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不織布状活性炭フィルターの開発
愛知県産業技術研究所  記事更新日.10.03.01
愛知県三河繊維技術センター 
■問合せ先
 愛知県三河繊維技術センター 開発技術室
 〒443-0013 蒲郡市大塚町伊賀久保109
 TEL 0533(59)7146   FAX 0533(59)7176
   http://www13.ocn.ne.jp/~amtrij
   E-mail mikawaseni@blue.ocn.ne.jp

 愛知県三河繊維技術センター豊橋分場
 〒440-0851 豊橋市前田南町2−19−20
 TEL 0532(52)4691   FAX 0532(52)4660
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はじめに
活性炭は表面に多数の微細孔をもつ多孔性吸着剤で、様々な物質を吸着することができます。粉末や粒状など様々な形状の活性炭が市販されていますが、中でも不織布状活性炭は、他の形態の活性炭に比べて吸着速度が速く、低濃度での吸着性能に優れるなどの特長に加え、通気性がある、成形加工が容易などのため空気清浄機や自動車内環境保持用資材などとしての市場が期待されております。
愛知県三河繊維技術センターでは、大学や県内企業と共同で、繊維廃棄物を出発原料とする不織布状活性炭の製造方法について研究を行い、吸着性能に優れ、丈夫で柔軟性に富み、切断や屈曲も可能な不織布状活性炭の製造技術を確立しました。
ところで、活性炭への吸着量は飽和に達するとそれ以上の吸着ができなくなり、交換が必要となります。また、周囲温度や圧力などの変化によって一旦吸着した有害物質が活性炭から脱着・再放出されることもあります。有害物質の除去を目的としたフィルターなどへの応用では、これらの課題を克服しなければなりません。
解決策の一つとして、不織布状活性炭の表面に触媒を担持させその触媒作用により吸着した有害物質を分解・無害化する方法があります。これにより、有害物質の吸着・分解が促進され、活性炭の長寿命化が可能であると考えられます。ここでは、不織布状活性炭の製造プロセスの概要と長寿命化を目的とした触媒の担持方法などについて紹介します。

不織布状活性炭の作製プロセス
不織布状活性炭の作製および金属触媒の担持方法は下記のとおりです。

触媒には、パラジウム(以下Pd)、銀、銅の3種類の金属を選択しました。Pdはレアメタルの一つで稀少価値が高く高価ですが、いずれの有害物質に対しても優れた酸化活性を示すことが知られております。一方、銀や銅はPdに比べると活性は劣りますが、比較的廉価で取り扱いやすいという特長があります。
不織布の形態を損なうことなく金属触媒を有効に担持させるかが課題です。そこで、所定の濃度に希釈した各金属の硝酸塩溶液を不織布状活性炭に含浸させた後、熱風乾燥し、さらに水素還元して活性炭上に金属触媒を生成する方法を試みました。この一連の化学処理により、パラジウム硝酸塩などから金属触媒への構造の変化、不織布上への担持状態が確認されました。図1は、各処理による活性炭上のPdの構造変化をX線回折法により解析した結果です。


出発原料として用いた硝酸パラジウム(Pd(NO3)2)が、蒸発乾固処理により金属Pdに変化し、この時点でかなり還元が進行しています。さらに、水素還元処理により、金属Pdに由来するピーク強度が著しく増加しています。このことから金属Pdへの還元が更に進んだことがわかります。銀や銅でも同様の結果が確認されました。
また、窒素吸着等温線から比表面積を算出した結果、いずれの金属においても、担持により比表面積が若干増加することが認められました。これは、還元由来の硝酸、あるいは担持触媒と活性炭自身との反応による新たな細孔が形成されたと考えられます。

吸着性能評価
代表的なVOC(揮発性有機化合物)であるトルエンやアセトアルデヒドなどを用いて吸着性能などを評価しました。4.5ppmに調整したトルエンガスを、Pdを担持させた不織布状活性炭に連続的に流し、透過後のガス中に残留するトルエンの濃度(水素炎イオン化検出器出力、FID)を経過時間とともに測定した結果を図2に示します。
初期段階では活性炭によりトルエンが吸着されるため、ほとんど検出できません。
しかし、時間の経過とともにトルエンの吸着・分解が次第に飽和するため、トルエンの残留濃度が上昇することが分かります。そこで、この曲線の立ち上がり点を「吸着寿命」と考えることができます。触媒未担持の活性炭に比べて、Pd触媒を担持した活性炭はガス濃度の上昇が遅くなっていることが分かります。これは、触媒効果によりトルエンが分解するためと考えられます。
このことから、Pd触媒による吸着寿命の増加が確認されました。一方、銀および銅触媒では担持による変化は見られませんでした。また、アセトアルデヒドに対しては、試みた全ての金属で顕著な触媒効果は認められませんでした。


まとめ
当所が開発してきた不織布状活性炭にPdや銀、銅の触媒を担持させて、吸着・捕捉した有害物質を分解・除去できる素材を開発することを試みたところ、以下のような結果が得られました。

●Pdを担持させた不織布状活性炭では、トルエンに対して寿命の増加が認められた。
●一方、アセトアルデヒドについては触媒の担持による顕著な効果は確認できなかった。
●銀および銅触媒については、担持による変化はみられなかった。

触媒効果が小さい原因として、雰囲気温度が40℃と低かったため十分な分解速度が得られなかった、触媒の分散が不十分だったなどが考えられます。今後、触媒担持方法の再検討などを行い、不織布の特長を活かした用途開発を進めていきます。

◎三河繊維技術センターでは、本研究で使用した分析機器ならびに、不織布状活性炭の作製に使用したカード機やニードルパンチなどの機械に対して貸付業務を行っております。これらの機器貸付や相談につきましては、お気軽にお問い合せ下さい。

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