です。
2. 環境パフォーマンス評価とは?
環境マネジメントシステムがISO14001として規格化されていることは、多くの方がご存知のところでしょう。それでは環境パフォーマンス評価がISO14031として規格化されていることはご存知でしょうか。環境活動に取り組んで、経営面でも効果を得たいとお考えの方はこの環境パフォーマンス評価を活用し、経営に役立つ目標設定と評価を繰り返しながら運用することをお勧めします。
ISO14031「環境パフォーマンス評価ガイドライン」を使うと活動結果がデータに基づいて評価できるため、経営者の決裁判断の良質な材料になります。それだけなく、活動の周知徹底や情報開示のときにデータを使って説明・説得することができるため、コミュニケーションの道具としても優れているといえます。
3.環境パフォーマンス評価の主な指標
まずは、事業活動のインプットとアウトプットを整理してみます。製造業の場合、原料やエネルギーを投入(インプット)し、廃棄物や二酸化炭素を排出(アウトプット)します。製品やサービスもアウトプットのひとつです。インプット、アウトプットの主な指標は、図2のようになります。大まかなイメージはお分かりいただけると思います。EMS構築の際に環境側面や環境影響の評価でこれらの指標について分析したことがある方も多いのではないでしょうか。

また、環境パフォーマンス評価の指標は、大きく次の二種類に分けられます。
・ オペレーション指標
・ 環境マネジメント指標  
オペレーション指標は事業活動に伴う環境負荷を捉える指標、環境マネジメント指標は経営資源(人・もの・カネ)の運用を捉える指標となります。これらの指標に、売上高や生産高、従業員数などの経営的な指標を組み合わせると原単位という考え方に発展します。それでは環境経営のものさしともいえるこれらの指標を具体的に見ていきましょう。
4.オペレーション指標
冒頭に紹介した電気使用量をはじめ、製造原材料、副産物、排水、騒音振動など組織の運用・操業に関する指標をオペレーション指標といいます。この指標はコストに直接影響する資材やエネルギー、廃棄物を扱うため、経営管理の面から見ても重要な指標になります。オペレーション指標の具体例は表1の通りです。製造業の場合、ある製品を作るために資材(原材料、水、油など)をどれくらい使っているか、これはオペレーション指標そのものです。飲食店の場合は、お客さん1人あたりの水使用量やエネルギー使用量を出してみると努力の成果がわかりやすいですね。こういった指標を使って活動内容を捉えて、結果を評価することは、経営を良くしていくことと一致します。これらの指標のうち、ひとつでも自社に適切と思われるものを採用し、目標設定すると環境マネジメントシステムに新たな活力が生まれるものと考えます。

5. 環境マネジメント指標
オペレーション指標はデータをもとに定量的な数値として表現しやすいのですが、環境教育や製品開発などのマネジメントそのものについては努力しても数値では表しにくいものです。こういったマネジメントの努力を表現するのが環境マネジメント指標です。具体的な例は表2の通りです。教育の回数や出席率、参加者の得点を経年推移で見れば教育の充実度が管理できますし、環境教育の累積出席回数や平均得点を見れば個人の環境スキルを捉えることができます。一方、環境に関する提案の件数を見れば、組織の環境活動の活性度を図ることができます。また教育回数と提案件数の関係性を見ると面白い結果が現れるかもしれません。

6.まとめ
環境活動を「儲かるからやる」、「儲からなくてもやる」。環境の分野ではどちらか一方では不十分です。社会的責任(CSR)の要請が強くなっているなかで、これら二つの考え方は布を織るときの縦糸と横糸のようなものと考えるとわかりやすいと思います。どちらか片方でも抜け落ちると、企業は持続可能性を失ってしまう恐ろしさがあります。コンプライアンスの徹底はその典型です。
とはいっても、企業の本質に立ち戻ると、儲けと連動することが環境を進める上では一番の王道なのです。生産効率を上げて残業をなくせば、その分エネルギーを使わなくて済む。また売れる製品を作って、在庫を残さない。これも環境に良い活動だと言い換えることができるでしょう。大きく捉えると、本業の効率を上げることがもっとも環境に良い活動ということになります。
これを機会にすでにEMSを構築した企業では、もう一度目標設定やその指標を見直してみてください。これまでにみえなかった環境活動の実態や新しい取り組みの切り口がきっと見つかるはずです。そしてまだEMSを構築していない企業では、できる範囲から目標設定をして活動に取り組んでみてください。環境パフォーマンス評価が環境経営を後押ししてくれるはずです。
◆ 参考資料
1.解説ISO14031/JIS Q 14031 環境パフォーマンス評価―ガイドライン― (社団法人産業環境管理協会)
2.事業者の環境パフォーマンス指標ガイドライン―2002年度版―(環境省)
3.中小企業の新しい「環境経営」入門(監修:山本芳夫、チクマ秀版社)
問合せ先
浅井豊司(あさい とよし)

株式会社フルハシ環境総合研究所 研究員
1999年 フルハシ工業株式会社入社
2001年 株式会社フルハシ環境総合研究所入社 環境経営コンサルティング担当。 専門分野は廃棄物リサイクル、ゼロエミッション。 他に企業環境教育、業務効率化、環境活動に関する各種企画等、 環境経営全般の活動をコンサルティング・支援している。

連絡先
株式会社フルハシ環境総合研究所
〒460-0022 名古屋市中区金山1-12-14 金山総合ビル7階
TEL 052-324-5351
FAX 052-324-5352
http://www.fuluhashi.jp
E-mail:t-asai@fuluhashi.jp

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